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カセットテープが将来的に大容量ストレージの主流に返り咲く可能性

By Marc Arsenault - Wow Cool

メディアとしてはすでにCDなど後発のものに取って代わられた感のあるカセットテープ。しかし、データの大容量化が予想以上のスピードで進み、ハードディスクの密度改良も限界に近づく中で、将来、頑丈で高密度なメディアとしてカセットテープが返り咲く可能性を、IBMの専門家が指摘しています。

Cassette tapes are the future of big data storage - tech - 19 October 2012 - New Scientist



2011年の段階で全世界の情報を集約するとその容量は295エクサバイトになり、うち、94%がデジタル化済みとなっていました。つまり、世界中のストレージには約280エクサバイトのデータが詰まっているということです。エクサバイトというのはペタバイトの上の単位ですが、2016年までにネット全体の通信量はエクサバイト級、あるいはその上のゼタバイト級になるとみられており、はるか果ての見知らぬ単位というほどではなくなってきています。

そんな中、データセンターなどで主に用いられているのはハードディスクですが、富士フイルムとIBMは2010年に磁気テープにバリウムフェライト磁性体を採用することで、現行テープ比約44倍の35TBの大容量カートリッジ開発を可能にしました。この磁気テープは、実際に2016年に建造が始まる世界最大の望遠鏡であるSquare Kilometre Array(SKA)で使用される予定となっています。2024年にSKAが稼働し始めると、吐き出す圧縮データの量は1日1ペタバイトにもなるとみられています。

SKAの中央部、直径5kmにわたって林立するアンテナ群

by SKA Project Development Office and Swinburne Astronomy Productions

このSKA用のテープを作り出したIBMのEvangelos Eleftheriou氏は「毎年のアーカイブの成長は、ここ数十年の予想を上回るものになっている」と語っています。やがて望遠鏡がオンライン対応するときには、Eleftherious氏は同僚と共にカートリッジを改良、記録トラックの幅を縮め、アクセス用の記録再生ヘッドをより正確にポジショニングするシステムにすることで、データを100TBまで格納できるようにする予定。テープを使用することで、エネルギー消費を劇的に減らすことができます。


The Clipper Groupのコンサルタントが(PDFファイル)2010年に発表した調査結果によると、HDDを使用したデータセンターは、同じサイズのテープライブラリに比べて200倍のエネルギーが必要になります。これは、HDDの場合、プラッタを回転させ続けるためのエネルギーが必要となるからで、一方、テープの場合はエネルギーを必要とするのは読み書き時のみ。

ただし、テープのマイナス面はアクセス速度の遅さにあります。これは、データを読み取るのにメカニカルな機構が必要で、テープの読み取りたい部分をリーダに挿入し、正しいポイントまで巻き取らなければいけないため。

しかし、前述の大容量カートリッジで採用されたリニア方式は、HDDに匹敵するものを目指して開発されていて、従来のテープに比べて高速化しています。

HDDの密度改良はもはやプラッタを追加するしかないというところまで来ているため、ストレージのニーズが急騰していく中でHDDはついていくことができないだろう、とEleftheriou氏は指摘、「今こそ低消費電力、低価格というテープメディアの優位性が生きるときだ」と語っています。

ちょうど2012年9月にHGSTがHDD内にヘリウム充填することでプラッタ数を増やさずに容量を増やせる技術を開発するなど、HDD側の技術向上もありますが、本当にテープメディアが覇権を取り戻すのだとしたら、なかなか面白そう。実際、先日公開されたGoogleのデータセンター内部にもテープライブラリがあり、「主流」とはいわないまで、今より活躍の場は増えるのかも。

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in メモ, Posted by logc_nt

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