インタビュー

アニメ化を果たした「伝説の勇者の伝説」の鏡貴也さんにインタビュー、小説家になるコツや執筆スタイルを大公開


これまでに数多くのライトノベルがアニメ化されていますが、「次はこの作品をアニメ化するに違いない」と候補の筆頭に挙げられながらもなかなか実現しなかった「伝説の勇者の伝説」がついに今年7月からアニメ放送となります。

今回はその伝勇伝の作者である鏡貴也さんにインタビューする機会を得たので、このアニメ化について、そして小説家としての生活について、さらに小説家を目指す人へのアドバイスや平均で2ヶ月に約1冊の本を出している執筆ペースについてなど、山ほどの質問に答えてもらいました。
~もくじ~
■小説家、鏡貴也について
■小説「伝説の勇者の伝説」、最終回の予定や作品設定
■平均で2か月に1回の刊行を行う小説の執筆ペース
■鏡貴也の健康生活
■アニメ「伝説の勇者の伝説」、スタッフがみんな原作好き
■ブログと公式サイトの更新
■小説家を目指す人たちへのアドバイス

■小説家、鏡貴也について


GIGAZINE(以下Gと省略):
本日はよろしくお願いします。さっそくですが、小説家になるきっかけなどかなり多くの質問に公式サイトですでに答えられていますが、小説家になって良かったと思うところはありますか?

鏡貴也(以下鏡と省略):
良かった点ですか…。いいメンバーと出会えたことですね。すごく長い作品なんですが、読者もずっと暖かくついてきてくれていて。最初は1人でやっているものだと思っていたんですけど、だんだん皆でやっているんだと感じるようになりました。「1人じゃなくなる」というのが良い点ですね。その分プレッシャーも感じますけど(笑)。

G:
なるほど。では逆に小説家になって「これは厳しい」と思う点はどこですか。

鏡:
厳しい点かあ、ぼくが厳しいと思う点って何かあるかな?

G:
締め切りとかですか?

鏡:
ああ、締め切り(笑)。

G:
他のシリーズと合わせて連続刊行とか何度もやってたりするから、確実に厳しいですよね。
今は「伝説の勇者の伝説(以下、「伝勇伝」と省略)」のほかに、もうひとつの作品「いつか天魔の黒ウサギ(以下、いつ天と省略)」も出してますよね。

鏡:
そうですね、交互にやってる感じです。

G:
自分で課すということは、スケジュールについては自分で提出するんですか。

鏡:
年間スケジュールを2~3年分ぐらい作ります。最初は絵に描いた餅になるんですが、担当さんと話し合って、スケジュールを埋めていって。それからエクセルでできた表を見て、ため息をつくんです。「嘘だろ~~」って(笑)。

G:
公式サイトなどでは締め切りが迫っていることについて書かれていることもありますが、今は何か追われている締め切りはありますか。

鏡:
今も直近でひどい締め切りがありますね。7月発売のドラゴンマガジン書き下ろし短編がヤバイ。イラスト担当のとよた瑣織さんが妊娠中なので、出産前に仕上げなければならないマタニティスケジュールなんです。

でもそのおかげで前倒しできた分もあって良かったところもありますね。マタニティスケジュールでないと危なかった。通常のスケジュールだと発売の3ヶ月前に仕上がればいいんですが、今回は5月と6月に出る本が1月にはできていたんです。とよたさんのために(笑)。

G:
鏡さんの執筆が早い分、とよたさんも早く仕上げないとダメみたいな部分もありそうですが……。

鏡:
とよたさんも早いんです。二人でドンドン進めているような感じですね。僕はあまり優良進行ではなかったので、とよたさんが合わせてくれたこともあったり。

G:
ブログでも、富士見の中で一番遅かった時に、超速でイラストを描いてくれて2番目に完成したと書いていましたね。

鏡:
頭が上がらないです(笑)。

G:
小説のアイデアについて、担当の人から出してもらったりすることはありますか。

鏡:
そういうのはあまりないですね、話している時間もないし…。悩んだときは相談することもありますけど。「伝勇伝」の場合はもうあまり悩まないですね。すでに書かれている部分にこれから書くべきことが載っているので、「ああ、これからこうなるんだろうなあ」みたいにできあがっています。新しいことをやる時は、相談しますね。

G:
ということは、「伝勇伝」については最終回までのイメージはできている感じですか。

鏡:
そうですね。実際その通りになるかは分かりませんけど、全体の構想はあります。

■小説「伝説の勇者の伝説」、最終回の予定や作品設定


G:
「伝勇伝」が11巻まで行って、続きの「大伝説の勇者の伝説(以下、大伝と省略)」も出ていますが、あと何巻ぐらい出そうというのはありますか?

鏡:
一応、「大伝」の11巻で終わるということをあとがきに書いたんですが、「さて?」という。

G:
次で、もう8巻になるんですが……。

鏡:
あ、じゃあ無理です(笑)。

G:
では、「大伝」が11巻までいったら、また新しいタイトルになったりとか?

鏡:
いや、それはもうないと思います。

G:
完全に物語の続きとなっていますが、「伝勇伝」が「大伝」になったのは何か理由があったんですか。

鏡:
当時、編集長が「そうしたほうがいいと思った」らしいです。タイトルを切り替えたいというのがあったようで…まぁ、ほかにもいろいろありました。「伝勇伝」11巻のところで一部完、といった話の区切りではあったので、そこでナンバリングを切り替えるか、12巻にして続けるかを皆で話し合いました。僕が「どっちでもいいよー」と答えたら、編集部が「じゃあ切り替えたい、本棚に並びやすいし」と。

G:
なるほど。新しいタイトルは自分で考えたんですか?

鏡:
「大伝」に切り替わる直前までの担当が、僕を育ててくれた敏腕編集Mさんで、その人がタイトルを置き土産にくれました。「真」ってつけたらそれまではウソなのかとか、延々と何時間も話し合って。そして、「末広がりになっていく感じしない?」ということで「大」になりました。

G:
ちなみに「とりあえず伝説の勇者の伝説(以下、とり伝と省略)」の方は?

鏡:
「とり伝」は、「それでいいんじゃね」みたいな感じがありましたね、ギャグだし。「とりあえず出すか」みたいな。

G:
「伝勇伝」で好きなキャラはいますか?

鏡:
全キャラ好きですね。あまり、えこひいきとかはしないです。

G:
なるほど、では動かしやすいキャラなどは?

鏡:
たとえば「伝勇伝」だったらシオンとかミラーとかクラウとかルークとか、自分からちゃんとやるやつは書きやすいですね。でも、やる気のないやつはまず理由を考えてやらないといけない。「めんどくさい」と言っている時に行動をさせてかっこよく見えるようなエピソードが必要なんです。

ライナのように基本的にやる気がないと、どうしてもやらざるをえない状況にしないとコップからお茶を飲むことすらやってくれないことにもなる(笑)。フェリスも、まっすぐそのままの行動原理だとフェリスじゃなくなってしまいます。やるべきことをズバッとやってくれるキャラは書きやすいんですが、そうじゃないキャラはエピソードが10倍ぐらいになるので大変です。あと、読んでる読者がライナたちと一緒に面倒くさがってしまわないように書かないといけません。キャラの好き嫌いはありませんが、書きやすさの違いはありますね。

新装版「伝説の勇者の伝説」の表紙は各キャラクターをクローズアップしたイラスト。


G:
「伝勇伝」は各地に散っている勇者の遺物を探すことになりますが、ボツになった遺物の設定などはありますか?

鏡:
遺物は全部登場してるんじゃないかな。魔法は、設定はあるんですが書いてないです。魔法や地図の設定は、嫌いな読者の場合読めなくなりますからなるべくカットしています。設定書を読みたいわけじゃないと思うので。「稲光」の設定とかも長々とあるんですよ。

G:
2006年11月5日の日記で「稲光」の設定やライナの日本名とかちょっと公開されていますよね。ほかにも本編では公開されていない設定があれば教えてもらえますか。

鏡:
あれ、何年も前に作った設定だから、設定のフォルダが見つからなぁああああい!(笑)

G:
鏡さんは公式メールマガジンでコラムも書いたりしてるんですよね?

ティー・オーエンタテイメント:
ええ、次は8日後にお願いしようと思っています。

鏡:
え、本当?早く言ってよ~。

G:
ティー・オーの締切も厳しいですね。メールマガジンや月刊「伝勇伝」でこっそり短編が載ったりとかすることはありますか?

鏡:
おおっと、仕事を増やされたぞ(笑)。

ティー・オーエンタテイメント:
すごく、いいですね~。

鏡:
え~~~、やめて(笑)。

ティー・オーエンタテイメント:
コラムの方も長いものを書いてもらっていますけど、ぜひ。

鏡:
うーん、原稿用紙1ページぐらいだったらやってもいいですよ。もし実現したらGIGAZINEさんのせいということで(笑)。

G:
や、すみません。ドラマCDの特典とかでも長めのストーリーとかを書かれているので、今回もやるのか気になって……。

鏡:
いやあ、確かにいろいろやるんですけどね。でもまあこれもやった方がいいかぁ。

G:
メールマガジンが再配信されないから、先に登録しておかないとダメなんですよね。内容を後からまとめてどこかに掲載する予定はありますか?

ティー・オーエンタテイメント:
いや、ないですね。逃すと見られなくなりますので公式サイトから早めに登録してください。

G:
ファンタジー系以外にこういうジャンルをやりたいと考えているものはありますか?

鏡:
ファンタジーは大きな話が書きたかったので始めたんです。「いつ天」で学園モノをやったので、次は何を書こうかなぁというところですが。読んでいる人が救われるような作品を書きたいと常に思っています。「ライナがこんなに辛い状況なのに頑張っているのなら、自分も」と思ってくれる読者の方もいるので。作品は自分のものだけでなく、そういう読者がいるということを忘れないで書いていきたいです。

「書きたい」という欲求で小説家になったわけではないので、そういう読者がいなかったら、きっともう辞めてしまっていると思います。だから読者を裏切らないように書いていきたいですね。

G:
そうですね。シオンとか見ていると、「負けてられないな」って気分になりますね。

鏡:
シオンは働き過ぎですよね。あれは人類じゃ無理だってぐらい寝てないですからね(笑)。

G:
短編とかで書いてみたいものはありますか?

鏡:
そうですね、ホラーとか書いてみたいな。僕、ホラーが好きなんですよ、小説も映画も日本の怪談とかも。映画館でもホラー映画を上映していたら優先的に見ますから。基本的に映画が好きで、小説も基本は映画から学んだんだと思います。中学~高校のころはレンタルで2~3000本ぐらい見ました。

G:
ホラー映画が好きということですが、何かオススメはありますか。

鏡:
アンデッド」は面白かったですね、はじめてゾンビが出た理由が描かれていて。四連ショットガンの武器屋が出てきて全裸でバク宙するんですよ(笑)。

G:
ホラー以外でも何かありますか。

鏡:
最近では「第9地区」を見ました、これは非常に面白かったです。僕にとって製作スタッフのピーター・ジャクソンは「ブレインデッド」の監督なので。「ロード・オブ・ザ・リング」を見ても、「ブレインデッド」の監督が撮影したと思って見てしまいます。

■平均で2か月に約1回の刊行を行う執筆ペースのうちわけ


G:
これまで発売された作品を平均すると、ほぼ2ヶ月に1回出していて、6ヶ月連続刊行も行うという驚異の執筆ペースの鏡さんでも、小説を書き始めるまで結構時間がかかるそうですが、アイデアを出して書き始めるまでどれぐらいかかっていますか。

鏡:
なんで書き始めるまで時間がかかるって知ってるんですか(笑)

G:
2008年12月7日の日記で「書き始めはブーストがかからない」と具体的な執筆枚数と一緒に答えられていたので。

鏡:
ああ、なるほど。でも作業ペースは昨年、ものすごく更新しましたよ。

G:
おお、ではまず書き始めるまではどんな感じですか?

鏡:
ピンキリなんですけど、ガタガタ震えるぐらいまで締切が近づかないと、書き始めないです。ベッドや部屋の隅で震えて1日が終わることの繰り返し。机に座ってみても書けないんですよ。

G:
では1日中ずっと考え続けている感じですか。

鏡:
そうですね、どう書くか考えているか、もしくは「どうして書けないんだろう」と震えているかで。毎回「面白いもの書いてくださいね」と言われるんですが、「誰が面白いって決めるんだよ。みんなそう言うけどさー」とか、一人でぐちぐち言ってます。「もうやだー」とか。

それから、思いついたことを書いてみても、「やっぱり面白くねー」と思ってやめたりして。なぜかインターネットに続きがあるんじゃないかと思って、検索してから「載ってるわけねー」と気付いたり、といった感じで結構長い期間書けないですね。

G:
で、締め切りが近づいてくると。鏡さんの場合だとだいたい締め切りは何日ぐらいとっていますか?

鏡:
いやあ、極悪非道なスケジュールを言われることも多いですね。前任のキャサリンという編集さんだと「じゃあ20日後に長編1本ですね。鏡さんならできるって信じてま~す」とか言われましたね。

G:
20日で長編1本ですか!?

鏡:
「疲れたら休んでくださいね、でも締め切りは守ってくださいね~」とか(笑)。

G:
でもそれを守っているんですよね?

鏡:
締め切り……は守っていないかもしれないですが、原稿を落としたことはないですね。もう200締め切りぐらいはやっていますが、1回も落とさずにクリアしています。


G:
すごいですね。短編連載もこなしながら、長編も書くという感じですよね。

鏡:
今は隔月連載になっていますが、毎月連載のときはつらかったですね。長編と、1年のうち12回ある短編の締め切りが交互に入れ替わりながら来るので、書くものを切り替える度に筆が止まってしまうんです。

分厚いのを1本書くなら、どんどんスピードも上がっていくのでいくらでも書けるんですけど、区切りがあるとベッドで震えないといけない時間が切り替えるたびにあるので難しい。


あと途中の巻から読み始めた人や連載分の話を初めて読む人でも分かるように、キャラクターの外見などを毎話説明したりするんですけど、これも難しいです。

G:
キャラクターの髪型とか性格を簡単に紹介するやつですよね。毎回読む人もいるから、同じことを別の表現で面白く書かないといけない。

鏡:
そうなんです。編集さんはそれを「そうしてね」で済ませるんです(笑)。キャラクターの名前だけしか書かない人もいますけど、僕は初代担当がそういう方針だったので、今も続けています。さすがに10作を超えてライナが「やる気がなくて黒髪で猫背で」っと書くのは「読みたいかな~?」と思っているんですけど、どのようにやる気がないかのエピソードを入れ込んだりして紹介していますね。

G:
うっかりすると、以前と同じ表現とかしてしまいそうですよね。

鏡:
とりあえずコピペして編集するんですよ。そして、「前回はこんなに面白く書けたのに、今回は何にも思いつかない」と、3日ぐらい悩んだりします(笑)。

鏡:
書き始めると早いんですよね。長編だと100枚ぐらいになるとスピードが伸び始めるんですが、そこまでは非常に遅いです。1日ごとに2枚、3枚、8枚、2枚と書いてきて全部消したり。

僕はページ数の増え方が他の作家さんに比べると多いらしいです。何人かの作家さんと、毎月何枚書いているか確認し合う表を作っているんですけど、最初はずっとゼロのままなのに、突然増え始めていつも一番になるので、嫌がられますね(笑)。

G:
一気に書いた枚数として最高はどれぐらいになりますか?

鏡:
最高だと115枚書いたことがありますね。書いても書いても終わらなくて枚数が増えちゃう時があるんです。話がクライマックスで「もうこれで終わるだろうな」っていう目標点が見えているんですが、「もう終わる、いけるぞ、すごい盛り上がってる」という状態のまま何時間も終わらないんです。で、「終わったー!」と倒れたら、100枚を越えていたという感じで。

G:
壮絶ですね。時間でいうと何時間ぐらいかかっていますか。

鏡:
26時間ぐらいかかってますね。ずっとこのペースなら3日ぐらいで1冊作れるんですけど(笑)。

G:
確かに。こんなペースで書く人はあまりいないのでは。

鏡:
たまにいますよ。6~70枚を一気に書く人もかなりいます。僕も26時間ずっと書くことだけしていたわけではないので。集中力は2時間に1度ぐらいは途切れますね。

G:
集中力が切れたら、その時は何か気分転換をするんですか?

鏡:
いや、仮眠ですね。寝ないと1文字も書けなくなってしまうので、アラームをかけて15分間だけ何もしないようにします。

G:
何かの修行みたいな感じになってますね。

鏡:
健康のパラメータは下がる一方なんですけどね。

■鏡貴也の健康生活


G:
小説家という仕事だと、座りっぱなしになったりもすると思いますが、健康のために行っていることはありますか。

鏡:
ひたすら不健康になっていってますね。デビューから15kgぐらい増えました。2009年に30歳になったので、人間ドックに行ったらたいそう怒られました(笑)。お酒を飲まないのに怒られるというのは「まずいな」と思いますね。

G:
仕事量が多いからファンの人も心配している所があると思います。

鏡:
僕の公式サイトは「鏡貴也の健康生活」というタイトルですが、あれは僕の願望ですね。健康について語るわけではなく、「健康に留意しろ」と自分が言われるためにつけています。

G:
健康グッズを使ったりはしますか?

鏡:
一応、買いますよ。で、3回ぐらい使って、いかにスゴイかを作家友達に教えるんです。でもすぐに部屋の隅に置かれることになります。サイクリングマシンもありますけど、隅の方で上には本が色々と積まれている状態で。「フルメタル・パニック!」の賀東招二さんの家でも、サイクリングマシンの上に書類が大量に積まれているのを見ましたよ。なので、場所を取る健康グッズは買うべきではないと思います(笑)

G:
これは効いた、あるいは続いたというのはありますか?

鏡:
うーん、続くのはないなー。あ、「リエータ」。ダイエット用の置き換え食品で、食事の代わりに1杯だけ飲むというものなんですが、これを使っているときだけはやせます。

G:
「伝勇伝」のヒロインの1人・フェリスは団子好きですが、鏡さんの好きな食べ物はなんですか?

鏡:
僕はカレーが好きです。

G:
最近食べたところで「ここは良かった」というカレー屋さんはありますか。

鏡:
編集Oさんに聞いて、神保町にある「まんてん」というところに行きました。600円ぐらいですごい大盛りなんですけど、「負けてらんねー」と完食したらお腹がいっぱいで何もできなくなってしまって。編集のせいで原稿が書けなくなりました(笑)。

編集O:
「全部乗せ」というのが最大のメニューとしてあるんです。当然僕は完食していますけど。

鏡:
カレーライスの上に揚げ物を3種類ぐらい乗せて、さらにその上からカレーをかけるみたいなトッピングで。「食べられねー」と思いながらも申し訳ないから食べきって、「お腹痛い」と言いながら帰りました。

G:
お菓子で好きなものとかありますか?

鏡:
お菓子はあんまり食べないなあ。「ダイエットコーラ」や「ペプシネックス」を死ぬほど飲んでた時がありましたが、あまりに飲み過ぎたのでやめることになりました。1冊の小説を書く間に70リットルのゴミ袋をいっぱいにするぐらいペプシネックスを飲んでましたから、アルコール好きな人が禁酒するように、やめようと。

G:
コーラは昔から飲んでいたんですか。

鏡:
作家になってから飲み始めました。僕はお酒が飲めないので、その分炭酸を飲んでいたんです。あ、あと「アイスボックス」が好きですね、青いグレープフルーツ味の。炭酸のかわりに食べていたことがあったんですけど、食べ過ぎて腸炎になりました(笑)。こっちも「もう食べない」と思ったんですけど元気になったらまた食べちゃいます。アイスボックスはいいですよ。

G:
2006年6月28日の日記ではガリガリ君を食べてダメージを受けたという話も書いていますが、アイスは好きですか?

鏡:
炭酸と氷が好きなんですよね。あとポテチも好きでしたが、あまりにも健康生活から離れるので控えています。

G:
なるほど、では食べ物も含めて今一番欲しいものといえば何ですか。

鏡:
欲しいもの…。時間は絶対欲しいんですが、何かあるかな。

G:
鏡さんの誕生日が5月22日ということなので、もしかしたら誰かが贈ってくれるかもしれませんけど。

鏡:
じゃあ、ロールス・ロイスで(笑)。もらったら売りますけどね。

G:
急に手に入ったら困りそうですよね。

鏡:
あと、お米はササニシキが好きです(笑)。あ、そうそうTwitterでも書いたんですが、ドンキホーテに行くたびに1000円で売っているたこ焼き器が買いたくなります。「たこ焼き、家で食べたいなー」と思うんですが、「買っても1回しか使わないんだろ~」と絶対買わないようにガマンしています。トースターも気になっていますけどね。「入れればパン焼けるじゃん」って。


G:
原作の中で、神様になったら「これだけして暮らす」こととしてライナは昼寝、フェリスは団子を食べることを挙げていましたが、鏡さんだと何をして暮らしますか。

鏡:
今と一緒だと思います、結局は。僕、小説書くの大っ嫌いなんですけれど(笑)、たぶん小説を書くと思うんですよ。そういう職業だから。本当に充足感を感じられるというものが、小説だけなので、みんなと頑張っていければいいなと思いますね。

そうでなければ…健康に暮らします。朝6時に起き、ランニングにいって、野菜たっぷりの食事を摂る。つらそー(笑)。団子だけや昼寝だけも体に悪そうですけど、多分健康すぎるのもダメだと思います。体に悪いぐらいの健康生活ができればいいなあ(笑)。

G:
最近の1日のスケジュールはどんな感じですか?

鏡:
毎日違うんですけど、あまり寝ないんですよ。5時間ぐらいで目が覚めちゃうので、生活リズムがずれて、起きる時間が変わっていきます。ここ10年ぐらいそうなんですけど、夕方17時に起きるときもあれば、昼14時に起きることもありますね。で、起きてすぐに仕事を始めます。26時間仕事をした時も、5時間後に起きてしまうので、生活サイクルはひどいもんです。

G:
気分転換をするときはどうしていますか。

鏡:
アイデアが出ないときは散歩に出たり、中古楽器屋に行きます。楽器を見て「これ弾こうかな、でもこないだ弾いたから嫌がられるかな」と思いながら過ごします。

鏡:
今日はギターを持ってきて、足を立てかけて撮ろうかとかも話してました。「こんな仕事です」って(笑)。

G:
普段から弾いたりしてるんですか?

鏡:
ヘタなんですけど、作家さん同士でバンドを組んだりもしています。

G:
では、ライブもしたりとか?

鏡:
いやー、中学生バンドだからなー、レベルが(笑)。そんなに達者じゃない僕が一番うまいぐらいで、メンバーの中には初めて楽器を触ったぐらいの人もいます。経験者は「神様のメモ帳」の杉井光さんと僕だけだったので、メンバーで一緒に楽器を買いに行くところから始めました。そういうわけで、ライブができるレベルになるにはまだしばらくかかりそうです。

G:
バンドは鏡さんから言い出したものなんですか?

鏡:
小説ばっかりになってしまうのを避けるために、作家仲間で常に趣味的なものを探しているんですよ。僕はやっぱり音楽が好きだったんで、「バンドをやりたいな」って思っていました。杉井さんもバンドをやりたかったらしいんで、2人でごり押ししていたら10人ぐらい集まりました。今は5人になっていますけど。


G:
半分になってしまってますね。

鏡:
楽器を買ったけど触らなくなる人もいたので。意外と触ることが多かったメンバーが5人残りました。「自転車にハマろう」と言い出したり、定期的にハマりたいものを探す人が多いですね。「ゲーム部」というのもあります。僕も数回参加しましたけれど、夜23時から朝4時まで「Call of Duty」をやっていたりします。

G:
同じ所に集まってやるんですか?

鏡:
いや、みんな自宅からSkypeで通話しながらやっています。

G:
ちなみにどんなメンバーなんですか?

鏡:
築地俊彦さんとか、成田良悟さんとかですね。築地さんは1戦終えるごとに仕事用のキーボードを打つ音がしています。あ、でも築地さんの趣味言っていいのかな。

G:
仕事場は作家さんが何人かで一緒に作業しているそうですが?

鏡:
僕はあんまり行かないんですけれどね。行くと「みんな締め切りどうなってる?あ、僕よりヤバイの?やった~」と安心して帰るという感じで。

G:
H+P -ひめぱら-」の作者・風見周さんのブログによると、いけぬこ研究会という名前で、2008年の時点では「BLACK BLOOD BROTHERS」のあざの耕平さん、「れでぃ×ばと!」の上月司さん、「いぬかみっ! 」の有沢まみずさん、「みんなのヒ・ミ・ツ」の鯨晴久さん、「ご愁傷さま二ノ宮くん」の鈴木大輔さん、「狼と香辛料」の支倉凍砂さん、杉井光さん、風見周さんが仕事場にいるとのことですが、現在は何人ぐらい集まっているんですか?

鏡:
今、池袋だけで30人ぐらいいますよ。

G:
そんなに多いんですか!?

鏡:
もう、編集部より人が多くなっています。

G:
杉井さんの「ばけらの!」では、仕事場にいる実在の作家さんの名前をもじったキャラたちの話になっていますが、最初はどんなきっかけで集まることになったんですか?

鏡:
初めは風見さんと鈴木さんが池袋で一緒に仕事していたんです。ちょうど、僕が池袋に引っ越したころ、「一緒に仕事しに来ない?」と誘われたので行くようになりました。でも、借りてた所が急激に値上がりしたので、3人で「どうしよう」と考えて、支倉さんの所に転がり込みました。それから「池袋にいると一人じゃなく済むらしい」という話が広まってだんだん人が増えていきました。

G:
なるほど。では全員が毎日仕事場に来ているわけではないんですね。

鏡:
そういう人も3人ぐらいはいます。僕は家で書けなくなると行きますね。「最近どう?」って。仕事をしてるときに、さらに仕事の話をするのは良くないなと思うので、作品の話はしませんけど。

G:
アニメ化もしている人気作家が集まっていますよね。

鏡:
そうですね、集まってる30名のほとんどがアニメ化しているんじゃないですか?

■アニメ「伝説の勇者の伝説」、スタッフがみんな原作好き


G:
「伝勇伝」は以前にもアニメ化の噂がありましたが……。

鏡:
噂はずっとありましたね。売上的にアニメ化候補の上の方にはいたんですよ。でもなかなかアニメ化されないから、ティー・オーエンタテイメントさんと集まって、編集部とも話し合って「僕らでやろう」となりました。「伝勇伝」を好きな人ばっかりに集まってもらっています。「こんなのはライナじゃねー!」と、自分以外の人たちが言い合ってて「すげーなー」と思ったり。

普通はすんなり決まるらしいシリーズ構成さんも、「伝勇伝」好き度を基準にオーディションされていたそうです。キャラクターデザインも何人も候補を出されていて。アニメ化って良くないときもあるじゃないですか。こんなにも熱く作られるとは思っていなかったので、長くやってきて良かったです。

鏡:
ライナ役の福山潤さんとシオン役の小野大輔さんも「こんなに作品好きな現場はあまり見たことがない」と話していました。福山さんはもともと「伝勇伝」を読んでいてくれたそうで、オーディション用の声も「武官弁護士エル・ウィン」から読んでいたというマネージャーさんと「これはライナじゃない!」と何テイクもとってから送ってきたそうです。

これまでだとシオンが福山さんの声だと思うんですけど、新しい新境地を開拓する気分で違う声を出すとのことでした。

ライナ・リュート(CV:福山潤)。常にやる気がない主人公。誰も泣かずに笑って暮らせる昼寝王国のため強大な力を秘めた勇者の遺物を探すことになる。


フェリス・エリス(CV:高垣彩陽)。突出した力を持つ「剣の一族」で女神のような美しさだが、何にも増してだんごを愛している。


シオン・アスタール(CV:小野大輔)。理想の国をつくるために苦悩しながらも奮闘する王の子。


G:
オーディションに来られた声優さんは多かったんですか?

鏡:
すごい数でしたね。信じられない大物ばっかりが、ライナとフェリスとシオンの掛け合いを送ってくれました。ライナだけでも2~3時間ぐらいかけて聞かないといけないぐらいで。フェリスはアニメを見ないような人でも知ってるような声優さんとかいて、驚きました。

G:
オーディションは声優さんが好きなセリフを送ってくるんですか?

鏡:
脚本は決まっていて、「ライナを止めるフェリス」とか「団子を持って暴れ回るフェリス」とかいろんなシチュエーションを1人15分ぐらい演じてもらっていました。

G:
鏡さんからアニメに対して希望を出した部分はありますか?

鏡:
希望というか毎回、聞かれますね。「ここは設定ありますか」と聞かれて、「ないです」と答えたら「じゃあ作ってください」と言われたり。

G:
アニメ用に設定を新たに作ったということですか。

鏡:
いえ、設定はあるんですが小説で書くと無駄に長くなってしまうところとか、アニメになると描写しないといけないところとか、まだ出ていない後半の設定も必要になるので、そういった部分を伝えました。

想像以上に僕から「ああしてくれこうしてくれ」って言うところはほとんどなくて、スタッフさんの方が僕よりも原作詳しいぐらいです。アニメによっては「原作読んでるの?」と辛い思いをする作家さんもいると思うんですけど、僕の場合は恵まれていました。

G:
そうですね。アニメ化はファンも嬉しいですが、どんなクオリティになるか不安になりますから。「伝勇伝」は長いシリーズですけど、アニメではどの辺りのストーリー展開になるか決まってるんですか?

鏡:
原作の1巻~11巻までをガチっとやってしまいます。僕がもう脚本を全部読んでいますけど、全話面白いですよ。たぶん、破綻が1ヶ所もない、原作がそのままわかるようになっていると思います。

G:
アニメイトで配布された「月刊「伝勇伝」」では全2クール(26話)ということが書かれていますが、1巻あたり2話ぐらいのペースですか?

鏡:
そうでもないんですよ。重要なところはじっくりと、飛ばせるところは軽くいくような感じなので、数話かけて1巻分の話をしたりもします。ライナ、フェリス、シオンまわりをしっかり見せていく感じで、やらなくても通じるところはチラ見せぐらいにして話をわかりやすくしています。最初の数話は1巻だけを描くようなところもあります。

アニメで中心となるライナとシオン。


G:
今のところ、キャストでフィオルは発表されていませんけど、登場予定はありますか?

鏡:
ちゃんと出ますよ。シリアスなところもきっちりやります。

G:
アニメで一押しのポイントなどあれば教えてもらえますか。

鏡:
たぶん原作の読者はまったく裏切らないと思います。あと、全編通して1つの指針があるので、原作者も含めて全員で一つのゴールに向かって突き進んでいます。仲が良すぎてお世辞もないんです。良いと思うところは本当に良いところで、作っていく過程でもダメなところは怒鳴り合って解決策を探していました。見所としては「がんばったから、見てね」というところですね。本当に面白くできています、僕はビックリしています。

G:
「伝勇伝」がうまくいけば、「大伝」のアニメ化もありそうですか?

鏡:
ヒットすれば「大伝」も、とはみんなが思ってます。物語のスタートが「伝勇伝」で、「大伝」で流動する感じですから。シリーズ構成さんは「次は大伝ね!」ってもうやる気マンマンですからね。「とり伝」も途中に挟もうか、とか(笑)。

G:
アニメで気に入ってるセリフがあれば教えてください。

鏡:
監督やシリーズ構成さんが原作を読み込んでくれているので、僕が作ったセリフが効果的なところに使われているんですが、僕が作ったものではないセリフでしびれたものがあります。

「今日はいろいろあったなぁ、でも明日からはいろいろないんだよなぁ」と言うセリフがあるんですけど、これは本当にすごいセリフだなと。これはちょっと監督、「伝勇伝」のこと知りすぎなんじゃないのって思いましたね。監督のセンスが光っています。

G:
おお。このセリフはテレビでは早めに登場するんですか?

鏡:
いや、結構先になりますね。牢屋でのシーンになるんですけど。

G:
ということは学院での話もガッチリあるということですか。

鏡:
学院もバッチリありますね。1巻は重要なところなので時間をかけています。「プライベートライアン」ばりにしっかりやってるところもあって、第3話とかは放送コードにひっかかるんじゃないかと思うぐらいでしたね。悲惨なところはちゃんとやって、ギャップを出していこうかと。

G:
配信予定のPV第2弾でもいいシーンが使われていて、こんなに見せてもいいのかなーとか思ったんですが。

鏡:
実は、アレはテレビでは放送されないんですよね。監督がすごいやる気で「PVはフル描き下ろしでやる!」と。

G:
全部描き下ろしって、超豪華じゃないですか!

鏡:
PVと同じシーンは放送分でもあると思うんですけど、本編ではもう一度新しく描くそうです。昨日の夜中の2時半に「あがった!!」というメッセージが監督から届いて。Twitterで監督のこと褒めてたらフォローされてました(笑)。

■ブログと公式サイトの更新について


G:
Twitterもかなり使っているみたいですが、基本的に携帯電話からつぶやく感じですか?

鏡:
ええ、電車で移動中とか寝る直前とかにやります。あとは食事中とか。

G:
ブログと日記の更新も結構頻繁にありますが、あちらも寝る直前とかに書いているんですか?

鏡:
そうですね。思い立つと2ヶ月ぐらい毎日更新することもあるんですが、あれは自分に課してます。読んでる人に喜んで欲しいなと。書いていると「うわ、つらい…」と思うときもあるんですけど、読んでくれたら嬉しいので。

G:
なるほど。確かにすごく嬉しいですけど、やることが多そうでちょっと心配になることもあります。

鏡:
小説だけ書いておけばいいかどうかが僕には分からなくて。読者に支えてもらっているので、なるべくファンサービスをして楽しんでもらいたいと思っています。

G:
鏡さんへの質問メールもかなり来ているようですが、何通ぐらい来たりしますか?

鏡:
けっこう来ますね、今は答えられていない分も多いんですけど。日記の更新頻度が上がると、質問の数も増えますね。学校の悩みもあったりするので、若い人の真剣な悩みは受け止めてあげて、真面目に答えたいですね。

G:
質問というよりは相談みたいな感じになってたりもしますね。

鏡:
そうですね。若い内は何があるか分かりませんから、「自分は分かっているから」というような答えはせずに、なるべく応援してあげたいですね。

■小説家を目指す人たちへのアドバイス


G:
小説家になるにはどうすればいいかという質問も多いと思いますが、何かコツなどはありますか?

鏡:
まずは「書き上げること」ですね。最初の頃は難しくて書き上げずにやめてしまったりするんですが、まずは下手でも300枚書き上げて応募してしまうことです。「わー、つまんねー、これだめかもー」と思っても、まずは応募すること。釣り竿を投げないと釣れませんから。

あと、プロになれるレベルに達したのかどうかは自分ではわからないので、「書き上げる」「出す」の繰り返しです。出すと決めていないと、100枚くらいでやめたくなるんですよ。もっと面白いことを思いついたとか、やめたくなる理由がいろいろと出てくるんです。なのでとりあえず書き上げて応募してみることが一番だと思います。あと応募までの締め切りを決めて書き上げることです。作家になってからは書き上がらないから本を出さないというのは許されませんから。書き上げる日を決めて送ることの繰り返しが大事だと思います。

G:
これから小説家になりたい人は普段やっておいたほうがいい、というアドバイスはありますか?

鏡:
めいっぱい生きることだと思いますね。あと、人を見ておくこと。他人はどんなことを考えているのかを想像することですね。話をしているときに出てきた言葉について「どんなことを思って言ってるのかな」とか、「どういう風に育ってどういう状況だとこの言葉になるのだろう」とかイメージしておくと、キャラクターが自分にならず、それぞれの人生
や思い入れのある「生きた」ものになると思います。

人さえ書ければ、僕は小説が成立すると思うんです。僕も最初そうだったんですけど、小説家になるというと、設定などを勉強しないといけないとか思いがちなんです。でも、大事なのは人と人がどうやって生きているかを書けるかどうかだと思うんです。自分のことについても「どうして今そう思っているか」と考えるのが小説を書く近道かな、と思います。

そして、やっぱり「書き上げること」。すごい才能があっても書き上げられない人もいると思うんです。でも、書き上げることで人生が開くかもしれない。そう思います。

G:
小説家になるというと、両親に反対される人もいると思いますが、今の鏡さんの場合は親御さんにも応援してもらっている感じですか。

鏡:
僕は高校のころ医学部にいく勉強をしていたんですけど、地上げで家に閉じ込められたんですよ。高校3年生だったんですが、嫌がらせが多かったので学校もやめることになりまして。すぐに大検も取ったんですが、地上げが終わらないので受験ができないんですよ。しばらくは友達との連絡も絶って、人とも会えないし辛いわけです。その状態で2年ぐらい経過しちゃったので、「これじゃいかん!」ということで、家でできる仕事の一環として小説家になりました。

これで親も養おうと思って、一生懸命仕事をしましたね。「伝勇伝」のライナも2年ほど閉じ込められることがあるんですが、後からこれは自分のことじゃないかと気付いて恥ずかしくなったりしました(笑)。エル・ウィンもこんな弁護士がいたら地上げに遭わなかったんじゃないかと後から思ったり。書いているときは気付かなかったんですけどね。

母親は仕事の心配よりも体の心配が多いですね、「あまり仕事を入れすぎるな」って。やりすぎてしまう部分があるので。でも、おおむね応援してくれています。父親は昔から何に対しても「才能がある」と言ってくれていたので、それが励みになりましたね。だから、僕も小説家を目指す人は応援したいんです。30歳になっても40歳になっても頑張れば立て直しがきくと思うんです。カーネル・サンダースが60歳を過ぎてケンタッキー・フライド・チキンを始められたんだから、いつになってもやる気次第なんだと思います。

親の期待に応えたいというのもあると思いますが、誰が何を言っても自分が思い切り頑張っていれば、両親もいつか応援してくれると思います。思いっきり頑張れないことを心配されるんだと思うんですよね。


G:
鏡さんは富士見書房に送ったエル・ウィンでデビューしていますが、それより前には何本ぐらい応募していますか?

鏡:
受験できないとわかったのが1月で、そこからだとファミ通文庫、電撃文庫、角川スニーカー文庫、富士見ファンタジア文庫の順番で締切が来るんですよ。中古で4000円のワープロを買ってきたらすぐに壊れてしまったので、書院を買ってきました。1行も小説を書いたことがない状態で、1月締め切りのファミ通は無理だと思ったので、まずは3月の電撃に応募することにしました。1日9時間~10時間頑張っても2枚しか書けないというペースで、応募はしたんですがほとんど日本語になっていませんでした。

次はちゃんと調べて、6月のスニーカーに応募してみようと思って書いたんですが、そこでもまだちゃんとした日本語にはなっていませんでした。そこで気付いたんですが、恥ずかしがってカッコイイものを出そうとすると逆にダサイんです。だから、自分が恥ずかしく思えるぐらいに振れ幅あるものを書こうと思って、8月に富士見へエル・ウィンを送りました。

富士見の発表があるまでに電撃やスニーカーの結果が出ていましたが、当然一次で落ちていたので、もう別の仕事をしていました。翌年に連絡が来たときには「やべー、もう小説の書き方なんて忘れた」という状態でしたね。

G:
富士見でデビューしたのはタイミングが良かったという感じですか。

鏡:
いやでも、なんとなく富士見でいけそうな気はしていたんです。アニメはあまり見ない方だったんですけど、当時「魔術士オーフェン」のオープニングを見て、シャ乱Qの曲とか映像がかっこいいなと思ったのが応募したきっかけなんです。買ってきた原作の最後のページにある要項を見て応募したので、ドラゴンマガジンも知らなくて。編集さんに「ドラゴンマガジン読まれてました?」っていわれたときに「中日の雑誌ですか?」って答えてしまうぐらいで(笑)。他のライトノベルも応募するときの参考にスニーカーの「ラグナロク」と電撃の「ブギーポップ」ぐらいしか読んでいませんでした。

デビューしてからは何シリーズか読んでみたんですが、初代担当さんに「せっかくだから読まないままやっていこう。先入観や影響がない分、新しいものができる可能性がある」ということで、あまり他の作品を読まないことになりました。その担当さんがスレイヤーズとオーフェンの担当だったので、信じてやっていましたね。僕が書いている内容についてもあまり言わない人で、「スゲーもん書いてこい」とかいう指示なんです。アイデアを直してもらうときも「こういう風にしたらどうかな。俺は編集者だから大した意見ではないけど」と言われるので、そのまま直さないで「さらに面白いものを書かないと」となっていました。

そういうわけで、今でもライトノベルはあまり読まないんですが、最近は応募作の選考委員をやっているので新人さんの作品は結構読んでいますね。

G:
応募作を読んでいて「こういうのは面白い」というポイントはありますか。

鏡:
やっぱり、思い切り書いているのがいいですね。審査員や編集部をうかがっているような作品はあまり読みたくないです。「読者を楽しませてやるぞ!」とか、「こんなことを思いついたぞ、スゴイだろ!」という感じで送ってくるようなのがいいですね。技術に走るとキャリアのある人の方が面白いので、小説は自分の言葉で書くのが一番だと思います。それ以上面白いものはありません。

G:
なるほど。では、文字数やページ数など最低限のフォーマットさえできていれば、後は自分を出した方がいいと。

鏡:
ええ、誰かの言葉を借りてきても、その借りてきたもの以上にはならないと思います。偽って狙ってもうまくいかないのがこの業界だと思います。300ページ複数のキャラクターが動くので、気が乗らないまま書いているのは分かると思うんです。

狙って書いても、地が出ているものでないと売れてないと思います。「狙って書いた」という作家さんもいますが、「それはお前じゃないか」というぐらい作者が前面に出ている作品が多いと思うんですよ。人気作品が出ると、それを好きな読者がマネして送ってくることが多くなるんですけど、それよりも「俺を見てくれ!」っていうのがいいですね。

「エル・ウィン」は女の子の1人称作品なんですが、スレイヤーズがあったので当時の富士見は女の子の1人称作品に賞を出さないようにしていたそうなんです。でも、僕はその時スレイヤーズを全く知らずに応募して、実際に入賞できましたから。自分の言葉で書いたものだったら、審査員の目にとまると思います。

最後に読者の方へのメッセージも頂きました。


G:
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

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