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脱・ワイン初心者、ソムリエに寿司のネタに合うワインのうんちくや役立つ豆知識を山ほど語ってもらいました


どんなワインが寿司ネタと合うのか?をテーマに「肉には赤ワイン、魚には白ワイン」というような誰でもちょっと調べればわかる初心者レベルから、他人にうんちくや豆知識を披露できるレベルへのステップアップを目指し、株式会社ベルーナ My Wine CLUB(マイワインクラブ)の協力のもと、ソムリエに寿司に合うワインを探してもらい、寿司の名店「銀座久兵衛」でじっくりと教わってきました。

今回は用意してもらった多種多様なワインをさまざまな寿司と合わせながら、ソムリエにその味わい方と楽しみ方を懇切丁寧に教えてもらうことによって、様々な料理とワインの相性をわかりやすく解説してもらっているため、読むだけでワインの知識のレベルアップができ、何度も読み返すことでさらに深く理解できるようになるはずです。

というわけで、知っておいて損はない寿司+ワインの脱・初心者フォトレポートは以下から。【ソムリエ監修】ワイン通販専門店 My Wine CLUB(マイワインクラブ)

銀座久兵衛に到着。


ビルの1階ですが、入り口は和風の装いです。


今日は赤、白、ロゼ、スパークリングなど各種のワインを用意してもらいました。


板前さんと向かい合う形のカウンター席もありますが、今回はテーブル席をお借りしています。


今回お寿司に合うワインを解説してくれるのは、My Wine CLUB(マイワインクラブ)で取り扱う全てのワインの監修を行っている磧本修二ソムリエ。日本のワインレストランの草分け的存在である六本木の「ミスター・スタンプス・ワインガーデン」のオーナーソムリエでもあります。


ワイン初心者としてソムリエの指南を受けるのは、HIPHOPアーティスト「THE ROYAL CROWN(ザ・ロイヤル・クラウン)」のCKさん。


ザ・ロイヤル・クラウン CK氏(以下、CK):
お寿司には日本酒とか焼酎を合わせるイメージが強いんですが、ワインはどうなんだろう、と興味津々です。ソムリエ、よろしくお願いします。

磧本修二ソムリエ(以下、ソムリエ):
僕らの世界でも、和食とワインを合わせようっていうのは興味の尽きないところで、寿司とワインは合わないという話を聞くこともありますが、ワインというのは幅広いですからね。そんなことは全然ないです。特にシャンパンスパークリングワインというのは寿司とすごく合わせやすい。特にご飯とワサビの香りは、スパークリングワインと良く合います。

食事とワインを合わせる場合、重要なのは味よりも香りです。お寿司に限らず、和食の香りというのは非常にデリケートですよね。フレンチとかイタリアンとかは肉系が多いですが、和食といえば魚が中心で、その香りはヨード香(海草の香り)っぽいかつおダシとか昆布ダシとかがメインになります。とらえ方によっては、そうした香りとワインを合わせるのは難しいんじゃないかという意見も出てくるわけですが、逆に言えば、面白い材料です。

私自身も主人と知り合いの寿司屋でいろんなネタとワインをひとつずつ合わせてみたことがありますが、面白いですよ。


CK:
食事の香りとワインの香りを合わせるということですか。

ソムリエ:
例えば赤と白でも香りが違いますよね。赤はブドウの皮からくる香り(スキンフレーバー)があります。皮の香りというのは揮発的な香り、木の香りや湿った草の香りに近い香りがします。悪く言えばちょっと生っぽい香りですね。ものによっては、せっかくの良いお寿司の香りを殺しちゃうこともあるかも知れませんね。

あとはネタそのものの味、ワサビ、お醤油の香りなんかも関係してきます。

CK:
基本的なことなんですが、皮を取って発酵させるのが白ワインで、皮と一緒に発酵させるのが赤ワインという違いなんでしょうか。

ソムリエ:
そうですね。ブドウを搾る遠心分離機があって、グルグル回って皮だけ中に残してジュースを外に分離させちゃうという工程があるんです。皮を取ると香りとしてはすごくフルーティなワインが造れますね。そこにちょっとスパイシーさを加える場合は、皮を少し残して置く場合もあります。赤の場合は完全に皮と一緒に造ります。赤い色は皮からしか取れませんからね。真っ黒いブドウでも、皮を取ってしまえば白になります。ピノ・ノワールというワイン用のブドウ品種があって、これも黒い実ですが白ワインにも使います。


CK:
ロゼっていうのはどうなんですか?

ソムリエ:
ロゼっていうのは、いろいろな造り方がありますが、一番基本的なものは、赤を造っている時、だんだん赤い色がワインについていくんですが、その途中で皮を取り出してしまう方法があります。EUでは禁止されているんですが、国によっては赤と白のワインを混ぜて造るところもあります。

例えばシャンパンを生産するシャンパーニュ地方では、EUの中でここだけ特別に赤と白を混ぜてロゼを造ることが認められていて、ロゼのシャンパンが造られているんです。

CK:
ちなみにソムリエがワインで一番好きな国ってどこですか?

ソムリエ:
それはやっぱり、修行に行った国のフランスですね。ただ、日本というのは世界各国のワインが入ってくる国で、それこそ何十ヶ国という国のワインが入ってくるんですね。フランスのソムリエだと、ヨーロッパ系のワインを調べておけば大丈夫というところもありますが、日本のソムリエはそうはいかないですから、そういう意味では日本のソムリエというのは器用ですね。


CK:
修行の時は、利きワインみたいなこともしたんですか?

ソムリエ:
もちろん、修行の時はね。私がワインの道に入ったのは20歳を少し過ぎてからで、それまでは料理をやっていました。それからフランスに行って、そのころは1日100種類とかをテイスティングするんですよ。

CK:
100種類目とかになったら、もうフラフラなんじゃないですか?

ソムリエ:
いやいや、全部は飲みません。舌で味わって、飲み下さずに捨てるんです。100種類も飲んだらそれこそ酔っちゃいますよ(笑)


CK:
なるほど、そうなんですね。やっぱりソムリエという仕事をしていると、どのワインを飲んでも味がまったく違うものに感じるものなんですか?

ソムリエ:
香りと味で品種はこれだなというのは分かります。

ブラインドテイスティングというのがありますね。ワインの品名が分からない状態で飲んで、これはどの地域のなんというワインか当てるというものです。ソムリエはこれを繰り返して勉強するんです。

CK:
やはり地域や国によって違うものですか?

ソムリエ:
やっぱり違いますね、有名なシャルドネというブドウの品種がありますが、同じシャルドネでも国によって違います。土と、日照時間と温度によって味が変わるんです。オーストラリアのシャルドネとヨーロッパのシャルドネでは、根本的には一緒なんですが、やっぱりちょっと違う。北のほうは若干酸度が高かったりします。

CK:
年代でも「この年代はどこのワインもうまくできていた」っていう年代があったりするんですか?

ソムリエ:
あります、あります。ワインというのは、古ければいいというものではなくて、そのワインに非常にマッチしたグレートイヤーズと言われる年があるわけですね。例えば1945年、47年、49年がそうです。ブドウというのは、芽が出て、4月か5月には実がなって、それから色がついて、収穫するのは9月か10月です。この間に敵である雨であったり霜であったりがいつ来るかによって味も変わってくるんです。

例えば、実が熟して糖度がどんどん上がっている時、ブドウたちは水が欲しくてたまらないわけです。こんな時に雨が降られてしまうと、一気に雨を吸ってしまって、糖度が水分に侵されちゃいます。するとアルコール度数が上がらない、軽いワインになっちゃうんです。そんな風に、環境にすごく左右されるんです。

お寿司のネタでマグロはどこどこのものが良い、ということを言ったりしますが、それはそこのマグロが住んでいる環境が良いからで、ブドウも一緒です。その年の土の状態、栄養分がブドウにマッチすると、良いブドウができる。それによって良いワインが出来てくるわけです。


CK:
2011年のワインって、2012年に飲むものなんですか?

ソムリエ:
例えばヨーロッパで言うと、9月から10月でワインを造って、その年の間に瓶詰めするものというのは、比較的安価なワインです。良いワインでしたら、樽に入れて、ものによっては1年から2年寝かします。例えば2011年の、偉大なるシャトー・ラトゥールなどであれば、樽に入れて瓶詰めされるまで2年から3年かかるでしょう。

CK:
そうすると、今のフランスの気候なんかも気にしたりするものなんですか?

ソムリエ:
もちろん。今ワインの世界では暖冬と騒がれていて、造り手も天候の読みは昔よりも深くなっています。ブドウというのは品種がいろいろありますから、今年はこの品種はすごく良くできたけど、この品種はダメだったというのもあります。カベルネ・ソーヴィニヨンとかシャルドネとか、ブドウによって収穫する時期も違ってきますから。

例えばメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンであれば、メルローのほうが収穫がちょっと早い。カベルネ・ソーヴィニヨンがだいたい10月5日くらいに収穫するんですが、メルローはそれから10日から2週間前に収穫されます。このくらいの時期のどこで雨が降るかということで、今年のカベルネ・ソーヴィニヨンは良かった、メルローはダメだった、というような違いが出てくるわけです。


CK:
なるほど、日本酒や焼酎とはまったく違うわけですね。

ソムリエ:
日本酒も造るのは大変です。もともと糖が無いので、いったん糖化させて発酵させるんです。ワインの場合はもともとブドウに糖がありますから、そのまま造れる。でも逆に言うと、その分ブドウの特徴がそのまま出てしまうんです。だからこそ様々な特徴を持ったワインがあるし、そういう中だからこそ、お寿司に合うワインというのも必ずあるはずなんです。

最初から「こういうワインがいいんだ」と決めつけずに、いろんなものにトライしてみるのがいいですね。そうすることによって、自分の好みのワインというのが分かってきます。そういう中で「これとこれは合うな」という組み合わせも自然に出てきます。

ワインと料理というのは2つの考え方があって、ひとつには料理もワインもぴったりと合って、ワインもおいしい、料理もおいしいという最高のベストマッチを探す考え方。もうひとつは、今日で言えばお寿司がメインで、そのメインの料理を邪魔せずしっかりと引き立てるワインを探す考え方です。

例えば良いワインを飲むときは、食べ物はパンとチーズさえあればいいと言いますが、その逆の発想ですね。今日は久兵衛さんのお寿司を、もちろんおいしいんですが、普通に食べる以上においしくする、そういうワインを探してみたいと思います。

寿司通の人に言わせると、寿司にはお酒よりもお茶が一番合うと言います。それは確かに、お茶は邪魔をしないのでそうなんですが、お酒があるとやっぱり楽しいですよね。ワインと料理を合わせるということ、そのものにも楽しみがありますしね。


CK:
なるほど、それでは今日はお茶を超えるワインを探すということで、よろしくお願いします。

ソムリエ:
ワインと寿司が合わないというのは、寿司の酢の部分によるもののようです。お寿司屋さんによっては、入った瞬間米酢のムッとした香りが鼻を突くようなところもあります。あの香りが、確かにワインのフルーティな香りを損なうんです。そういう所があったので、合わせづらいということも言われたようですが、今はもう、そういう所は少ないと思います。

CK:
何かを食べると「あ、この食事はあのワインが合うな」っていう引き出しがあるものなんでしょうか。

ソムリエ:
確かに、食事に行くと「あのワインに合わせてみたいな」と思うことがありますね。あのワインを合わせてみたらどうだろうか、こういう品種が合うんじゃないかって。私たちの場合は、お客様にワインをおすすめして、こちらで決めてしまうこともあるので、責任重大ですから、常にそういうことを考えるようになるんでしょうね。

お寿司屋さんに行くときも、ビールか日本酒しか無い場合はそれを飲むんですが、その合間合間に「ワインだったら……」というのは考えます。

CK:
僕の勝手な思い込みかもしれないんですが、女の子は赤ワインを飲むとちょっとリラックスした気分になるのかなと思うんですが。


ソムリエ
いや、本当かどうか分からないですが、赤ワインに含まれる成分が、お腹の中に入ると体をリラックスさせる効果があるとも言われています。

CK:
なるほどー!

ソムリエ:
それでは、ワインを飲んでいきましょう。My Wine CLUB(マイワインクラブ)とアルゼンチンのワイナリーの共同開発ワイン「コンドール・アンディーノ」シリーズの「トロンテス」という品種です。


ソムリエ:
アルゼンチンのワインは昔に比べて非常においしくなりましたね。私が最初にアルゼンチンのワインを飲んだのは、30~40年前で、その頃はアルゼンチンワインというのは日本にもほとんど入っていなくて、非常に荒っぽいワインでしたが、今はとてもおいしくなりました。


CK:
香りの楽しみ方というのもあるんでしょうか。

ソムリエ:
そうですね、よくこうして回すのを見ると思いますが、その前に最初の香りを試して、それから回してみると違いが分かります。最初はちょっと揮発性の香り、ちょっと酸味のある香りがしますが、回すとちょっと熟れた果実の香りが出てくると思います。

このワインの香りは、グミの実とか、黄色い野いちごとか言われますね。この黄色い野いちごというのも面白い表現で、赤い野いちごも黄色い野いちごも香り自体はそんなに変わらないんですが、見た目のイメージを喚起するので、ソムリエは色の違いまで表現に加えるんです。


CK:
そういうものが実際に中に入っているんですか?

ソムリエ:
いえいえ、入っているんじゃなくて、中に入っているのはブドウだけですが、味や香りのイメージをほかのものに例えることで、ワインへの期待感やおいしさを高めるのがソムリエの仕事なんです。

CK:
おいしいですね。口当たりが優しくて。

ソムリエ:
おいしいでしょう。優しい酸味がすごくいいですよね。私が思うに、酸味がすごく強い、いわゆるドライな、辛口のワインはお寿司には合わないかもしれませんね。すごく辛口のものよりも、少し甘味があったほうが、お寿司には合わせやすいと思います。特に寿司の中でもシャリに合わせやすい。ネタそのものならドライなものでも合わせられますが、お寿司として握った場合は、少し甘味を加えた方が良いです。


CK:
逆にその酸味が効いたものであれば、どんなものが合うんでしょうか。

ソムリエ:
コハダなどの光り物と呼ばれる部類は、辛口に合うでしょう。これは寿司にするのではなくて、刺身の場合ですね。サバの押し寿司なんかも合うかも知れません。

CK:
ワインを味わう時に、まず舌のどこに乗せたらいいんでしょう?

ソムリエ:
飲む時は別ですが、テイスティングをするなら舌の真ん中にまず乗せて、しばらくそこに置いておき、舌の全体に回しながら味わっていきます。

CK:
お寿司が来ましたね。それではいただきましょう。


ソムリエ:
まずはコハダと合わせてみましょう。このワインはわずかにフルーツの甘味があって、シャリとよく合います。エレガンスな感じですね。


ソムリエ:
もう一種類白を注いでもらいましょう。これも「コンドール・アンディーノ」シリーズで、左側が「ソーヴィニヨン・ブラン」という品種です。先ほどのトロンテスはベリーの香りがありましたが、こちらはレモンの皮の香り、それに干し草の香りが入っています。


ソムリエ:
今日は無いんですが、シャルドネなどの品種で何年か樽に寝かせたものは、逆にお魚の香りを損なってしまいます。シャルドネを使ったワインにもいろいろあるので、一概には言えませんが、お寿司に合わせるのは難しいかも知れません。

また、シャブリグラン・クリュ(特級畑)なども、お寿司に合わせるのは難しいと思います。ワインも最高のもの、お寿司も最高のもの、そのふたつを合わせることができる食通というのは、なかなかいないでしょう。

ソーヴィニヨン・ブランに戻りますが、口に含むと酸味のあとに少し苦みが出てきますよね。これがね、ワサビと良く合うんです。例えばタイなどの白身の魚。タイは口に入れるとほんのりと磯の香りがしますね。これがソーヴィニヨン・ブランと非常に良く合います。

イカもソーヴィニヨン・ブランと良く合います。イカを食べていると独特の甘味が出てきますよね。この甘さとソーヴィニヨン・ブランの苦み、そして香りが、口の中でグゥーっと広がってきます。ちょっと試してみてください。

CK:
……おいしいです。ワインだけで飲んだときと、イカを食べてからワインを飲んだときとで全然違います。


ソムリエ:
これが面白いところですね。ワインを合わせるということの面白さです。魚によって、脂が乗ったもとのとか、あっさりしたものとか、魚独特の甘味があるものとか、それによって合うワインも変わってきますし、例えばタレがついているものであれば赤ワインがすごく良く合いますよ。

CK:
いや、今、すごくびっくりしました。ワインだけで飲んだ時は、トロンテスの方が飲みやすいと思ったんです。ソーヴィニヨン・ブランは単体で飲んだ時はちょっと引っかかる感じがしたんですけど、イカを食べた後だとまったく違いますね。


ソムリエ:
酢で締めたようなものにはトロンテスが良く合います。逆に白身の魚やイカなんかには、ソーヴィニヨン・ブランが合いますね。

CK:
変な質問なんですが、ショウガには何が合うんですか?

ソムリエ:
ショウガは、ワインを合わせるより、お口直しと考えたほうがいいでしょうね。強いて言えば、ちょっと脂っぽいものを食べた後だけど、甘口の白ワインしか無いという時に、ショウガを一度食べて口の中で脂の味を押さえてからワインを飲むと、ワインをおいしく味わえるんじゃないでしょうか。

次はロゼを注いでもらいましょう。 このロゼは「パリ・コンクール」というワインのコンクールで金賞を受賞したロゼワインを集めた「フランス金賞ロゼワイン・リヴィエール6本セット」の中の1本です。


ソムリエ:
ロゼは貝類と合わせてみます。特に赤貝ですね。食べて見てください。


CK:
いただきます。……おいしいですね、ワインが全然お寿司の邪魔にならないです。

ソムリエ:
適度な甘味があっておいしいでしょう。白か赤しか飲まないという人も多いですけど、ロゼは本来、食事にとっては本当に捨てがたいものなんです。あとは湯通ししたエビなんかもロゼと合わせるといいですね。あとはマグロの赤身や中トロもロゼと合います。


CK:
んふっ……これは……良いトロですね(笑)

ソムリエ:
魚の脂っていうのは、すごく優しいんですよね。舌にソフトに絡んで来ますから、ただ辛口なだけじゃなく、少し甘味があるワインだと、舌の上でエレガンスな味わいを楽しむことができます。


CK:
ロゼとトロ、これは良い組み合わせですね。おいしいです。脂が強いものだと、赤に近いようなワインが合うんでしょうか。

ソムリエ:
そうですね、それに加えて少し甘味があるものだとなお良いです。ドイツワインなんかでも、マグロの脂と合わせやすいと思います。ドイツワインの中でも、リースリングのあの甘味はマグロと良く合うんじゃないでしょうか。

CK:
このロゼ、今までの中だと僕はこれが一番好きですね。

ソムリエ:
良いでしょ。お寿司とロゼっていうのはけっこう合うんですよ。

CK:
ちょっと気になったんですが、玉子とは何が合うんでしょうか。


ソムリエ:
玉子っていうのは、お寿司の順番だと最後のほうに食べるでしょう。だから、何か甘いワインだといいかもしれません。極端に言えば貴腐ワインでもいいでしょう。甘いダシで焼かれた玉子は、デザート感覚で貴腐ワインと合わせるのもいいと思います。今日のワインの中ではトロンテスが合うと思いますよ。合わせてみてください。


CK:
おいしいですねぇ。香りはこのトロンテスが一番好きですね。

ソムリエ:
今度はスパークリングワインを飲みながら、穴子の白焼きをいただきましょう。それに、海苔もスパークリングと合うんですよ。これはスペインの「カバ」、「カルレス・アンドリュー・ブリュット」というスパークリングワインです。スパークリングワインというのは、イーストの香り、酵母の香りがすごく残るんですね。


CK:
なるほど、分かります。

ソムリエ:
この香りはご飯によく合いますね。ウニを食べてみてください。海苔とウニの香りに良く合うと思います。松林の下で潮風を感じながらスパークリングワインを飲むというのも乙だと思いますよ。


CK:
……スパークリングの場合、ウニの味が際立つ感じがします。白ワインの場合はネタと混ざってひとつの味になる感じがしたんですが、これはそれぞれの味がはっきり感じられますね。


ソムリエ:
スパークリングの場合は、余韻をクリアにしてくれます。コースの場合、最初に出てくる軽いものにはスパークリングやシャンパンを合わせて、途中から白に変えていくという流れがあるように、お寿司の場合もネタの流れに沿ってワインも変えていくと面白いと思いますね。

今回のネタには無いですが、イクラもお醤油をつけて臭みを消して、少し塩味を感じさせるようなものであれば、スパークリングが良く合います。よく魚の卵はあまりワインに合わないと言われるんですが、スパークリングなら合いますね。数の子だと独特の香りが強いので、芽ねぎと合わせたものだと白ワインと合わせやすいと思います。

CK:
でも、こういう食べ方ってめちゃくちゃぜいたくですよね(笑)

ソムリエ:
ぜいたくだし、お寿司屋さんは怒るんじゃないですか(笑)

でも、高級ワインのように繊細な味のものよりも、フレッシュで味のはっきりとしたワインのほうがお寿司には合わせやすいと思います。

CK:
逆に言うと、高級ワインの場合は、ワインをメインにして引き立たせるようなもののほうがいいんでしょうか。

ソムリエ:
そうですね、チーズとか。お寿司屋さんにもそういうメニューはあるでしょうし、お寿司屋さんでは高級ワインを楽しめないということじゃなく、一般的なお寿司を味わう場合は、高級ワインよりもフレッシュなワインのほうが合わせやすいということですね。次は赤をいただいてみましょう。これは、白ワインと同じブランド「コンドール・アンディーノ」シリーズの「マルベック」というブドウ品種の赤ワインです。


CK:
赤でもけっこう透明な色ですね。


ソムリエ:
注いですぐの時は揮発的な香りがありますから、飲み始めるしばらく前に開けておくといいかも知れませんね。赤はタレの穴子を合わせてみたいと思います。

CK:
……おいしい!

ソムリエ:
そうでしょう、絶対に魚には白が良いというわけじゃないんです。甘辛く造ったタレというのは、赤ワインのほうが合うと思います。赤ワインの中でも、お寿司に合わせるなら、軽めの赤ワインがいいでしょう。そして、余韻に甘味が残るものよりは、スッとキレのあるものがいいですね。

CK:
「マルベック」というブドウはどんなものなのですか?

ソムリエ;
「マルベック」は、アルゼンチンのワインです。「マルベック」はもともとフランスのブドウで、キリスト教の宣教師たちがチリやアルゼンチンに持っていった品種です。

CK:
アルゼンチンのワインというのは、他の地域と比べてどういう特徴があるんですか?

ソムリエ:
ひとつは、ブドウにとって最高のコンディションを持った土地ということがあります。アンデス山脈の寒さと海からの暖流の風との寒暖の差が、ブドウに素晴らしいみずみずしさを与えてくれます。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、マルベックなどのフランスの品種でも、酸味と糖度がはっきりと感じられるブドウが出来ます。そこから造られるワインは、樽に入れなくてもすごくバランスのいい、フレッシュなワインになりますね。

ただ、逆に20年や30年の熟成に耐えられるワインというのは少ないです。フランスのワインだと、ずっと長い時間をかけたほうがおいしくなるというものがありますが、アルゼンチンやチリ、オーストラリアなど、寒暖の差がはっきりした所のワインは、非常にフレッシュなものになりますね。こういう場所のワインは、日本料理に合うと思います。


CK:
飲んでみて思ったんですが、ほんとうに食事の邪魔をしないですね。今まで僕のイメージだと赤ってどっしりとしていて、それがおいしさだと思っていたんですが、これは引っかかる感じが全然しなくて、食事がおいしく感じる。本当にお寿司とワインってすごく良く合うんですね。

ソムリエ:
日本酒や焼酎もいいんですが、これらには渋みが無いんですよね。だから、私はお寿司屋さんに行くと、お酒と一緒にお茶も出してもらうんです。最後にアガリとしてもらうんじゃなくて、お酒と一緒にね。日本酒を飲みながらお寿司を食べて、お茶を飲む。お寿司の磯の香り、ヨードっぽさには少し渋みや苦みがあると合うんです。ワインは日本酒の持つような甘味と、お茶が持つ渋みを両方持っているんですね。だからお寿司とワインっていうのは合うんです。

それじゃあ、大トロを赤ワインでいただきましょう。

CK:
大トロは赤ワインですね。いただきます。

……うわぁッ! パーフェクトですね、これは! 今日は大げさな表現は避けようと思ってたんですが、この大トロと赤ワインの相性は本当に素晴らしいですね!

ソムリエ:
大トロみたいに脂がたくさん乗ったネタを食べた後は、赤ワインを飲んだ後に、少し残った白を飲んで、それから巻物に移るといいですね。そうすると、2つの別の世界を感じることが出来ると思います。

あとはお吸い物。これもバカに出来ないですよ、お吸い物を飲んだ後、ソーヴィニヨン・ブランを飲んでみてください。ソーヴィニヨン・ブランの隠れたフルーツの香りがフワッと出てきます。

CK:
……おいしい! ワインが表に出てきますね。

ソムリエ:
これこそ今度はお吸い物が脇役になって、ワインを生かしてくれている形です。お吸い物自体もすごくおいしいんですが、ワインと合わせることで、ソーヴィニヨン・ブランの本来のおいしさがスゥーッと引き出されてくる。今まではずっとお寿司の味をワインが生かしてくれていたんですが、最後にお吸い物と合わせてワインを主役にしてあげることで、感謝の気持ちを表すこともできますね。


CK:
お寿司以外のものにワインを合わせるとしたら、どうなんでしょう。

ソムリエ:
面白いものだと、肉じゃがにワインを合わせることもできます。肉じゃがはポテトの味が強いですが、ブラックペッパーをかけると、赤ワインにすごく合うようになります。ちょっとしたスパイスで、ワインとの相性が良くなったりします。

CK:
「たまごかけごはん」に合うワインとかっていうのもあるんでしょうか?

ソムリエ:
難しいですね、お醤油はかけますか?

CK:
かけます。

ソムリエ:
お醤油を入れるんでしたら、ドイツのリースリングが合うと思います。ちょっと甘味があって、フルーティなドイツ系のワインがいいでしょう。これも、ちょっとかつお節をかけてみると、今度はソーヴィニヨン・ブランに合うようになってくると思います。ちょっとした味の変化で、合うワインも変わってきます。こういう楽しみ方をすると、ワインも面白いですよね。

CK:
面白いですね…勉強になります!

今日のワインで言うと、お寿司以外では、それぞれどんなものと合わせると良いんでしょうか。

ソムリエ:
トロンテスは、クリームを使ったもの。バターとかクリームのような、クリーミィなものと良く合います。

ソーヴィニヨン・ブランは、魚系、特にビネガーなどのドレッシングを使ったものが合うでしょう。カルパッチョみたいなものですね。日本の料理で言うと、昆布ダシやかつおダシを使ったものが合うでしょう。生ガキなんかも、シャルドネよりもむしろ合うかも知れません。

カバはいろんなものに合いますが、特に合わせるなら甲殻類。エビやカニの香りにすごく良いと思います。シュリンプカクテルとか、焼いたカニにお醤油をちょっと垂らしてみても良いかも知れません。

ロゼもいろんなものに合いますね。どちらかと言うと、フルーツのソースを使ったものが合います。ナッツとリンゴを使ったオールドサラダというものがありますが、そういうものとも合いますね。牛肉のステーキなどの重いものでなければ、鳥やウサギ、白身の肉には良く合います。

赤は逆に、ソースを使わない、塩とコショウで焼いたステーキに合うでしょう。この赤は、渋みが押さえられて、まろやかな甘味がフワッと出てくるので、オリーブそのものの旨味を引き立ててくれます。渋みが強いフランスの赤ワインはシチューとか、ソースを使った料理に合いますが、この赤はローストビーフなどに良く合うと思います。

日本の料理は、昆布やかつおの旨味成分、アミノ酸系が強いので、スパークリングワインが合わせやすいですね。


CK:
ソムリエがもしお寿司屋さんで赤、白、ロゼの中で一本だけ選ぶとしたら、どれを選びますか?

ソムリエ:
難しいですね。一般的にはスパークリングワインか白だと思いますが、ロゼも幅広く合わせやすいです。ただ、ロゼの場合は甘いもの、ドライなものでかなり差がありますから、そこをうまくチョイスしないと、あまり甘すぎるロゼだと疲れてきちゃいますね。

しかし、これもお寿司屋さん次第でもあります。例えば私の友人がやっているお寿司屋さんは、タレを使ったネタがすごく上手いんですね。そこではいつも赤ワインを頼みます。そこのお寿司屋さんはどんなものが得意なのか、その日はどんなネタが入っているのか、それによって選ぶのもいいと思います。

今日一日の結論になりますが、お寿司とワインというのは、合わないどころか、すごく合うと思います。ワインは種類も多くて味も幅広いから、寿司のネタひとつひとつと合わせるといのも楽しめますよね。

CK:
ありがとうございました。

CKさんは「コンドール・アンディーノ」の「ソーヴィニヨン・ブラン」、ソムリエはスパークリングワイン「カバ」の「カルレス・アンドリュー・ブリュット」を持って記念撮影。


【ソムリエ監修】ワイン通販専門店 My Wine CLUB(マイワインクラブ)

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in 取材,   インタビュー,   ,   広告, Posted by darkhorse_log

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