ウニの歯をモデルにした「永久に研がなくてよい刃物」が登場するかもしれません


ウニは5枚の鋭い歯で岩を削り、身を隠すための半球状の穴を開けるのですが、硬い岩を削っても削っても鈍ることなく鋭さを保つその歯の秘密がウィスコンシン大学マディソン校の物理学者により解明されました。この発見をもとに半永久的に鋭い切れ味を保つ刃物を作ることも理論的には可能とのことで、将来的には工具などに利用できると期待されています。

詳細は以下から。Ever-sharp urchin teeth may yield tools that never need honing (Dec. 22, 2010)

ウィスコンシン大学マディソン校物理学科のPupa Gilbert教授らは、X線顕微鏡などを用いたさまざまな手法でCalifornia purple sea urchin(カリフォルニアムラサキウニ)の歯の構造を分析し、歯を研ぐことなく鋭さを保つそのメカニズムを解明しました。論文はAdvanced Functional Materials誌に掲載されています。

タイドプールで自ら掘った丸い穴に身を潜めるカリフォルニアムラサキウニ。


裏返すと丸い穴があります。これがウニの口です。


口には5枚の白い石灰質の歯があります。


ウニの歯は常に伸び続けているバイオミネラル(生体により作られる鉱物)で、プレート状と繊維状の2つの形状のカルサイト炭酸カルシウム)の結晶が交差するように配置され、非常に硬いカルサイトのナノセメントにより接着された構造になっています。

結晶と結晶の間にはカルサイトほど硬くない有機物の層があり、歯が欠ける時には必ずこのもろい部分で欠けるようになっているそうです。つまり、あらかじめ「くだける場所」を戦略的に配することにより狙い通りの形状に欠ける仕組みで、欠けるたびに自らを研いでいるとも言えます。Gilbert教授はこの仕組みを「破線の切れ込みの入った紙」に例えています。

今回の発見は、人間の工具作りに応用できるかもしれないとGilbert教授らは考えているそうです。「今回解明されたウニの歯が鋭さを保つ仕組みと同様に、使用とともに研ぐことができる刃を作り出すことも、理論的には可能です」とGilbert教授は語っています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log