コラム

Wikipediaの舞台裏「Wikipediaの管理者」とは?


先の記事ではWikipediaの誕生秘話として、その過程を見ることでどのようにしてWikipediaから今のWikipediaたりえるようになっていったのかという事実を、Wikipediaの前身である「Nupedia」からネット上での各種意見に至るまで、様々なものを見ることで経緯をたどりました。

次はこのWikipediaを裏から支える「管理者」の存在についてです。Wikipediaは決して誰もが勝手に書きまくって編集しまくってそれで質を維持しているわけではなく、その質を維持するために裏で支えている人々が少数ですが存在しているわけです。

今回はそのあたりを見てみましょう。
まず、これが管理者です。

Wikipedia:管理者 - Wikipedia

どうすれば管理者になれるかというと、以下の通り。

現在のウィキペディアのルールでは、しばらくウィキペディアの更新をしており、ユーザー名がある程度知られており、コミュニティで特に反対がなければ誰でも管理者になることができます。


できる内容としては非常に多岐にわたっており、ページの保護ページの削除と復帰ページの差し戻し荒らし行為の隠蔽投稿の禁止と解除・編集画面の下に表示される注意書きの変更などがあります。

現在、日本語版では56名の管理者がいます。

活動中の管理者

登録利用者の一覧 - Wikipedia

さらにこの56名の中には「ビューロクラット」というさらに上位の権限を持っている管理者が5名存在しています。

Wikipedia:ビューロクラット - Wikipedia

権限としては、他の利用者を管理者にする・管理者をビューロクラットにする・利用者のアカウント名を変更する・ボットステータスを付与/剥奪する・管理者権限の行使となっています。

管理者はどういうことを具体的にするのか、どういう基準で判断すべきかというマニュアルも以下に用意されています。なかなかオモシロイ。削除や即時削除、半保護の方針などについても書かれています。

Wikipedia:管理者の手引き - Wikipedia

Help:管理者マニュアル - Wikipedia

Wikipedia:管理者が心得るべき文書の一覧 - Wikipedia

また、いわゆる複数アカウントを使っての不正投票などの自作自演や、登録ユーザーと匿名ユーザーの両方を使い分けての自作自演編集による荒らしなどを見張り、探し出すための権限というのもあります。それが「CheckUser」です。

Wikipedia:CheckUserの方針 - Wikipedia

CheckUser Policy/Ja - Meta

ある利用者が投稿に使用したリモートホストのIPアドレスや、ログインしていたか否かにかかわらず特定のIPアドレスからなされた編集を見ることができるという強力な権限です。日本では6名いるようです。

あと、権限というわけではないのですが、Wikipediaの質を維持するために使用されるボットとして「Bot」というそのまんまのネーミングのものが存在しています。要するに自動的にWikipediaを編集するわけです。

Wikipedia:Bot - Wikipedia

わかりやすいボットしては、日付が変わる際に動作して「今日は何の日」などを更新しているボットがいます。

利用者:ちーぼっと - Wikipedia

そして、これらあらゆる権限の与奪権利を持っているのが「スチュワード」です。

スチュワード - Meta

日本ではただひとり、この人がスチュワードになっています。「Wikipedia日本語版の代表」とか「Wikipediaの管理者」ということでよくニュースなどで紹介されているのはこの人です。Wikipediaにおける管理のヒエラルキーで最上位、頂点に位置している人物です。やっぱりそういう人が必要なわけです。

User:Suisui - Meta

つまり、「Wikipedia」の管理というコミュニティにおけるリーダーと言っても過言ではないでしょう。で、このWikipediaの管理コミュニティにおいて、いろいろな編集をしたりしていると管理者に立候補できるようになります。Wikipediaの管理がしたい人は必読です。

Wikipedia:管理者への立候補 - Wikipedia

なんといってもこれだけ有名なWikipediaなのに現時点で日本語版の管理者は56名しかいないので、管理者になって就職する際の履歴書に「Wikipedia管理者権限保有」と書くのもありかも知れません。相手が理解ある人事担当であれば一定の評価をもらえるかも。

また、管理者にならなくても、管理者に要請することで管理者しかできないことを代わりにしてもらうことも可能です。

Wikipedia:管理者への要請 - Wikipedia

このように、ざっと見ただけでもWikipediaの質を維持するためにどれだけの労力が割かれているかがよく分かります。このようなことを無償で行っているわけですから、すごいとしか言いようがありません。

なお、Wikipediaの舞台裏についてもっと詳しく知りたい場合には、以下のメーリングリストに参加するのがオススメです。

Wikipedia:メーリングリスト - Wikipedia

IRCもあるのでほかのユーザーとチャットも可能です。

Wikipedia:チャット - Wikipedia

最後に取り上げるのはWikipedia管理者側と荒らしとの壮絶な戦いの記録です。映画「攻殻機動隊」の中で「人形使い」というのがいましたが、Wikipediaにその人形使いが本当に存在するという衝撃の記録です。

・次の記事
Wikipediaの荒らしとの戦い「56人の管理者vs人形使い」 - GIGAZINE

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in メモ,   ネットサービス,   コラム, Posted by darkhorse

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