取材

タミヤの本気に心震える「タミヤ歴史館」の展示物


先日行なわれた公開イベント「タミヤ・オープンハウス」では、普段見られないようなタミヤ本社の資料が多く展示され注目を集めていましたが、なんといっても圧巻なのはこの「タミヤ歴史館」。

今でこそ定番となった戦車やレーシングカーなどのプラモデルを時代背景の解説とともに展示されているのですが「資料が出てきたらすぐ作る」「ブームになったら即作る」姿勢が徹底されていることが手に取るように分かる内容になっていました。

詳細は以下。
ボックスアートが並ぶ歴史館への道。


正確にかつ精密に描くため実際の包装よりもかなり大きなサイズで描いているとのこと。


上田毅八郎作「ドイツ戦艦 ビスマルク」。


小松崎茂作「ドイツ襲撃砲戦車 ロンメル」。


実際に箱になるとこんな感じ。


溝川秀男作「ビモータテージ 1D906SR」。


高荷義之作「アメリカ海軍原子力航空母艦 CVN-65 エンタープライズ」。


平野光一作「アメリカ自走砲 M42ダスター」。


一段照明が落とされ、落ち着いた歴史館の内部。


当時の販売キャンペーンのポスター。


入り口を入ったところにある戦艦と空母のジオラマ。


入り口から向かって右側から反時計回りに順路が作られています。


順路その1「ミリタリーミニチュアシリーズ」。


タミヤのプラモデルで最初にヒットとなった戦車模型やミニフィギュアなどが展示されています。


1961年の「パンサー戦車」。このモデルのヒットにより戦車モデルが1/35スケールで作られるようになったという歴史的なモデル。


フランスのアーチュリー105mm自走砲。


ソ連のKV-I戦車。


同じくソ連のT34。冷戦まっただ中に資料を集めるのがどれだけ大変だったかを考えると、東側兵器の充実ぶりは驚異です。


外見の精密さだけでなく、電池とモーターを内蔵させて走らせる楽しみがあるのも人気の理由となっていました。


1974年の新年祝いのカード。


1/35ミリタリーミニチュアシリーズでは、戦車類だけではなくこのようなフィギュアもリリースされ、ジオラマ作成で人気を博しています。


箱絵。「88ミリ砲チーム」と「U.S.コンバットクルーセット」。


順路その2「ラジオコントロールカーシリーズ」。動かす楽しみを追求した電動RCラジコンの歴史を辿ります。


ディスプレイはこんな感じ。


これが電動RCカー第1作「ポルシェ934ターボ」。元となるプラモデルはポルシェ911の実車を購入し、実際にバラバラにして作ったという気合いの入ったものでした。


1977年リリースの「タイレル P34」。実車は1976~77年に活躍した当時の最新モデル。


「ランボルギーニ・カウンタックLP500S」。リリース当時はスーパーカーブームの絶頂期であり、かなり時事性の強いモデルでした。


「1/10 バギーチャンプ」。海外でのヒットの足がかりとなったモデルだったようです。


ミニ四駆の前身、コミカルミニ四駆でもリリースされたRC「1/10 ワイルド・ウィリス」。


レーサーミニ四駆第1弾のベースともなった「ホットショット」。


箱絵はこんな感じ。


順路その3「モーターサイクル&スポーツカー」。1/6オートバイ、1/12自動車というかなり大きめのスケールで当時の最新モデル・話題モデルの実車をモデルアップしてきました。


ディスプレイ。


1/6という大スケールを生かし超精密な造形が行なわれていました。


1971年にリリースされた「CB750 レーシングタイプ」。実車の活躍は1970年のデイトナ200マイルでの総合優勝が有名。


1970年リリースの「Honda ドリーム CB750 FOUR」。実車は1969年にデビューし「ナナハン」という愛称のはしりとなったことでも有名です。


「ホンダ F-1」。実車の優勝とともに海外でも話題になり、タミヤの技術力をアピールしたモデル。


パッケージ。


1/12スケールのF1カー。時代を考えると、タミヤの設計者のリサーチ力は当時からものすごいものがあったようです。


プラスチックモデル黎明期のカーモデル。


かなり小さなモデルや簡易包装のものなど、試行錯誤していたようです。


モーターで走行させることができた「1/24 グランプリシリーズ」。


1982年に初めてリリースされた「ミニ四駆」シリーズ。当初のデザインはリアル路線でした。


1960年代に1回目のブームがおこったスロットレーサー


箱絵。


様々なモデルがスロットカーとして商品化されていました。


コースなどのアクセサリーもリリースしていたようです。


順路その4「エアクラフトシリーズ」。


1961年、1/250スケール相当の小さな模型が航空機模型のスタート。


現在でいえば食玩のようなサイズでした。


1/50シリーズの第1弾となった零戦。


箱絵。戦車と同じくモーターライズされており、プロペラを回転させることができました。


ディスプレイ用のクリア部品が付属していた「彩雲」。


1968年にシリーズ化された1/100ミニジェット機シリーズ。1部モデルは2004年に復活しコンバットプレーンシリーズと呼ばれています。

イタリアの「フィアットG.91」。


ソ連の「ミグ21 フィッシュベッド」。


順路その5「木製モデル」現在のタミヤのルーツともいえる木製の艦船模型など、タミヤ黎明期のキットです。


スケールは大小様々。


小スケールのもの。現在の「ウォーターラインシリーズ」に通じるものがあります。


現在の艦船模型の主流のサイズよりも大ぶりな感じだったようです。


木製なのですがそれを感じさせない迫力は、このサイズゆえでしょうか。


箱絵もかなりレトロなもの。


日本だけでなく各国の軍艦や、客船なども製造していた様子。


ひときわ大きな「武蔵」。寄贈品ということなので製作者によって大幅にディティールアップされているのでしょうか。


製造に使われた船体の型。


これは別の部屋で展示されていた「飛竜」の木製キット。こんな感じで木片が販売され、かなり部品の加工が必要であったようです。


自動車や列車などの木製模型。


こだま号」。いくつかのキットを組み合わせて1つの編成を作り上げるシステムだったようです。


いい感じにデフォルメされた車の模型。


歴史館では、他にも様々なシリーズのキットが展示されていました。「ジョー90シリーズ」「SFボートシリーズ」など、タミヤには珍しく現実には存在しない物をモチーフにしたモデル。


かなり珍しい歴史モノの「忠臣蔵」こんなフィギュアもリリースされていたらしい。


先ほどのミリタリーミニチュアと同スケールなので、並べて見ても面白いかも。


当時の大ニュースであった月面着陸のブームにのったアポロ11号のプラモデル。


ところが、ブームは急速に冷め同時にこのキットも製造中止になってしまったようです。


歴史館では、タミヤのキットを利用した様々なジオラマも展示されていました。スコット・カーター作「サレルノの解放」。「危険:ブービートラップあり」などとマーキングされたドイツ軍の戦車など、戦闘直後の緊張が解けない様子がよく現れています。


こちらは太平洋戦争の降伏文書調印式の様子を再現した「戦艦ミズーリ」。


ただ作り込んであるだけでなく、近づくと驚くべき仕掛けが。


甲板から艦橋から人だらけ。


しかもフィギュアにはポーズまでつけてある。


調印式を上から望む。まるで当時のニュース写真のようです。


タミヤ モデル製作課による「強さは牛のごとく」。


タイガー戦車を3台がかりで牽引している様子を再現。


ピンと張ったワイヤーに戦車の重さを感じる作品です。


こちらは「鳥海」。


ものすごい工作。木製に見えますがすべて紙でできているそうです。


普段定番として模型ショップに並んでいるモデルも、このように時代を整理して展示されると、いかにタミヤがブームを逃さず模型を作ってきたのかがよく分かります。さらにそれを支える資料収集能力や原型の製作能力を考えると、タミヤのキットが人気があるのも頷けます。

見に来る人達は子どもから年配の方までかなり幅広く「これうちの押し入れにあったな」「このラジコンお父さんが君くらいの年の時に遊んでたやつだよ」など、タミヤの歴史をうかがわせる会話が弾んでいました。


タミヤの歴史館・ショールームは月~金曜日の9:00~16:30(土日祝日は休館)の間、入場無料で公開されています。ここでは紹介しきれない貴重なモデルもたくさんあるので、一度行ってみることがオススメです。

見学のご案内 (タミヤ歴史館、ショールーム)

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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