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ウイルスバスターの戦いの最前線、トレンドマイクロのオフィスはこんな感じ&知られざる仕事の内側インタビュー


社内にSF映画の秘密基地のようなテレビ会議室やほのぼのとした和室などのちょっと変わった施設があるということなので、1991年から販売が続くセキュリティーソフトのロングセラー「ウイルスバスター」シリーズなどを販売するトレンドマイクロのオフィスに行ってきました。また、一見すると地味に思われがちなカスタマーサポートの最前線で対応を行っている担当者にインタビューしてユニークなエピソードの数々も聞いてくることができました。

◆オフィスに潜入

東京都渋谷区代々木にある本社ビルの外観。同社のオフィスはこの中の5フロアにまたがって入居しています。


総合受付に到着。


パソコン上のウイルスだけでなく、リアルのウイルス対策のための消毒用アルコール。


厳しいセキュリティに守られた社内に入るための入館証をゲット。


社内の通路を進んで行きます。


入り口を過ぎてすぐの場所にあるミーティングスペース。


椅子とテーブルの作りがファミリーレストランっぽいので、社内では「ファミレス」と呼ばれている打ち合わせ用の席。


テーブルの奥にはディスプレイや接続用のケーブル、さらにコンセントまで完備。


FAQ(よくある質問)の整備やユーザーからの問い合わせ、改善要望などに対応する「サポートサービス部門」に到着。


こんな感じで机が並んでいます。


それぞれのデスクを頻繁に人が行き来しており、部内で活発に情報交換が行われている雰囲気。


社内の窓からは高層ビルが立ち並ぶ風景を一望できます。


窓際には神棚が。ウイルス駆除のためにやれることは全部やるという意志の証かもしれず。


オフィスの脇には自動販売機が設置されています。


中身はカップ麺や総菜パンなどの軽食。


定価126円のものが50円で売られています、安い。


コンビニなどでは250円で売られているサンドイッチも180円で購入可能。


共用の冷蔵庫もあります。


自分の飲み物や食べ物に名前を書いて入れておくシステムのようです。食べ物の恨みは末代まで続くので、このようにして社内における闘争を防止しているわけですね。きっと、これは今日に至るまでの骨肉の争いの果てに築かれた平和的システムに違いありません。


休憩スペースはこんな感じ。


テーブルとゴミ箱が一体化したテーブルはおそらくこのような感じで使われているはず。


各部屋から出る際には下の様なボタンに手を触れるとオフィスの内側からドアのロックを解除することが可能。


新製品の発売直後やトラブル発生時などの重要なタイミングで全世界の拠点をつないでテレビ会議を行うスペースはこんな感じ。


照明を落としてみると、SF映画に出てくる作戦司令室のような雰囲気に変貌。


マイクとステレオを兼ねた装置が置かれ、この部屋に居る全員が遠隔地と会話をすることが可能。緊急時にはここが各国の同じような部署とつながってリアルタイムで情報交換をしながら対策を進める、というわけです。


天井には無線ルーターが埋め込まれ、しかもガッチリとカギでロックされています。物理的にルーターへアタックされないようにという配慮。このあたりもセキュリティ対策の企業っぽい。


ガラス越しに見える「ラボ」と呼ばれる場所ではリアルタイムで全世界のウイルスの状況を監視中。


天井にはパトカーに付いているような赤い回転灯が設置されており、緊急時には実際に光りながらグルグルと回るそうです。


なお、中に入るには暗証番号の入力が必要とのこと。


適当な番号を押して侵入を試みましたが、うまくいきませんでした。


別のフロアには畳敷きの和室っぽいミーティングスペース。


ちゃぶ台。


このようにリラックスした雰囲気で会議ができるのがポイント。


壁には社員の家族が会社見学を行うイベント「オープンオフィス」の様子を撮影した写真が貼られています。


マーケティング部門のオフィスはこんな感じ。


今期の新製品「ウイルスバスター クラウド」のパッケージを手にした製品担当者。


パスワードマネージャー」の担当者は販促用のステッカーのデザインをチェック中。


ウイルスバスター モバイル for Android」の製品担当者の机はこんな感じ。


◆サポート担当者インタビュー

今回はサポートセンターの中の人にも話を聞くことができたので、一体、ユーザーからはどの様な問い合わせが寄せられ日々どのような対応がなされているのか、いろいろと聞いてみることにしました。

というわけで、インタビューを行う会議室に移動。


今回お話を聞いたのはコンシューマサポートセンター シニアエンジニアの齋藤さんです。


GIGAZINE(以下、Gと省略):
では、本日はよろしくお願いします。肩ひじ張らずに、ざっくばらんにお話いただければと……。

齋藤さん(以下、Sと省略):
そうですね、話ベタなんで緊張していますが……(笑)。まず、自己紹介をさせていただきます。私は普段コンシューマサポート業務の担当をしておりまして、とは言っても、実際にエージェント(電話対応などの業務を行う人)としての仕事をしているわけではなく、お客様の声を元にした製品改善や有償サポートなどのプロジェクトを担当しています。部署の規模的な話ですと、ウイルスバスターのユーザー様が数百万人位いらっしゃって、今だと1ヵ月に数万件単位のお問い合わせをいただいています。

G:
そんなにあるんですか?

S:
はい。だからサポートチームもかなり大所帯でして、大阪、沖縄、上海、台湾などにある拠点にそれぞれ300名ほどのエージェントが待機しています。たぶん、ソフトウェアのサポートとしては最も規模が大きいものの1つではないかと思います。

G:
世界中で日々、すさまじい数の問い合わせを受けているわけですね。

S:
ええ、絶対量がすごく多いです。ただ、統計を調べてみるとお問い合わせをいただいているのはお客様全体のうち数パーセントの方からだけなので、割合的にはそれほど多くありません。

G:
なるほど。では、その中で1番多い質問というとどのようなものになりますか?定番の問い合わせ内容、みたいなものがあったら教えてください。

S:
「ウイルスバスター」は毎年無料バージョンアップがあるんですけれども、その方法をお尋ねいただくことが多いです。あと、お問い合わせいただくのは全体のユーザーさんの数パーセント程度なので、PCを買ったばかりの初心者の方からご質問をいただくことが多いです。「ウイルスバスター」はもちろんテッキー(技術者やハイテク好き)な方にもご利用いただいていますけれど、ユーザーサポートはビギナーに接することが多いので、私たちはその人たちの声を製品改善などに役立てるために開発との橋渡し役になっているんです。


G:
そういうことなんですか。ところで、「ウイルスバスター」を一度購入して使い続けているユーザーは割合はどれくらいなんですか?

S:
店頭に行って新しいパッケージをご購入いただく場合や複数年契約などの場合まで含めると、他のソフトウェアと比較して継続率の高い製品です。

G:
同じバージョンの製品をずーっと使っているという人もいるんですかね?

S:
そうですね。割合的に多いというわけではないですが、「ウイルスバスター 2006」をまだご利用いただいていたりする場合もあります。いずれにせよ、結構長く使っていただいているケースが多いんですが、パソコンを買い換えるとプリインストールで競合製品が入っていたりして、そこでちょっと浮気をされる方もいます(笑)。ただ、サポートの現場ではやはり長くご利用いただいている方は多いんだな、という印象がありますね。

G:
ユーザーの男女比率はどうなっていますか?

S:
「ウイルスバスター」は本当に万人受けするように作り込まれているので、女性のユーザーも多いです。競合さんでは硬派なイメージというか、テッキーな方を狙う製品や「更新ゼロ円」でコストパフォーマンスで勝負されている所がありますが、私たちはそのような絞り込みはしていないので、本当にいろいろな方にご利用いただいています。

G:
そうなれば、年齢的にも若者からシニアまで幅広いユーザーがいる、ということになりますか?

S:
はい、その通りです。あと、ユーザーの割合としては30代から40代が多いのですが、サポートにご連絡いただく方となると50代から60代がグッと増えますね。でも、最近のシニアはPCに詳しいので、ウェブサーフィンや買い物などに関してはどんどんネットを活用されています。以前、シニアのネット利用動向を探る、みたいな座談会に参加したことがありまして、その時に分かったんですが、そもそもPCをやりたいという方はアクティブなので、積極的にいろいろなことにトライされていますね。逆に、新しいものが全くダメという人はウイルス対策ソフト以前に、PCの利用すらされていないですから。

G:
そもそも、アクティブなシニアしかPCを利用しないというわけなんですね。ところで、サポートへの問い合わせは年々増えているんですか?

S:
いいえ。サポートへご連絡いただく回数は減っています。数年前に私がこの部署に来た当時と比べて30パーセント程減っています。その間ユーザー数は増えていることを考えると、サポートにご連絡をいただくユーザーさんの数は明らかに右肩下がりになっています。


G:
具体例として、こんな方法でこの問い合わせを減らすことができた、というようなものはありますか?

S:
あります。お問い合わせはすべて記録して内容を可視化していまして、それで見ると例えば、パソコンの買い替え時や、2、3台目のマシンに「ウイルスバスター」をインストール時に自分のシリアル番号がわからなくなってしまう方が多かったようです。インストール用のシリアル番号は頻繁に利用するものではないですからね。それを製品画面とウェブ上で簡単に再確認できるようにしたらお問い合わせの件数が減りました。

G:
なるほど。

S:
お客様がつまずきがちな点を丁寧に取り除いていくという作業なんですが、実は開発が海外に居るので交渉が大変なんです(笑)。「ウイルスバスター」はワールドワイドで販売されている製品なので全世界中のお客様に満足していただけるようにしています。その中で日本のお客様からいただいた要望を責任を持っていかに開発部門の作業に反映させるか、というのはサポート部門の人間が一生懸命やっている部分です。

G:
コンシューマサポートの人が開発部門との交渉に苦労している、というのは少し意外でしたね。

S:
確かに、お客様からは見えない部分ですからね。でも、そういったことの積み重ねで、問い合わせ件数は2、3年前と比べて削減できています。

G:
見えない苦労ですね。では、その中でも特に開発に改善要望を通しづらかった内容などはありますか?

S:
例えば、説明書に解らなくなったパスワードを見つけ出したりする方法をはっきりと記載する、といったものですかね。意外と、こういうものでも「デザインが崩れる」といったようなことで反対されたりする場合もあるんです。後は、開発がどんどん機能を追加して動作がやや遅くなってしまったりすることもあるんですが、やっぱりユーザーの要望は軽さですよね。一方、開発からはお客様の状況がわかりづらかったり「技術力を見せたい」みたいな願望があったりして、そこをユーザー目線に立って開発に理解してもらい、交渉するのも私たちの仕事の1つです(笑)。

G:
今回の製品では「重さの主な原因の約80%をパソコンから削除」と言っていたりするのは、その辺りの努力の結果なんですか?

S:
そうです。やっぱり、お客様としては普段ウイルス対策ソフトのことは考えたくないじゃないですか。そもそもは、安全でサクサクとウェブサイトが見られたり買い物ができたり、あるいはムービーが見られたりすればいいので。もちろん、カスタマーサポートだけでなく、マーケティングの意見もありますが、動作の軽快さは今回の製品で特に強化した点です。


G:
では、今度はユーザーの目に見える、というか直接電話をしたりメールをしたりしてやりとりをする部分について教えてください。現場のサポートセンターでの業務については何か特徴はありますか?

S:
はい、サポートを受けられたお客様へのアンケートの結果を見ると「満足」とお答えいただける割合がほぼ8割以上をキープできているので、これは競合などと比べても高い数字だと思います。個別にお問い合わせいただいた内容を素早く解決するのはもとより、、個々の対応などに当たるエージェントがお客様からのフィードバックをがっちり受け止める、そしてそれを私たちがまとめてきっちり開発などに伝えて製品を改善していくという流れも含めての高いコンシューマーサポートになるように努力しています。

G:
ところで、サポートと言うと窓口としては電話が主なんですか?

S:
電話、メール、チャット、FAXがあります。お問い合わせの件数は電話が1番多くて、FAXは減少傾向です。あと、今は割とチャットが増えていますね。

G:
それぞれの窓口によって、問い合わせ内容に違いがあったりしますか?

S:
電話で多いのはやはり、更新方法についてのお問い合わせですね。チャットに関しては内容は千差万別ですが、対話形式になるし、メールサポートと比較してタイムリーに対応できるのでご満足いただける割合が高いです。

G:
サポートする側としても、チャットの方が便利ですか?

S:
いかに素早くレスポンスを返せるか、いかに早くトラブルを解決に持って行けるかという点などでサービスのレベルを測っているんですが、その点でチャットは優秀です。

G:
なるほど。では、逆に今サポート部門で問題になっている点はありますか?今までのお話だけだと、順風満帆なようですが……。

S:
コストダウンとサービスレベルのバランスです。単純に言えば、海外にメールやチャットのサポートセンターを置けば安くできます。でも、自発的に細かい気配りをしてユーザーさんの問題を解決していくようなスキルは国内のほうがレベルが高いんです。これは世界イチです。だから、その高いレベルに合うようにトレーニングをしています。


G:
なるほど。

S:
質を落とさずコストを下げるために、かなり試行錯誤をしている最中ですね。そもそも、製品をわかりやすく作るとか、お客様自身で問題を解決できるようにする、といったことがうまくいかなかった場合に発生するのが電話やチャットでの対応なので、そこまでに至らないように事前に対策をしておくというのも1つ重要な点だと思います。後は、有償サポートなどを行って、ご自分で設定をされるのが不安なお客様に代わって専門の技術者が作業をするサービスを用意しています。これは、体験していただいたお客様には、かなりご満足いただけているようです。

G:
ユーザー自身で問題を解決するという点では、例えばFAQの作り方なんかも重要ということになりますよね?

S:
そうですね。まず、どんな問い合わせが多いのかを可視化して、たくさん聞かれているにもかかわらずFAQに回答項目がないものは急いで作る。さらに、回答が書いてあるにもかかわらず問い合わせが来てしまっているものに関しては、目立つようにしたりより詳しく書いたり、という工夫をしています。

G:
ちなみに、それぞれのFAQへのアクセス数は?

S:
10万件単位のものから100件程度のものまでいろいろですね。

G:
ところで、最近、サポートに来た問い合わせの中で、記憶に残っているものはありますか?

S:
とあるお客様からお手紙をいただいたんですけど、それが「自分の住んでいるアパートの階下の住人が私を攻撃する電波を発しているんで助けてほしい」という内容だったんです。

G:
(笑)。それはもし、本当だとしてもさすがに「ウイルスバスター」が対応できる範疇ではないですね……。他には?

S:
最近、アダルトサイトからの不正請求被害が増えているんですが、その被害を受けた方から「親が帰ってくる前になんとかしてほしい。助けて」というご相談を頂いた事がありました。

G:
なるほど。

S:
こちらに関しては現在「不正請求クリーンアップサービス」というものがあるので、アダルトサイトからの不当な請求などに関しては誰にも内緒でサポートできる体制があるんですよ。


G:
そうなんですね。ところで、現在カスタマーサポートの現場に立っていて改善したいと思っている点はありますか?

S:
ウイルスバスター モバイル for Android」について1点あります。アプリのアンインストールにパスワードが必要になっていて、その点を不満に感じている方が多いので改善提案をあげています。パスワードが必要なのはペアレンタルコントロールのためだけなので、その機能を使っていない人にはパスワードを不要にしたほうが利便性が上がりますからね。

G:
社内で調整中という事ですか?

S:
1回目は、ちょっとダメだったんですけど、いまもう一押ししています。あと、この件もユーザーさんからの声が元になっているんですが、やはり何かしらご意見を言っていただけるというのはネガティブな内容であっても本当にありがたいです。何も言われないで去られてしまう(違う製品を買われてしまう)というのは1番避けたいですね。

G:
なるほど。

S:
なので、かつてはフリーコメントを機械的に解析するツールを入れようとしたこともあるんですが、今は1つ1つ人間が読んでいます。

G:
他に手間がかかる、というか苦労している点などはありますか?

S:
やはり、発売直後の2週間位は目が回るくらい忙しいですね。もちろん、発売前に徹底的に製品のチェックはしていますが、それでもお客様のパソコンの環境はさまざまなので、発売後に対応が必要になる項目は出てきてしまうので、開発と顔をつきあわせながら同時並行でものすごい数の改善を行っています。

G:
なるほど、今日は普段はなかなか見られないサポートの裏側というか、いろいろとスゴさがわかる話が聞けました。

S:
いえいえ。いろいろとお話してしまいましたが、お客様に1番お伝えしたいのは、もし解らないことがあっても我々が全力で解決に当たるので、「ウイルスバスター」をお使いいただく際には難しいことは考えず、インストールをしたらネットサーフィンをしたりお買い物をしたりという当初の目的を満喫していただければOKです。


G:
なるほど。インストールしたら後は楽しむだけ、ということですね。今日はどうもありがとうございました。

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in 取材,   インタビュー,   ソフトウェア,   広告, Posted by darkhorse_log

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