乗り物

2011年F1世界選手権イギリスGP、3チームが三つ巴の大激闘

by p_c_w

7月10日、イギリスのシルバーストーンサーキットでF1世界選手権イギリスGPが行われました。

2011 FORMULA 1 SANTANDER BRITISH GRAND PRIX Results

今回ポールポジションを獲得したのはレッドブルのマーク・ウェバー。今季すでに6勝を挙げているセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は2番手スタート。その後ろにはフェルナンド・アロンソ、フェリペ・マッサのフェラーリコンビがつけました。


イギリスのチームであるマクラーレンにとっては母国GPで、2人のドライバーも母国GPにあたるレースで、ジェンソン・バトンは5番手、ルイス・ハミルトンは10番手スタートとなりました。また、ザウバーの小林可夢偉は自己ベストである8番手スタート。野村證券やその支援を受けたグループによる買収の噂が出ていたヒスパニアレーシングは21歳の新人ダニエル・リチャルドを起用しました。

ちなみに、今回のレースではブロウン・ディフューザー(Blown diffuser)の使用が一部制限されました。ブロウン・ディフューザーには、アクセルを踏んでいないときにも一定の排気ガスを強制的にディフューザーに送ることができる「ホット・ディフューザー」と、アクセルを踏み込んだときに燃料バルブを閉じてエキゾースト(排気管)には冷たいガスだけを流す「コールド・ディフューザー」の2種類があって、いずれもダウンフォースを得られる効果がありますが、現在のF1が重視している環境面への配慮に逆行していること、また、可動空力デバイスは禁止というレギュレーションにも抵触することから禁止されたもの。

レース開始前に雨が降って路面の一部が濡れたため、各車、インターミディエイトタイヤ(小雨用タイヤ)でのスタートとなりました。

スタート直後、ベッテルは早々にウェバーの前に立ち、これまでの多くのレースと同様、先頭を逃げるレースを展開。3番手のアロンソは一時ウェバーとの間を大きく開けられますが、この差を詰めてバトルに持ち込みます。また、10番手スタートのハミルトンは巧みなコース取りでポジションを上げ、マッサの後ろを猛追する形に。

可夢偉はディ・レスタの後を追いかけていましたが、9周目にミハエル・シューマッハに追突される不運があって順位を落としてしまい、さらにこのあとエンジントラブルがあって今季初のリタイアを喫しました。一方、ぶつけた側のシューマッハは破損したノーズの交換と同時にタイヤも晴天時のソフトタイヤに交換してペースを上げていきます。

13周目、2番手走行中のウェバーと3番手走行中のアロンソが同時にピットイン。ここでの逆転はならず、入ってきたままの順位でピットアウト。15周目、コース上でバトンがマッサを、ハミルトンがアロンソをオーバーテイク。イギリス人ドライバー2名を乗せたマクラーレンの活躍でサーキットは非常に盛り上がります。

ベッテルとウェバーはその後も順調に逃げ続けますが、アロンソが必死に追撃。28周目にアロンソはベッテルと同時にピットインしますが、ここでレッドブルにオペレーションミスがあってベッテルはピット時間が延び、その間隙を突いてアロンソが前にでます。これが前の周回までに2度目のピット作業を終えていたハミルトン、ウェバーの走行と重なり、順位はアロンソ、ハミルトン、ベッテル、ウェバーという形に。その後ろにはバトン、マッサが続きます。

アロンソは先頭に立った後、全体最速ラップを連発してハミルトンとの差を広げていきます。一方、7勝目を目指すベッテルはなかなかハミルトンの前に出られず、36周目にはテールトゥノーズでの接近戦を演じるも、レコードライン以外は路面が濡れていたりして前に出ることはできずピットイン。この次の周回でハミルトンがピットインし、ベッテルはハミルトンの前へ出ることに成功します。

40周目、バトンがピットインしますが、タイヤ交換作業中に右フロントタイヤの交換器具が故障。メカニックが器具を持ち替えようとしている間にロリポップ担当がゴーサインを出したため、タイヤを締める作業が完了しないままにバトンは走り出してしまって、ピットレーン出口で車を止めることに。

バトンがリタイヤ後、1台残ったマクラーレンの意地を見せてきたハミルトンでしたが、中盤で激しいバトルを何度も繰り広げたことから燃料不足に陥る可能性が出たためある程度燃費を気にする走行に入らざるを得ず、46周目にウェバーに抜かれて4位にダウン。ウェバーはさらにペースを上げてラスト1周となった51周目にはベッテルとテールトゥノーズの激戦に突入、ベッテルを抜かないようにというチームからの指示を受けていたようですが、それを無視する勢いで攻め立てました。また、ハミルトンも後ろからマッサの猛追を受けてこちらもほぼ横並びの戦いとなりました。

結局、アロンソは首位に立ってからは危なげのない走りでチェッカーフラッグを受け、今季初優勝。2位にはベッテル、3位にはウェバーが入りました。

ドライバーズランキングはベッテルが204ポイントで1位を独走中。ウェバーが2位(124ポイント)、アロンソが3位(112ポイント)、ハミルトンが4位(109ポイント)、バトンが5位(109ポイント)となっており、まだまだベッテルが80ポイントの差をつけて逃げ続けています。

次のレースは7月24日、ニュルブルクリンクで行われるドイツGP。連覇を目指すベッテルが母国GPでどういった走りを見せるのか、そしてブロウン・ディフューザー規制の撤廃に合意したフェラーリがどうマシンを仕上げてくるのか、楽しみです。

・次のレース
トップ3台が熾烈なバトルを繰り広げた2011年F1世界選手権ドイツGP


この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
2011年F1世界選手権ヨーロッパGP、母国でアロンソとアルグエルスアリが好走 - GIGAZINE

2011年F1世界選手権カナダグランプリは雨中の激戦、最終周までもつれる波乱の展開に - GIGAZINE

抜けないモナコから抜けるモナコへ変貌した2011年F1世界選手権モナコGPのレース結果 - GIGAZINE

2011年F1世界選手権スペインGP、1周目から観客のボルテージは最高潮に - GIGAZINE

2011年F1世界選手権トルコGP、小林可夢偉は最後尾から猛追 - GIGAZINE

2011年F1世界選手権中国GP、開幕2連勝中のベッテルの結果は - GIGAZINE

2011年F1世界選手権マレーシアGP、小林可夢偉は10番手スタート - GIGAZINE

2011年のF1世界選手権がオーストラリアで開幕 - GIGAZINE

in 乗り物, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.