生き物

人間のはらわたを引きずり出すパワーの持ち主、オーストラリアの怪鳥「ヒクイドリ」とは


今月初めの超大型サイクロン「Yasi」による被害を受けて、生息地を追われたヒクイドリが人を襲う危険があるとして、クイーンズランド州政府は地元住民に注意を呼びかけています。

2007年には「世界で最も危険な鳥」としてギネスブックに登録されたというこの「ヒクイドリ」とは、一体どんな鳥なのでしょうか?


詳細は以下から。Australians hit by Cyclone Yasi warned to stay away from deadly giant birds - Telegraph

オーストラリア北部の熱帯雨林に生息するヒクイドリは現生の鳥類のなかでダチョウに次いで大きく、大きいものでは体高約1.9m、体重63kgほどになります。その体重を支え時速50kmほどで走ることができるパワフルな脚力で繰り出されるキックは、鋭く硬いスパイクのような長さ12cmのツメもあって、人間や犬、馬などの動物を一撃で倒し内臓を引きずり出すことができるほどの威力と言われています。


ヒクイドリはダチョウやキーウィと同じ飛べない鳥の仲間古顎類に含まれ、同じオーストラリアに生息するエミューとともにヒクイドリ目を形成します。熱帯雨林の減少と移入動物の影響により絶滅の危機に瀕し、オーストラリアでは野生の個体は1000羽ほどしか残っていないと言われています。エサは主に果実を食べ、用心深く臆病(おくびょう)な性格なのですが、危険を感じると攻撃的になり、「襲われたら襲い返す」というような気性の荒い一面も持っているとのこと。

オランダの動物園で撮影されたヒクイドリの親子。ヒクイドリのメスは卵を産むと次の繁殖相手を探しにいくため、抱卵も子育てもオスが単独で行うそうです。


by A.J. Haverkamp

サイクロンにより生息地である熱帯雨林が破壊され、エサとなる果実が木から飛ばされてしまったため、ヒクイドリたちはエサを求めて人間の住む場所までさまよい出てくることが予想されています。住宅地への接近を防ぐため政府ではヒクイドリに生息地へ空からの食料補給を計画するとともに、クイーンズランド州北岸のミッションビーチ近辺の住民に対し、「ヒクイドリにエサを与えないように」と注意を呼びかけています。

「ヒクイドリ出没注意」の道路標識。


今回のサイクロンで破壊された熱帯雨林が回復するには18カ月かかると試算され、その間に多数のヒクイドリが餓死すると予想されるそうです。しかし、一般市民が遭遇したヒクイドリにエサを与えることは、長期的に見るとヒクイドリの存在を脅かすことにしかならないだろうとのこと。また、エサを与えようと近づいた際に襲われる危険があるほか、「人間に近づけばエサをもらえる」と学習したヒクイドリが、進んで人間に近づき攻撃するようになるという可能性もあります。

保護しなければいけない絶滅危惧種であるとともに、人間や家畜に害をなす害獣となりかねないという一面もあるヒクイドリ。しかし、ヒクイドリにより人間が殺されたという事例は、これまでに1件、1926年に報告されたのみとのこと。当時16歳のフィリップ・マクリーンという名の少年が、兄弟とともにヒクイドリを殴り殺そうと攻撃したところ、ヒクイドリは応戦、フィリップ君に突進して突き倒し、鋭いツメで首を切り裂いたそうです。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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