アート

70年間無人だったパリのアパルトマンで2億5千万円の絵画が発見される


パリ9区、サントトリニテ教会近くのアパルトマンを第二次世界大戦前に離れ、その後一度も戻ることがないまま家賃だけを払い続けていたという女性が今年になって91歳で亡くなり、タイムカプセルのように20世紀初頭の空気を閉じ込めたその部屋が70年ぶりに開けられることとなったそうです。

70年間誰も足を踏み入れたことがなかったというその部屋で美しい女性を描いた肖像画が発見され、イタリアの画家Giovanni Boldiniの作品と判明し、先日行われたオークションで210万ユーロ(約2億5000万円)で落札されたとのこと。

詳細は以下から。AFP: Mystery masterpiece emerges from dusty Paris flat

Parisian flat containing €2.1 million painting lay untouched for 70 years - Telegraph

パリ9区にあるこの部屋の借り主の女性は第二次世界大戦前にパリを離れ南仏へと移住し、二度と戻ることはないまま家賃のみを払い続けていたそうです。70年ぶりに開けられた部屋には、今では貴重なアンティークとなった19世紀末から20世紀初頭の家具や調度品がホコリとクモの巣に覆われて眠っていました。


ダチョウのはく製の足元には、戦前のミッキーマウスのぬいぐるみも。


その中でも鑑定家たちの目を奪ったのが、壁にかけられていたこの肖像画です。ピンクのモスリンのイブニングドレスを着た女性は、部屋の借り主の女性のおばあさんにあたるMarthe de Florianという女優で、専門家はこの肖像画を見た瞬間にGiovanni Boldiniの作と直感したそうですが、展覧会などで展示されたこともなく、記録にも残っていなかったため、証明は難しいかと思われました。


しかし、Marthe de FlorianにあてられたBoldiniからのラブレターが発見されたことで、鑑定家はBoldiniの未発表作であると確信したとのこと。Marthe de Florianが数々の崇拝者から受け取ったラブレターはリボンをかけられ保管されていて、孫娘のこの部屋で発見されました。中にはフランスの72代首相ジョルジュ・クレマンソーからの手紙などもあったそうですが、Boldiniも崇拝者の一人で、Martheは画家にとってのミューズまたは恋人であったようです。

エコール・ド・パリの画家Giovanni Boldini(1842-1931)はイタリア・フェラーラで宗教画家の息子として生まれ、1862年からフィレンツェで絵画を学んだのちロンドンで画家として成功し、1872年にパリへ移住。時代を代表する肖像画家としてその作品は高く評価されています。

Boldiniの自画像(1892)


美ぼうで知られたオペラ歌手Lina Cavalieriの肖像。


その後、さらなる調査により1951年にBoldiniの夫人が書いた本が今回発見された肖像画について触れていることが判明し、Martheが24歳であった1898年にBoldiniによって描かれた作品であると特定されました。先日行われたオークションでは210万ユーロという、Boldiniの作品としては史上最高の価格で落札されたそうです。

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in アート, Posted by darkhorse_log

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