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1700年前のエジプトの子どものミイラ、CTスキャンにより女装した男の子と判明


1878年からイギリスの博物館に収蔵されていたものの、その性別も年齢も幼くして亡くなった理由もわかっていなかったという、エジプトの子どものミイラ。1980年代にX線撮影により脳内出血が死因と判明し、他殺も疑われていたそうです。

昨年行われた調査により、ミイラは女性を表すシンボルのついた布にくるまれ、女性用の胸当てや腕輪などを着用していることがわかっていたのですが、先日行われたCTスキャンにより、実は女の子の服を着せられた男の子であることが判明し、死の状況も明らかになっています。

詳細は以下から。Egyptian mummy was boy dressed as girl, 3D scan reveals | Mail Online

幼児のミイラはエセックスSaffron Walden Museumに展示されていて、博物館の記録によると、元ケンブリッジ市長のFrederic Barlow氏から1878年に購入したものとのことです。エジプトからイギリスへ渡ってきた経緯は明らかになっていませんが、テーベデル・エル・バハリの墓地から発掘されたものと考えられています。当初は紀元前300年ごろのプトレマイオス朝のものだと思われていたのですが、実際にはそれより数百年後の西暦350年ごろ、エジプトがローマ帝国の一地方だった時代のものとのことです。


ケンブリッジのAddenbrooke's Hospitalで先週土曜に行われたCTスキャンにより、このミイラは女装した男児であることが判明しました。また、1980年代のX線調査では年齢は7歳9ヶ月付近と推定されていたのですが、今回のCTでは骨や歯の成長から年齢は4歳~5歳であると示唆されています。ミイラの顔の骨や歯は欠けることなく完全に保存されていて、病気の形跡は見られず、心臓や肺はミイラ作りの際に摘出されているものの肝臓は残っていたそうです。


男児は右のこめかみの上の頭蓋骨骨折のほか、右の鎖骨も生前に骨折していることが明らかになりました。検査を行った放射線技師のHalina Szutowiczさんは、今回の結果から他殺の可能性は除外することができると述べています。転んだり転落したりといった事故により鎖骨と頭蓋骨を骨折し、その時の脳内出血により事故から3週間ほどで息をひきとったのだろうとのこと。


金の腕輪などの装飾品や、くるまれていた布などからも、この男の子が富裕階級に属していたことは間違いないようです。博物館の学芸員Carolyn Wingfieldさんは「裕福な家の子どもであることは明白です。遺体は防腐処理を施され、背中をまっすぐにサポートするための木の棒とともに、上等なリネンでくるまれていました。なぜ最終的に女性用の装飾的な埋葬布に包まれることになったのかは、謎のままです」と語っています。

死の状況は他殺ではなく事故死と結論づけられたとのことですが、男児が女児の格好で埋葬されていた理由は解明されていません。男児の早世を避けるためなどの理由で女児の服装で育てる風習は、世界各地で存在していたようですが、当時のエジプトにはそういった風習があったのでしょうか?あるいは、裕福な家の子息であることから、映画や小説にありがちな「後継者争いを避けるため女児として育てられていた」といった事情も考えられるかもしれません。ミステリー好きや歴史小説好きにとっては、想像が膨らむのではないでしょうか。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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