「ソイレント」だけを食べて2週間生活すると何が起こるのか?


世界的な問題となっている食糧問題の解決策として、従来の食事をとらなくても人体に必要な栄養素を摂取することができる「ソイレント」が既にKickstarterで製品化されています。そして、なんとこのソイレントだけで本当に生きていけるのかどうかを人柱としてテストした人が登場しました。

Soylent: What Happened When I Stopped Eating For 2 Weeks
http://www.fourhourworkweek.com/blog/2013/08/20/soylent/

ソイレントは現在注文すると12月に発送される予定となっており、まだ市場には出回っていない状況です。The 4 Hour Workweekでは、製造者以外の実験結果がない現状を打破するため、実験として2週間、普通の食事を一切摂らず、ソイレントだけで生活し、血液や体脂肪率、心拍数に皮膚刺激、睡眠にどのような変化が現われるかを測定した結果をまとめています。ソイレントの発明者は健康に関しての背景をあまり考慮しておらず、長期的な使用について疑問が残ります。今回の2週間という実験期間は、劇的な変化を測定することはできないかもしれませんが、最悪のシナリオを迎えるとすれば十分な期間になります。しかし、幸いにもメルトダウンは起こらなかったとのこと。


シェーンさんの普段の食事の一例。朝食:MASCLE MILKというプロテイン入り飲料、昼食:チポトレ・ベジタリアンブリトー、ダイエットコーク、夕食:テイクアウトのレッドタイカレーと豆腐、スナック:M&M'S 1~2袋


上記の1日分の総合栄養成分は、カロリー:1862kcal、脂肪:74.1g、飽和脂肪:24.5g、トランス脂肪:0、コレステロール:19mg、ナトリウム:4277mg、カリウム:1395mg、炭水化物:199.5g、食物繊維:34g、砂糖:45g、タンパク質:88g、ビタミンや亜鉛、マグネシウムなどは必要摂取量の3割ほどとなっています。

ソイレントのみで摂取できる1日分の栄養成分は、カロリー:2404kcal、脂肪:65g、飽和脂肪:0、トランス脂肪:0、コレステロール:0、ナトリウム:2.4g、カリウム:3.5g、炭水化物:400g、食物繊維:40g、砂糖:?、タンパク質:80g(最新バージョンは120g)、ビタミンや亜鉛、マグネシウムなどはどれも必要摂取量の全て100%を満たしています。


◆観察1~3日目


疲労から来る頭痛に悩まされており、午後は疲れていることが多いというシェーンさん。最初のソイレントをピッチャーにいれて水と混ぜながら、ピザやブラウニーがしばらく食べられない事を考えてため息。しかし予想に反してソイレントの味はなかなか良く、ビーガンの人たちが飲む、エンドウやヘンプのオーガニックプロテインの味に比べると楽しいくらいだったとのこと。2日目に、食べ物を食べないという違和感が大きく、どこでも食物の匂いが鼻につきました。またソイレントを飲んだ後には、喉の内側が燃えるような感覚があったとのこと。3日目に気づいたのは、朝は多めにソイレントを飲むことで、いつもの午後の気だるさがなくなり、エネルギーにあふれるということです。

◆観察4~6日目


4日目になっても空腹は感じず、喉に感じていた炎は感じなくなりました。常にエネルギーが充実していたため、3マイル(約4.8km)走ったり、週末にはマラソンに出ました。また、排便の話が苦手な人は注意が必要ですが、驚くことにシェーンさんの排便は「ソイレント」になったとのこと。2日に一回しか排便しないようになり、白っぽく不気味な見た目だったものの、清潔そうだったようです。外出時の持ち運びにはNALGENのボトルを使用しているそうです。

◆観察7~9日目


この期間でシェーンさんは完全に食べ物に対して執着がなくなり、エネルギーだけが満ちあふれるような素晴らしい気分に。誰かが隣でワカモレを食べていても気になりません。しかし、8日目と翌日にもめまいを感じ、その原因はプロテインシェイカーで残ってしまう塊の消化不良だったとのこと。数日間、大きな塊を飲み下し続けた結果、血糖値は低下。9日目の午後にマジックブレットという電動ブレンダーを購入。

◆観察10~13日目


電動ブレンダーのおかげでソイレントをきれいにシェイクできるようになり問題は解決。モンスターのような口内炎がすっかりなくなり、めまいは感じません。同僚には快活になったと言われ、最終日には、「もう2週間分のソイレントがあれば……」と考えるほどだったというとても晴れ晴れした表情のシェーンさん。

◆観察終了後


食欲は強烈に戻り、パスタ・サラダとチーズ・サンドウィッチを食べると、胃をラクダに蹴り上げられたような衝撃がありました。その後、徐々に元の食生活に戻るにつれ、普段のレベルに身体が戻っていくのを感じたとのこと。
体重は7.7ポンド(約3.4kg)減り、血液検査の結果、ナトリウムやカルシウムなどほぼ全ての数値が上限値を下回っており、コレステロール値は少し上限値をオーバーしたものの、27%の減少を見せていました。心拍数も問題なく、認識力テストの結果も全て上昇しており、精神的な状態が良かったことを表しています。


コスト面では、食費が1日24ドル(約2300円)だったものがソイレントでは1日わずか9ドル(約900円)で済むため、年間で5460ドル(約53万円)の節約となり、また時間も大幅に節約できました。なお、2週間で減量した体重には筋肉も含まれており、十分なタンパク質を補えていなかったことを示唆しています。しかし、ぞっとするほど単純でつまらない食事生活を想像していましたが、幸せを感じるほどだったとのこと。


今回の実験では、「全ての栄養素とカロリーをソイレントのみで賄える」ことを明確に立証できるほどではありませんでしたが、ソイレントは食物として危険ではなく、時間とお金を節約できることがわかりました。このような実験が増え、さらにソイレントが改善されていくことによって、本当に世界の食糧問題を解決できる日が近づいてくるのかも。なお、ソイレントはヒューマン・フリーとのことです。

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in メモ,   , Posted by darkhorse_log

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