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車社会もここまで、ウィンドー越しに故人と対面できるドライブスルー斎場が好評


カリフォルニアのある斎場で、開棺したひつぎに入った遺体を遺影や花とともにショーウィンドーの中に展示し、弔問客が車から降りずに故人と対面できるという「ドライブスルー弔問」が好評を得ているそうです。

「不謹慎だ」などという声も一部あるようですが、特に故人が町の有名人だったり交友関係が広い人物であった場合には、「知り合い」や「一方的に故人を知っている」といったレベルの弔問客も気兼ねなく別れを告げることができ、なかには物珍しさからのぞいてみて初めて「あの人が亡くなっていたなんて」と知るような場合もあり、新しい葬儀の形として注目を集めています。


詳細は以下から。Compton funeral home drive-thru: Paying their respects outside funeral parlor - latimes.com

ロサンゼルス郊外コンプトンにある斎場「Robert L. Adams Mortuary」


「ドライブスルー弔問:6時~午後8時まで」という看板が出されています。


霊きゅう車がとまった先は……


斎場裏の道路まで通り抜けられるドライブスルーとなっています。この奥の右手に弔問用ウィンドーがあるわけです。


ウィンドーを車から見たところ。遺体とともに遺影や花、若かったころの写真なども展示されていて、故人の人生を振り返り思い出すことができるようになっています。


車に乗ったまま記帳し、遺族に対し敬意をはらうこともできます。特に車から降りることが困難な高齢者や身体障害者、「斎場」に入ることに抵抗感がある人などにも好評で、車イスでウィンドーの外から弔問していくおばあさんも居たそうです。


斎場のオーナーPeggy Scott Adamsさん。Adams斎場は1974年にオープンし、1988年にオーナーの故Robert Lee Adams Sr.氏と結婚したPeggyさんは、2005年にAdams氏が亡くなったあと事業をひきついだそうです。


「ドライブスルー」のアイディアは、もともとアメリカ南部の斎場で行われていた「斎場にカメラを入れて別の場所で中継する」というサービスを見て感銘を受けたAdams氏が「何かもっと新しく、今の時代にふさわしい便利な方法があるはずだ」と発案したものとのこと。Peggyさんは最初は「グロテスクなのでは」と半信半疑だったそうですが、やってみると「多くの人々に愛されていた人物に別れを告げる機会を、より多くの人々にスムーズに提供できる」と遺族や弔問客には好評で、本人や遺族の希望で選択された方法でもあるため、「尊厳を損ねる」というような反対意見はほとんど出てこなかったとのこと。

ちなみにショーウィンドーには防弾ガラスを使っているため、サービス開始当初、ギャングの抗争が激しかったころには、ギャングメンバーの葬儀にもよく利用されたそうです。


このような「ドライブスルー斎場」は全米各地にわずかながら存在し、少なくともシカゴに1軒、ルイジアナ州に1軒あることが確認されていますが、南カリフォルニアではここが唯一とのこと。もちろん、ショーウィンドーのない会場での葬儀も選ぶことができ、Adams斎場にはほかに3つの「弔問室」が用意されているほか、建物内のチャペルで式を行うこともできます。


車から出て弔問する家族連れ。


中へ入り故人と対面し、別れを告げることもできます。


今回ショーウィンドー内に安置され「ドライブスルー弔問」を受けていたのは元市議会議員のBernice Woodsさんという女性(享年86歳)で、生前から派手好きで目立ちたがり屋の人気者であったため、遺族はこれこそWoodsさんの最期にふさわしい送り方だと考えているそうです。Woodsさん自身もまた、Adams夫妻と長年の知り合いであったことから生前からAdams斎場での葬儀を希望していて「Peggyならきっとわたしにぴったりの送り方をしてくれるわ」と語っていたとのこと。

たまたまAdams斎場前を通りかかってショーウィンドーを目にしたある牧師は、市議会議員であったPeggyさんを見知っていたためその遺体を目にして「そんな……」と絶句し、もし窓のない奥の斎場に安置されていれば彼女が亡くなったことに気付くことができなかっただろうと述べています。

こちらの女性も安置されているのが知人であることに気付いたのか……


中へ入って別れを惜しんでいました。


グラミー賞にノミネートされたこともあるという元ゴスペル歌手のPeggy Scott Adamsさんは、遺族から葬儀で歌ってくれと頼まれることも多く、いつもこころよく無料でひきうけるそうです。「愛する人を亡くし、もっともつらい時期にある人々にとって、なぐさめとなり助けとなることができるのは、とてもやりがいのある仕事です」とPeggyさんは語っています。

「葬儀の形は年々変化してきています。昔は葬儀といえば厳粛で悲しみに満ちた暗いイメージがつきまとい、斎場で使われる色も暗い色ばかりでしたが、最近ではそれは変わってきています。楽しく豊かな人生を生きた人々を、明るく送り出す、輝かしいイベントにもできると思うのです」とPeggyさんは語っています。最近では霊きゅう車やひつぎの色も白などの明るいものが増えてきているようです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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