サイエンス

NASAの新型宇宙船「オリオン」のテスト飛行が2014年9月に行われることに


NASAによって開発されている新型宇宙船「オリオン」のテスト飛行が2014年の9月に行われることに決まりました。

NASA's Orion Space Capsule Gears Up for 2014 Launch Test | Space.com
http://www.space.com/18241-orion-nasa-spaceship-2014-test-flight.html

NASAが新しく宇宙船を開発するのは1970年代にスペースシャトルを開発して以来のこと。オリオンは当初「クルー・エクスプロレイション・ビークル(CEV)」と呼ばれており、国際宇宙ステーション(ISS)への人員輸送や、次期有人月着陸計画(コンステレーション計画)への使用を前提に開発されていましたが、2010年にオバマ大統領によってコンステレーション計画が中止され、現在は小惑星の有人探査やISSへの人員と貨物の輸送と回収に用途が変更されて開発が続けられています。エンジニアたちは政治的な動向に右往左往することとなりましたが、テスト飛行が近づいていることを喜んでいるそうです。オリオンのプログラム・マネージャーであるMark Geyerさんは9月にSpace.comに対して「2014年のテスト飛行は人々も見ることができる、大規模なものになると考えています。これは非常に重要なゴールです」と語りました。


オリオンの耐熱シールドは新素材で作られており、地球に戻ってくる際に焼き切れるようデザインされているので、EFT 1と呼ばれるテスト飛行では長楕円軌道を2周回した後、大気圏に高速で突入させて耐熱シールドの能力確認を行う予定です。また、EFT 1でオリオン完成後のシステムのうちの半分以上が試されるらしく、根本的な構造やコンピューター・システムのテストについても同時に行われるとのこと。

EFT 1は無人で行われ、オリオンはデルタ IVのヘビー型で打ち上げられることになります。「ヘビー型のロケットで、コーン型の機体を打ち上げる」という見た目だけでいうとまるで現代のアポロ計画のようですが、3人乗りだったアポロに対してオリオンは4人乗りで、月や火星よりも遠くまで宇宙飛行士を運ぶことが可能です。また、アポロには1960年代最先端の技術が投入されていましたが、これは現在のコンピュータ技術でいうとスマートフォンに劣るレベル。オリオンは21世紀の最先端の科学技術が使われており、新素材の耐熱シールドをはじめ、多くの機能がことごとく新しいものになっています。


2017年にはNASAが開発中の新しい打ち上げシステム「SLS」を使って無人で月を周回、2021年には宇宙飛行士を乗せたテスト飛行を行う予定です。NASAは現在ロッキード・マーティン社と共にオリオンのシステムを仕上げている最中で、テスト機の機体の主要な部分は完成済みなのですが、耐熱シールドの完成にはさらに6カ月ほど必要だそうです。オリオンのコンピューターについても現在テストが行われているところであり、最終的な組み立てはフロリダにあるケネディ宇宙センターで行われるとのことです。

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in 乗り物,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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