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Facebookが世界中の50億人をネットに接続させるべく世界のIT企業と組む「Internet.org」とは?

By Charis Tsevis

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、開発途上国の携帯電話によるインターネットサービス提供のコストを徹底的に削減することを目指したInternet.org(IO)の結成を発表しました。IOには、サムスン、ノキア、クアルコム、エリクソンといった世界中のIT企業がパートナーとして参加。IOおよびザッカーバーグ氏が目指すインターネット改革とはいったいどのようなものでしょうか。

Internet.org
http://internet.org/

インターネットへのアクセスは人としての権利か? | Facebook
https://www.facebook.com/isconnectivityahumanright

Facebook Leads an Effort to Lower Barriers to Internet Access - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2013/08/21/technology/facebook-leads-an-effort-to-lower-barriers-to-internet-access.html

◆Internet.org
IOは世界中の貧弱なネットインフラの改善を目的として設立されました。世界にはインターネットにアクセスすることができない人が50億人いて、そのうち40億人は途上国にいます。その人たちがインターネットを利用できるように、IOはさまざまな取り組みを計画しています。

その一つに、携帯電話のネットインフラ改善ならびにコスト削減が挙げられています。IOは、スマートフォンアプリをよりシンプルにすることで低スペック端末でも快適な動作を実現およびさらなるバッテリー消費の低減化を計画。また、スマートフォンアプリの効率化に加えて、インターネット・ネットワークの改善により、今後5~10年以内に、モバイル・インターネット・サービスの提供コストを現在の1パーセントにまで削減することを目標に掲げています。

ザッカーバーグ氏は「インターネットは生活の質を高めるための重要なツールです。しかし、放っておけばネット環境が自然に改善されるということはなく、結局、誰もが利益を得られるというビジネスの枠組みを作らなければなりません」と語っています。IOは、人間の営利行動を活用しながら人道的な理想の世界を実現するという設計理念の元に設立されているとのこと。


◆Internet.orgパートナー企業の活動
FacebookはすでにAndroidアプリで1日当たり使用される平均データ量を12MBから1MBに減らす試みをユーザーが気づかないうちに実行しています。

クアルコムはスマートフォンの駆動時間を伸ばすデザインを考案、またムービー送信時のデータ量の低減にも成功し、Wi-Fiルーターによるモバイルのネットワークの範囲を広げる努力を続けています。

ノキアはメキシコの電話会社Telcelに、Facebookを利用できる「Ashaフォン」を提供し自由なFacebookアクセスを実現。結果、Telcelの携帯電話販売量は著しく上昇しました。このサービスはインドやアフリカの携帯キャリアBharti Airtelの顧客にも提供されることが決定しています。

By Rafe Blandford

たしかにザッカーバーグ氏の掲げる理念は素晴らしいものでIOの取り組みは途上国の人々にネットへのアクセスを与えるものとして非常に人道的だといえます。しかし、そこには多くの世界的IT企業がそうせざるを得ないという事情も垣間見えます。

アメリカではすでに携帯電話は一人に一台普及しています。そしてアメリカ人の半分以上は少なくとも月に一度はFacebookを利用します。これは他の先進国でも似たような状況。つまり、Facebookや携帯電話キャリアにとってさらなるユーザーの獲得、利用促進が望めない伸びしろのない状況と言えます。世界的なIT企業は、利益を得るためにもはや先進国にとどまることを許されず、途上国に進出する以外に選択肢がないのです。

下の左のグラフは途上国における過去15年間と過去5年間のGDP成長率のうちインターネット関連事業の割合を示しています。ここからは、途上国でのネット産業が急成長していることが分かります。また、右のグラフは、途上国におけるGDPに占める技術産業と非技術産業の割合を示すもので、今後、技術産業であるインターネット産業が発展する余地が大いに残されていることを示唆しています。


つまり、アジア、アフリカおよびラテンアメリカの貧しい国々は新しい顧客にあふれており、世界的IT企業にとっては大きなビジネスチャンスがあるのです。ただし、低価格でより良いサービスを提供できることが必須の条件であることは明らかです。

By Marwa Morgan

◆Internet.org VS Google
IOと同じく途上国にビジネスチャンスを見いだそうとする企業は他にもあります。例えば、Twitterは、自由なツイート環境を提供するために世界100か国以上で約250の携帯電話会社と提携、最も安い携帯電話でさえサービスの利用が可能になっています。

Googleは途上国のユーザーに無料で無線LANを提供するサービスを開始しました。Googleは、さらに「Loonプロジェクト」という成層圏に打ち上げた気球から電波を送受信し僻地でインターネットアクセスを可能にする試みを実験中です。

By Diego da Silva

2011年にFacebookによって始められたOpen Compute Projectと同様に、Facebookは各国の政府、携帯電話キャリアそしてMicrosoftをIOのパートナーに加えようと努力すると考えられます。なぜなら、それはFacebookへのアクセスを増大させるという長年のプロジェクトに適した戦略だからです。

しかし、世界最大の検索エンジンと動画サイトYouTubeを抱えるGoogleはIOに参加することはないでしょう。理由の一つは、インターネットアクセスを世界中に拡張するのにGoogle自身が積極的で、すでにさまざまなプロジェクトを実行中だから。Googleは、バッテリーの持ちを改善するためにAndroidのソフトウェアを絶えず改善しています。Googleのスポークスウーマンであるコートニー・ヘーネさんが「Googleは、常に技術やプログラムへの投資を行っています。私たちは、その地域のニーズに適合した製品作りのため世界中に開発チームを持っています」と語るとおり、IOの取り組みにかかわらずGoogleは独自に世界中にネットを広める活動を今後も行っていくでしょう。

By Antonio Manfredonio

これに対しザッカーバーグ氏は「気球でインターネットアクセスを実現するGoogleなどにくらべればIOの取り組みは刺激的に聞こえないかもしれないけれど、地道な努力が大きな変化を実現できるのです。どんな企業であっても、たった1社で実現することはできません」と言います。

◆Internet.orgがもたらす未来
IOが実現しようとする途上国のネットアクセス環境の整備、改善は、利益のほとんどを広告収入から得ているFacebookにとって長期的には利益を生みだす可能性があると認めつつも、ザッカーバーグ氏は「インターネットアクセスの拡大からすぐに得られる利益は小さいものです。IOの活動は世界のために良いことなので、驚くべき利益をもたらすことはないかもしれないけれど私たちは注力しているのです」と語ります。

By Charis Tsevis

IT企業の連合体であるIOと、独自に活動を続けるGoogleやその他の企業は、手法は違えど「世界中で誰もが低コストで快適なインターネット環境を手に入れられること」という共通の理想を持っているようです。これらの活動の成否の評価にはしばらく時間がかかりそうですが、いずれにせよ自由で快適なネット環境の整備は着々と進みつつあり、その結果、今まで予想だにしなかった「何か」が起きることは確実です。

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in メモ,   モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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