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映画の著作権侵害による日本経済の損失は564億円


日本国際映画著作権協会(JIMCA)の発表によると、映画の著作権侵害によって日本経済全体が受けた損失は564億円に上り、映画産業界だけでも年間235億円の損失が発生しているそうです。これは調査会社IpsosOxford Economicsによる共同調査の結果を受けたもの。

日本国際映画著作権協会 / JIMCA / 映画の著作権侵害で日本経済に564億円の損失

◆調査対象
今回の調査の対象は日本の生産年齢人口(15歳から64歳)に該当するインターネットユーザー3000名。期間としては2009年第4四半期から2010年第3四半期までのデータということになります。

◆著作権侵害の定義
こういった調査が行われるときに、まず気になるのは、どういった行為が著作権侵害に当たるのかということ。

今回は、ダウンロードやストリーミング、ファイルをデジタル転送するといったデジタル侵害、海賊版やコピーしたDVDを購入するといった物理的侵害、未承認コピーを借用して視聴する二次的侵害という、「非正規」の手段で映画全編を視聴することと定義して調査が行われました。


調査では、「違法」というような単語を使うと感情を刺激してしまい正しい結果が得られないため、こういった言葉を避けて「非正規」という言葉を使用。できるだけ正直に回答してもらえるような配慮がなされました。

◆映画業界の直接損失

by penelopejonze

調査の結果、生産年齢人口の6人に1人が映画の著作権侵害に関与していることがわかりました。調査期間中の海賊版映画の視聴・購入数は9500万件で、関与した人の35%は「海賊版がなければ正規版を買っていた」と回答しています。

これを換算すると、映画産業が被った消費支出の直接損失は235億円となります。消費支出とは、映画館の興行収入、BDやDVDの販売・レンタル、ビデオオンデマンド、映像のダウンロードやストリーミングなどの小売金額を示したもの。割合でいうとデジタル侵害が167億4200万円、二次的侵害が35億3900万円、物理的侵害が32億3800万円の損失を生んでいました。

235億円の損失というと、人口に直すと1人あたり184円強Jリーグ(J1)チーム7つ分の平均営業収入を超える額だそうです。

「海賊版で見たけれど、面白かったからちゃんとそのあとお店で買った」「もしも海賊版がないのならそれはそれでいい、わざわざお金を払うつもりはなかった」という人もいると思います。この直接損失の計算では、侵害件数の27%を占める「海賊版を見た後正規版で見た」というケース、侵害件数の38%を占める「海賊版がなかったとしても、代金を支払って正規版を見ることはない」というケースは除外されています。

◆日本経済への影響

by China Chas

著作権侵害の影響を受けたのは映画業界だけではありません。映画業界の収入が減ると、たとえば撮影に使う資材や装置への投資が減ったり、運送、マーケティングなど周辺へも影響が出ます。映画業界で働いている人の収入が減ると、その人は外食を減らしたり、買い物の無駄を引き締めたりして消費が減ります。そうして、どんどんと影響が広がっていきます。

こういったすべての影響を踏まえて計算すると、映画の著作権侵害で日本経済全体が564億円の損失を出したということになります。国内総生産(GDP)でいうと289億円、税収入では62億円の損失です。564億円の損失というと、人口1人あたり441円強になります。

また、2600人の雇用喪失が発生しています。

◆結果を受けて
この調査の結果を受けて、JIMCA代表取締役などがコメントを発表しています。

日本国際映画著作権協会(JIMCA) 味村隆司代表取締役:
この調査により、映画の著作権侵害が示す破壊的な影響力は、映画産業だけでなく日本の経済全体に大変大きな損害を与えるものであることがわかりました。これはすべての雇用とビジネスへの脅威です。著作権を守り、著作物の価値に対する意識を高めるために、法改正を含む更なる努力が必要です。

全国興行生活衛生同業組合連合会 大藏滿彦会長:
これは、映画館を含む日本の映画産業で働く多くの皆さんの生活を守ること、つまりこの産業に係わる生活者の保護と、誰でもが楽しめる「映画」エンタテインメントを壊してはならないというメッセージです。この調査によって示された数字は、驚くべきものです。映像コンテンツの更なる保護に向け、映画産業に携わる方々だけではなくて、皆さんで今、何をしなければならないかを真剣に考え、行動しなくてはいけません。

東京国際映画祭 依田巽チェアマン:
東京国際映画祭の目的は映画という芸術文化を通じて、人や経済に夢や希望、交流と活気を生み出すことです。これらの良質な文化は創造、保護、活用という輪(サークル)が繋がって初めて育ち浸透するものです。今回の調査報告を通して、無意識な著作権侵害はこのサークルを破壊するものであり、私たちの大切な文化や生活、ビジネスの発展をも阻むものであるという理解が深まることを期待しています。

業界での危機感が高いのは当然のことで、韓国では違法ダウンロードが多すぎてDVDが売れず、ハリウッド全映画会社が撤退するという事態も起こっています。中国は海賊版DVDが大問題となっており、売られているDVDは10枚のうち9枚が海賊版という状況です。

レコードチャイナ:9割が海賊版、米国映画のDVD被害がさらに深刻に―中国

データのデジタル化によって海賊版が簡単に作られ、それを見ることができるようになった今の時代に、どうすれば的確な対策を打ち出していけるのか。大藏さんのコメントにもあるように、映画産業だけではなく、コンテンツ産業全体、日本の産業界全体が力を合わせなければ、このビジネスが滅びてしまいます。

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