サイエンス

周期表の118種の元素全てを実験ムービーで分かりやすく解説した「The Periodic Table of Videos」


理科の授業で、水素と酸素を反応させて爆発を起こす実験をやったことがある人は多いはず。しかし、危険な元素や入手が困難な希少元素となると、おいそれと実験をすることができません。そこで、イギリス・ノッティンガム大学の科学者らが、普通は手に入れることができない希少元素などを含む全118種の元素をテーマにした実験や解説のムービーを公開しています。

The Periodic Table of Videos - University of Nottingham
http://www.periodicvideos.com/

上記の「The Periodic Table of Videos」のページにアクセスすると、こんな感じに周期表が表示されました。


ムービー制作チームは、2008年6月に最初に原子番号1の水素のムービーを投稿して以来10年以上もムービーを作り続け、ついに118個の元素を網羅しましたが、その後も最新実験の様子を更新し続けています。紫色のバーが付いているのが最新のムービーが投稿された元素なので、まずは元素記号Arで示されたアルゴンをクリックしてみます。


アルゴンの個別ページに遷移するので、さっそくムービーを再生。


なお、以下から同じムービーを見ることが可能です。

Argon (new) - Periodic Table of Videos - YouTube


ムービーが始まると、ノッティンガム大学の名物教授マーティン・ポリアコフ氏が登場。今回は、透明で目に見えないアルゴンガスを液化させる実験を行うとのこと。


まず最初に用意したのは、ガスを冷却するための液体窒素。


金属管でできたコイルを液体窒素で冷却すると……


金属管の先端から液化したアルゴンガスが出てきました。アルゴンガスの沸点は−185.85度なので、液体窒素で非常に低い温度まで冷やすことで、ようやく目に見える液体になるというわけです。


液体窒素からコイルを取り出すと、液状のアルゴンが噴き出しました。


アルゴンはネオンサインにも使われているガスです。


透明なガラス管にアルゴンガスを封入して電流を流すと、以下の画像のように美しい青色の輝きを放ちます。また、アルゴンガスには他にも、熱伝導率が非常に低いという特徴があるので、二重にした窓ガラスの間にアルゴンガスを閉じ込めると、高い断熱性を発揮してくれるとのことです。


ウェブページに戻ります。原子番号55のセシウム(Cs)をテーマにしたムービーでは、大がかりな装置を使ってセシウムを水中で爆発させています。


セシウムを使用した実験ムービーは以下から見ることができます。

Caesium or Cesium (version 2) - Periodic Table of Videos - YouTube


経験豊かなポリアコフ氏でも「セシウムと水の反応は見たことがありません」とのこと。そこで、ムービー制作班はセシウムを水中に落としてみることします。まず1gのセシウムが密封されたガラス管を用意して……


激しく爆発しても安全なように、金づちの頭部を糸で引っぱることで、離れた場所からガラス管を破壊できるお手製の「リモート制御装置」を作成。


装置にセシウム入りのガラス管を貼り付けてハンマーで砕き、下の水入りバケツに落とす実験を敢行します。


なかなかガラス管が壊れなかったので何度かトライした結果、見事にセシウムを水中に投下することに成功しましたが、セシウムと水との反応は「ボフッ」という気の抜けた音と共に小さな火が出るだけというもの。


意外な結果に、ムービー制作班を率いたブレディ・ハラン氏や見物していた学生らは爆笑していました。


原子番号113、元素記号Nhの元素は、日本の名前を冠したニホニウムです。


ニホニウムのムービーは以下から。

Nihonium - Periodic Table of Videos - YouTube


ニホニウムの平均寿命は2ミリ秒と短命なので、さすがに入手して実験を行うことは不可能。そこで今回は、元素周期表入りの法被を着込んだポリアコフ氏がニホニウムについて解説してくれるとのこと。


ニホニウムは、亜鉛の原子核をビスマスに照射する実験により発見された元素です。


ホウ素やアルミニウムなどと同じ第13族元素で、毒性が非常に強いことで知られるタリウムのすぐ下にあるニホニウムですが、その物質的特性は未知数とのこと。


ニホニウムの命名権が取り沙汰されていた2016年2月当時、ポリアコフ氏は来日して理化学研究所(理研)の科学者らと会って、新発見の元素について話したとのこと。ポリアコフ氏が手に持っているのは、その時手渡された発表資料です。


「日本によって発見され、ドイツとロシアのチームにより存在が確認されたニホニウムは、国際協調のいいお手本だと思います」とポリアコフ氏は話しました。


なお、ポリアコフ氏らのYouTubeチャンネルPeriodic Videosでは、特定の元素に焦点を当てたムービーだけでなく、チーズハーガーを塩酸に漬けてみる実験ムービーなど、化学をテーマにしたさまざまなムービーを見ることができます。

Cheeseburger in Hydrochloric Acid - Periodic Table of Videos - YouTube

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in サイエンス,   動画, Posted by log1l_ks

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