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データ改変を伴っていても瞬時に違法コピー動画を発見できる映像識別技術をNECが開発


NECが、インターネット上で違法にアップロードされたコピー動画を瞬時に自動検出可能な映像識別技術を開発したそうです。

YouTubeなど動画共有サービスの普及によって、映像のプロではなくても簡単に動画を広く公開することができるようになった昨今ですが、そこで問題となっているのは自分の著作物ではないのに勝手にアップロードされている違法コピー動画。対策としては目視確認や、コンテンツに電子透かしを埋め込んでおくなどの手法がありますが、膨大な量になると対策が難しく、また、短くカットされたり改変されたりすると発見が困難でした。

しかし、今回開発された技術では、単なるコピーだけではなく、データ改変が伴っていても高速・高精度に検出が可能になっているとのこと。

詳細は以下から。
瞬時に違法コピー動画を発見できる映像識別技術を開発(2010年5月7日): プレスリリース | NEC

この技術では、オリジナルの動画から映像を識別するための指紋情報(ビデオシグネチャ)を生成して他の動画と照合。コピー動画だけではなく、オリジナルをカメラで撮影したり、テロップを挿入したり、アナログコピーしたりしたものでも高速・高精度に検出ができるそうです。これにより、コンテンツ権利者や配信サービス事業者がオリジナル映像を予め登録しておくと、違法コピー動画が自動で検出され、違法アップロードを事前にブロックすることが可能になります。


シグネチャについては、映像の各コマ(フレーム)の様々な位置にいろんな大きさ・形状の領域をペアで複数設定し、それぞれのペアの領域における輝度の違いを抽出しているそうで、この情報は指紋のように画像ごとに異なっているため、アナログキャプチャ、再エンコード、テロップ挿入などが行われた動画であっても検出可能です。

また、領域内での輝度の差が少ない場合はその信頼度を低くするなどしており、信頼度の高い情報を重視して識別に利用することで高精度の識別率と低い誤検出力を実現しています。シグネチャは高い識別性能を持っているため、従来は検出が不可能だった2秒ぐらいの短いシーンであっても正しく検出できるそうです。

シグネチャのサイズは1フレームあたり76バイトで、照合するための動画を保持するメモリ容量は少なくて済みます。そのため、家庭用パソコン程度の処理能力でも1秒間に約1000時間分の照合が可能です。

この技術は、4月19日~23日にドイツのドレスデンで開催された第92回ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11(通称MPEG)会議においてISO/IEC 15938-3/Amd.4最終規格案として承認されており、今後、ITTFによる加盟国投票を経て、9月頃正式な規格案として発行される予定となっています。また、5月12日から14日まで東京ビッグサイトで開催される第13回組み込みシステム開発技術展に出展されるとのこと。

YouTubeでは動画識別技術によりオリジナル動画とマッチングした動画をアップしたユーザーに対して警告が発せられるようになっていますが、これと同様のことが他のサービスなどでも可能になるということでしょうか。

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in メモ, Posted by logc_nt

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