メモ

欧米人が中国へ出稼ぎに行く一方、中国人の億万長者たちは国外へ脱出したがっている


空前の経済成長により現在アメリカに次ぎ世界で2番目に大富豪が多い国となっている中国ですが、西側諸国のビジネスマンたちがチャンスを求めて中国へと渡る一方で、中国で生まれ育ち中国で財を成した「新興富裕層」の中国人たちの多くは、「買えるものなら買ってでも他国の国籍が欲しい」と考えているようです。

実際に、移り住みたい国の経済に多額の投資をすることによって居住を認められ、ゆくゆくは市民権を得られるといういわば「国籍を売る」制度を導入している国も多数あり、すでに中国を脱出してしまったお金持ちたちも多いとのこと。


詳細は以下から。Rich Chinese consider leaving China - Telegraph

ボストンのコンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーが中国の富裕層2600人を対象に行った調査により、資産額1000万ドル(約8億2000万円)以上の中国人の6割は、これまでに「お金で他国の国籍や永住権を買う」ことを検討したことがあるか、すでに移民していたり、さまざまな手段で国籍取得を済ませてしまっていることが明らかになりました。

自国の経済への資本流入を期待して「市民権を売る」制度を導入している国は西側諸国に多く、各国の移民法は基本的に「お金を稼ぎに来る外国人労働者は締め出すが、お金をつかいにくる外国人投資家なら大歓迎」というスタンスで作られているようです。

例えばイギリスでは、イギリスの銀行に口座を開設し100万ポンド(約1億3600万円)の預金をすれば移住を認められるとのこと。オーストラリアでは150万オーストラリアドル(約1億3200万円)分の国債の購入、アメリカではアメリカ企業への100万ドル(約8200万円)の投資、カナダでは80万カナダドル(約6920万円)の投資などで永住権が得られます。


失業率の高さにあえぐ各国にとって、国民から仕事を奪う外国人労働者を排斥したい気持ちはあっても、その国の経済に資本をつぎこみ、企業に投資することや自ら新しいビジネスを始めることによって雇用を生み出してくれる外国人投資家は非常にありがたいもの。審査基準に総資産額や年齢・職歴などが入ったり、長期間暮らして初めて市民権や永住権を申請することができるようになったり、それぞれの国によって制度の細かい部分は異なるものの、定住を認められる理由のカテゴリーに「ノーベル賞受賞者である」「不足している労働人口をおぎなう人物である」「難民である」などとともに「お金持ちである」という意味の項目を設けている国は多く、もちろんこれまでの人生でそのお金を稼いできただけの能力や実績を認められるという面もありますが、「国籍や市民権はお金で買えるもの」というのが実情です。

一方、財を成した中国人たちがその資産を国外へ移し中国から出たいと考えるのはなぜなのかというと、今回の調査では「子どもの教育のため」という理由がトップとして挙げられたそうです。実際に、海外で教育を受ける子どもの数は年々20%のペースで増えていて、現在は23万人の中国籍の学生・生徒が国外の学校へ通っているとのこと。

「国籍を買える」ほどの資産家であれば子どもが幼いうちから海外の寄宿学校などへ送るだけの経済力もあると思われますが、そこはやはり買えるものなら国籍を買ってでも移住して、子どもと一緒に暮らしながら質の高い教育を受けさせたいと考えるのが親心なのではないでしょうか。


また、「豊かな老後のため」という理由で中国国外への移住を希望する富豪たちも多いとのこと。今年中には可処分資産100万ポンド(約1億3600万円)以上の人口が58万5000人(2008年の2倍近く)に到達すると見られる中国では、仕事から引退したあとに「人生を終えるまでの長いバカンス」の値段として、永住権を買うような金額をポンと払えるという人々も増えているようです。

国籍や永住権・市民権の値段というものにも需給バランスが働いているのか、カナダやオーストラリアでは最近になって法改正により移民の審査基準のひとつとなる総資産額がそれぞれ倍額につり上げられています。

中国出身の有名人では、「初恋のきた道」での可憐なデビュー以来世界的な人気を誇る女優のチャン・ツィイーや、「さらば、わが愛/覇王別姫」でカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞したチェン・カイコー監督、世界的ピアニストのラン・ランなどが、すでに中国本土を離れています。

「さらば、わが愛/覇王別姫」や「始皇帝暗殺」のコン・リーも、2008年に結婚によりシンガポール国籍を取得しているそうです。


「中国を代表する」と呼ばれるような映画人たちがすでに中国籍でなくなっている一方で、香港出身でアメリカ暮らしが長いジャッキー・チェンは、最近では中国でのCM出演などが収入の多くを占め、中国市場でのキャリアを重視しているそうです。アメリカで生まれたジャッキー・チェンの息子ジェイシー・チャンは子どものころには二重国籍を持っていたのですが、成人したとき(香港返還後)に中国籍を選んでいます。

昔から世界各地にチャイナタウンが存在し、長年にわたり中国出身者の結束の強いコミュニティが作られていますが、世界のどこに住んでも、中国籍を放棄しても、民族への帰属意識や「中国」という国への愛憎の混じったこだわりは消えないものなのかもしれません。

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in メモ, Posted by logc_nt

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