取材

お金の存在しない「ギフト」文化の町で1日を過ごすとどうなるのか?レポート~前編~


例えば普段の生活で何かを食べたり、映画を見たり、自転車の修理をしたりする時に必ず使わなければならないのがお金です。しかし、金銭のやりとりは禁止、見返りを求めない「贈り物経済(Gift economy)」で成り立っているのがバーニングマンで、お金を全く使わずに生きていくという現代の日常ではほぼあり得ないことを実際に体験してみると、どんな感じで1日が過ぎていくのか?ということで、1日の流れをまとめてみました。

まずは朝8時の光景。夜遅くまでパーティーを行っている人が多いためか、朝8時の時点では人の姿はほとんどありません。しかし、この時間はまだ涼しく過ごしやすいため、早起きして散歩している人もちらほら。


会場のゲートをくぐるときに手のひらサイズの冊子をもらうのですが、ここにはさまざまな催しの場所や時間が書いてあるので、その日の予定を決めるのに役立ちます。


中はこんな感じ。ただし時間通りに書いてある場所に行っても催しが行われていないことも多々あります。「See Playa Info Directory」と書いてあるものはプラヤインフォにあるパソコンで検索して時間と場所をチェックします。


多くの人は自転車での移動。「おはよう」と声をかけるとほぼ全員が笑顔で「おはよう」と返してくれます。


日が昇ってしばらくすると段々人が増えてきます。水着の人やトップレスの人、全裸の人も多いので、バーニングマン初参加者は初め驚くのですが、すぐに慣れます。


テントの前でまったりモード。


自転車をこいでいると、「ブーン」という音と共に、空飛ぶ物体を発見。


音の正体はラジコンでした。


ラジコンの上にはGoProの姿。


ラジコンはこちらの男性の自作で、コントローラーを使って操作を行っています。


ヘッドセットを装着すると、ラジコン上のGoProが撮影した様子を見られるようになっており、空高くからバーニングマンの様子を一望できるようになっていました。


ラジコンが空を飛ぶ様子はこちら。


そしてこれがヘッドセット。


ラジコンを操作している男性にお礼を言いその場を後にすると、昨日よりも自転車が圧倒的に運転しづらいことに気づきました。


タイヤを触っているとベッコベコ。どうやらパンクしてしまったようです。バーニングマン会場は砂漠地帯ですが、基本的に地面は固く、場所によってはタイヤが砂に埋もれて運転できなくなるという環境で、自転車のパンクや故障も日常茶飯事のようです。


そのため、町のいたるところの自転車を修理できる場所があります。もちろん、金銭のやり取りは一切なし。


「Bike Repair Skool(自転車修理教室)」の文字。


修理は基本的に自分で行う方式です。


壁にはパンクの直し方が一通り書いてありますが……


自転車の修理が初めてだったので途方に暮れていたところ、近くにいた男性が手伝ってくれたため無事修理は完了。


タイヤのチューブを新しいものに替え、ベコベコだった自転車を無事元通りにすることができました。


自転車が直ったところで、Playa Infoに移動。広大な敷地内で「何がどこで行われているのか?」ということをパソコンを使って検索できます。


例えば検索フォームに「rocket」と入力すると……


こんな感じでロケットに関連するアートがある場所や参加者のプロフィール・キャンプのエリアなどが表示されます。


しかし、Playa Infoに行ったのはもう1つ目的があり、それがこちら「LOST&FOUND」、つまり落とし物を探す場所です。何か落とし物をした人は列に並び、落としたものをスタッフに伝えるとトレーラーの中から届けられた落とし物を探してきてくれるという仕組み。そして今回落とした物は……


パスポート。朝起きて貴重品ケースの中にパスポートの姿がなかった時には血の気が引いたのですが、無事届けられていました。海外で物を落とすとほぼ100%手元に戻って来ることはない、と覚悟していたので、バーニングマンのすごさをヒシヒシ感じます。なお、落とし物が見つかると、スタッフから列に並んでいる人まで周りの人みんなに「やったね!」と大きく祝福されます。喜びはみんなでシェアするのがバーニングマン。


安心してお腹がすいた……と無事返ってきたパスポートをしっかりしまい、修復された自転車でうろうろしていると、何やらいい匂いのするスペースを発見。


鉄板の上でジュウジュウと音を立てるベーコンの姿。


スペースではベーコンとパンケーキを無償で配っているようです。


ソファーの上で朝食のパンケーキを取る人々の横で演奏するアコーディオン奏者の姿も。


もらったパンケーキとベーコンはこんな感じ。


机の上にはバターやパンケーキシロップ・ピーナッツバター・フルーツなどが置いてあります。


自分で好きな物をトッピングしていき……


朝食の完成。


暑さとパスポートを紛失した不安でカラカラに乾いていた体にフレッシュな果物がしみわたります。


朝食をおいしくいただき、お礼を言って再び自転車に飛び乗ります。日も高くなり、段々人通りが多くなってきました。


マラソンをしている人の姿を発見。


ゴールには人が集まっていて、ランナーたちを暖かく迎えています。


朝のヨガ教室も至る所で開かれています。


さらにうろうろしていると、コーヒーを作っている人を発見。


ドリップしたての熱々コーヒーです。


テーブルの上にはミルクやカシュー・ミルクなどが置いてあります。


コーヒーを作っているのはこちらの夫婦。


ゲットしたコーヒー片手にセンター・キャンプ・カフェに入ると、中は人であふれかえっていました。


ヨガで絶妙なバランスを取る2人。


軽やかにダンスを踊る女性。


まったりとくつろぎながらそれらを眺める人など。


ちょっとくつろいだ所で外に出ると、ものすごい砂嵐。辺りが白く煙っています。バーニングマン会場では視界が消えるほどの砂嵐に1日何度も見舞われます。


道を進んでいると「自転車をデコレーションできるよ!」と声をかけられ、到着したのは……


「pimp yr bike」と看板が掲げられた場所。


敷地内では人々が自転車にテープを貼ったり、スプレーを吹きかけたりしています。


屋根の下にはデコレーショングッズがずらり。


ここからデコレーションの道具を取っていきます。


ハデハデなテープ。


リボンなども置いてあります。


スプレーも各色用意してありました。


実際に自転車に吹きかけてみます。


赤かった自転車を水玉にしてみました。


シートはバーニングです。なお、自転車はリノの町で60ドル(約6000円)程度で購入した子ども用自転車なのですが、安いだけあって非常にシートが固く、砂漠の道を走るととすぐにお尻をやられます。なので、快適に走りたい人はブレーキ・スプリング付きの自転車を購入・レンタルするのがオススメ。


これだけ回ってようやくお昼。とにかくあらゆるものが街中に混在しており、自転車を走らせるだけで退屈する暇がありません。お水が無くなってしまったら飲み物を配っているスペースに立ち寄らなくとも、キャンプしている人に「お水を分けてもらえませんか?」言えばOKで、場所によっては机の上に「ご自由にどうぞ」のメッセージ付きでペットボトルが置いてある場所もありました。お金を使わない、ということに初め慣れませんでしたが、何かを受け取っていると自然に自分自身も人に何かをあげたい、と思うようになってくることを不思議に思うと共に、これまでもらうことばかりを考えていた自分を省みるのでした。

◆続き

お金の存在しない「ギフト」文化の町で1日を過ごすとどうなるのか?レポート~中編~ - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20130831-burning-man-afternoon/

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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