サイエンス

物理学的に最もおしっこが跳ね返りにくい小便器が設計される


小便器での排尿時、尿が跳ね返りズボンや靴が汚れるというのは男性にとって永遠の問題です。そんな問題を解決するべく、カナダのウォータールー大学の科学者たちが、尿の跳ね返りが最も少なくなる小便器の設計を導き出しました。

Physicists have designed a urinal that drastically reduces splashback | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2348244-physicists-have-designed-a-urinal-that-drastically-reduces-splashback/

What’s the best design for splash-free urinal? Physics now has the answer | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2022/11/the-angle-at-which-dogs-pee-inspired-optimal-design-for-splash-free-urinal/

尿の跳ね返りが最も少なくなるよう設計された小便器は、オウムガイの殻を連想させるような曲線を備えた細長い磁器製の小便器で、「Nauti-loo(ノーティルー)」と呼ばれています。


ノーティルーの設計に携わったウォータールー大学の大学院生であるKaveeshan Thurairajah氏は、「男性のほとんどは排尿時の不注意で、パンツにおしっこがついてしまったことがあると思います」「おしっこの跳ね返りが非常に少ない小便器を作るというアイデアを思いつきました」と語りました。Thurairajah氏らが開発した尿の跳ね返りが少ない小便器は、2022年11月22日に開催された流体力学に関するアメリカ物理学会会議の中で発表されています。

ノーティルーの開発に携わったひとりであるウォータールー大学のZhao Pan氏は、尿の跳ね返りについて研究するユタ州立大学の「Splash Lab」の設立者であるタッド・トラスコット氏の元生徒。このSplash Labによると、尿の跳ね返りを減らすには「小便器に近づき」「尿と小便器の衝突角度を小さくする」ことが重要であることが実証されています。

以下の動画を見ると、「尿と小便器の衝突角度を小さくする」ことがいかに跳ね返りを抑えるために重要かわかります。

Urinal Dynamics: a tactical summary - YouTube


トラスコット氏の別生徒であるRandy Hurd氏も、2015年に尿の跳ね返りが少なくなるよう設計した小便器用のインサートを発表しています。Hurd氏が発表したインサートのひとつは「尿の跳ね返りを最小限にするために吸収性のある布」を使用するというもので、2つ目はハニカム構造を使用したもので、3つ目は柱の配列を特徴とするものです。

Hurd氏の開発したインサートの設計は、非常に乾燥した地域でできるだけ多くの水を収集して保存することに優れた一種の超吸水性のコケである「Syntrichia caninervis」からインスピレーションを得ています。Hurd氏らは「VantaBlack」と呼ばれる人工素材でSyntrichia caninervisの超吸水性を模倣しており、この素材とインサート構造を用いることで、尿の跳ね返りを最小限に抑えることに成功しています。

Pan氏によると、ノーティルーの設計の鍵は尿の流れが磁器、つまり小便器の表面に当たる角度です。これは、「尿と小便器の衝突角度を小さくすることで跳ね返りを抑える」というSplash Labの実証結果をベースにしています。


Pan氏ら研究チームはコンピューターでモデルを作成し、人間にとって最適な「尿と便器の当たる最適な角度」が30度であることを導き出しました。その後、さまざまな形状の小便器を用意し、さまざまな速度で染色液を噴射することで、染色液の跳ね返りがどの程度になるかを検証。そして、跳ね返った染色液をペーパータオルでふき取り、元の乾いた状態のペーパータオルと重さを比較することで、「跳ね返った尿の量」を定量化しています。

次に、研究チームはあらゆる身長の男性が尿の跳ね返りを最小限に抑えられるように、通常の長方形の構造ではなくオウムガイの殻のような湾曲した構造の小便器(右から2番目)を構想。研究チームはこのオウムガイ型の小便器のプロトタイプを作成し、尿の流れをシミュレート。その結果、通常の小便器はノーティルーと比べて50倍も尿を跳ね返らせることが実証されています。Pan氏によると、三角形の開口部を持つ丸いデザインの小便器(真ん中)が、ノーティルーよりも尿の跳ね返りを抑えることができたそうですが、この形状はあらゆる身長の男性で有効に機能するわけではなかったそうです。そのため、研究チームはこの構造ではなくオウムガイ型の構造を採用しています。

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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