インタビュー

トランスフォーマーのマイケル・ベイ監督インタビュー、3D撮影秘話も登場


7月29日(金)に日本での公開を控えた「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」を手がけたマイケル・ベイ監督が大阪に来日したので、今回初挑戦した3D撮影の裏側や、試写会を見た上で「あの演出はどういう意図だったのか?」という部分について、ネタバレにならない程度に直接聞いてしてきました。

ストーリーの核心に触れる部分は書いていないものの、「公開前にストーリーの筋については前情報を一切入れたくない!まっさらな気持ちで見たいんだ!」という人は気をつけてください。

Q:
モスクワプレミアで「一般人を巻き込んでシカゴで撮影を行った」と発言されていましたが、これはどういう内容だったのでしょうか?

マイケル・ベイ監督(以下マ:)
これはシカゴの街で映画の撮影をすることを許可してもらったためで、全部で12ブロックほど開放してもらったのですが、これほど多くのエリアに撮影許可が下りることはまずないと思います。

夏に撮影したのでシカゴには観光客が何千人といまして、そういう中でアクションシーンの撮影を行ったので、爆発シーンや機関銃を掃射するシーンなどを、彼らが見ている前で撮ることになったんです。そのたびに観光客の方々が見に来て、拍手をしてくれましたね。


とはいえ、(撮影を見ている観光客が)映っているというわけではないです。ただ、撮影チームからすると、あまり長くは滞在してほしくないな、というところはありましたね(笑)

Q:
ジェームズ・キャメロン氏の勧めを受けて今回初めて3Dカメラを導入し、全編の6割以上の映像を3Dカメラで撮影したとのことですが、実際に使ってみて、3Dカメラがこれから映画界で主流になるという手応えは感じられましたか?

マ:
おっしゃるように60%を3Dカメラで撮影して、20%はCGで、残りは通常のカメラで撮ったものを変換したというやり方で製作しました。

通常のカメラの映像を変換した部分というのは、まだ3Dカメラでは撮れないような複雑なシーンがあるためです。今回は屋外での撮影や、アクションシーンが多かったこと、そして空中撮影もあったので、セットの中でコントロールしているような撮影の仕方とはまったく違いました。これまで作られた3D映画の中でも、最も大変な撮影だったと言ってよいと思います。

カメラはどんどん性能がよくなってきていますし、まだ新しい技術なので、これからもっと開発が進んで素晴らしいものになると感じています。


Q:
VFXについておうかがいします。「トランスフォーマー」「トランスフォーマー/リベンジ」でも他の映画でも見たことのない表現が多くあり、特によだれのようなものを垂らしているシーンをはじめとした生々しい表現や、スローモーションで強調されたシーンなどが印象に残ったのですが、監督ご自身は、綿密な打ち合わせをしていく中で、どんな注文を具体的につけていったんでしょうか?

マ:
6年間一緒のチームでやっていて、僕はPCに向かって音楽を聞きながら、僕のイメージするアクションシーンを書き出すんです。僕のオフィスの中にも小さなチームがいて、そのチームと一緒に9ヶ月間くらい、ラフなカートゥーンというか、アニメーションを作っていって、そこでロボットをこういう風に動かそうと決めていきます。

でも、時々、その作った非常にラフなカートゥーンと映画のシーンがほとんど一緒ということもあるんです。ちなみに、1作目の「トランスフォーマー」を作るにあたって、最初に浮かんだイメージは、サムがバンブルビーから飛びだして、また戻るというシーンなんです。もちろんアニメーターがアイデアを出すこともあるので、チームワークを生かして作っています。

左が主人公のサムを守るバンブルビー、右がオートボットを率いるオプティマス・プライム


Q:
3Dについて今回かなり高い評価を得ていますが、3D映画の製作は初挑戦にもかかわらず、これだけの大作を作った経験から感じたことをお教えください。また、同業者がこういった3D映画を製作することについても教えていただければ。

マ:
まず、(3D映画の撮影には)時間がかかるということですね。いろいろな技術的なチャレンジがありまして、説明しても読者が退屈するだけなんですけど(笑)

すごく労力が必要なのは、カメラの本当に微妙なズレを直すというところで、これには人件費が非常にかかります。撮影した映像を修正・調整することにとにかく時間がかかりました。

3D撮影をして映画を作りあげることのできる監督は一握りしかいないと思っています。3Dカメラを使ったからといって、いい3D映画が作れるということではなく、やはり空間の使い方や動かし方などで体感させるということを理解しないといけない。そういう部分については持っている人と持っていない人とがいて、教えられるものではないです。

Q:
全編かけて2時間37分と「トランスフォーマー」シリーズ史上最も長い上映時間となっていますが、なぜこんなにも大分量になったのでしょうか?

マ:
完結させなくてはいけないストーリーが多かったからですね。ファンからの「ロボットたちの過去にさかのぼったバックストーリーが見たい」といったニーズを感じていたので、そこに時間を割きました。そして、感情豊かな作品にしたかったということもあります。

実は、今回の「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」よりも、2作目の「トランスフォーマー/リベンジ」の長さの方に文句を言われることが多いんです(笑)というのも、「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」の方がよりストーリーに入り込めるようになっているので、最初の2作よりもリズムがよく、アクションについてもラストまで残しておいたのがよかったと考えています。


Q:
「トランスフォーマー」、「トランスフォーマー/リベンジ」では「人間が死ぬ」という描写はほぼ見受けられなかったのに、今回の「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」では「人が死ぬ」ことを露骨に見せる演出がありましたが、何か方針転換があったのでしょうか?

マ:
ずっと同じレベルで作品を作り続けるわけにはいかないですし、少しエスカレートしていかなくてはいけない部分があると思っていて、今おっしゃったところは確かに暴力的なシーンではありますが、短くかつ早く過ぎ去っていきます。子どもが見るということもありますし、長く観客の目につかないように作っています。

この演出を通じて、ディセプティコン側が本気なんだということが理解できますし、(主人公のサムたちが)これだけ恐ろしいものに直面しているのだということを明確にしたかったんです。

Q:
クライマックスに入る前のラスト30分ほどのところで、他の映画だったら「ここからが見せ場」といえるようなところがまるごとカットされ、あるべき描写が丸ごと抜けて、いきなり「事件」後に飛んでしまったような印象を受けたのですが、あれはどうしてですか?公開に間に合わなかったのでしょうか?それとも、上映時間の都合上だったのでしょうか?

マ:
いい着眼点ですね。そのあたりの場面をカットしたということは一切なく、意図的にあのような演出にしたんです。

宇宙人が攻めてくるといったタイプの映画というのは、「宇宙戦争」やローランド・エメリッヒ監督が手がけた作品などをはじめとしてすでに多く存在していて、観客はすでに十分(宇宙人に侵略されるシナリオの映画を)見てきているので、いきなり制圧された後のシーンに持っていきたかったんです。(ディセプティコンによる攻撃のシーンを)少しだけ見せてすぐに場面を飛ばしたのは、そういうことです。

制圧する際の攻撃シーンというのも撮りたかった部分ではあるのですが、それよりも「トランスフォーマーがどのように勝利するか」というところにフォーカスを当てたかったんです。

Q:
ありがとうございました。

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in インタビュー,   映画, Posted by darkhorse_log

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