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「夏時間を恒久化する法案」が全会一致でアメリカ連邦議会上院を通過


2022年3月13日、ハワイなど一部地域を除いてアメリカは標準時を通常より1時間繰り上げる「夏時間(サマータイム)」に移行しました。この夏時間は2022年11月6日に冬時間に戻りますが、2023年から夏時間を永久に冬時間に戻さないようにする「Sunshine Protection Act(日照保護法)」案がアメリカ連邦議会の上院で満場一致の可決を得ました。この法案がさらに下院で可決された上で大統領が署名すれば、アメリカでは2023年から「季節によって時間を変更する習慣」が廃止されることとなります。

H.R.69 - 117th Congress (2021-2022): Sunshine Protection Act of 2021 | Congress.gov | Library of Congress
https://www.congress.gov/bill/117th-congress/house-bill/69

Passed by Unanimous Consent, S.623: Sunshine Protection Act, as amended (to make Daylight Saving Time permanent) @SenRubioPress / @SenWhitehouse / others

— Senate Cloakroom (@SenateCloakroom)


Senate passes bill to make daylight saving time permanent
https://www.axios.com/daylight-saving-time-bill-senate-e391d97a-1a88-40eb-a42f-f8eb30f32136.html

アメリカやカナダ、オーストラリアでは、夏になると日照時間が長くなるため、標準時を1時間早めることで太陽の出ている時間帯をより有効に利用する目的で、早春から晩秋にかけて夏時間が採用されています。夏時間に移行すると、各家庭では各自時計を1時間ずらす調整を行わなくてはなりません。


しかし、年に2回時計を調整しなくてはいけないため、システム管理面で余計なコストが発生するほか、睡眠時間にも大きく影響を及ぼすため、健康面にも悪影響が出るという指摘もあります。日本では、東京オリンピックをきっかけに夏時間制を導入しようという声もありましたが、廃止を求める声が多く断念されました。また、EUでは、新型コロナウイルスの影響で議論が先延ばしになってしまっていますが、すでにサマータイムの廃止が2018年頃から検討されています。

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アメリカでも「夏時間はやめるべき」と主張する声は多くなっており、2021年11月にオンラインコミュニティサイトのYouGovAmericaが実施した調査によれば、アメリカ人の3分の2近くが「夏時間と冬時間で時計を調整するのは嫌だ」と回答しており、特に30歳未満の若い世代から不満の声が上がっていることがわかりました。

今回の日照保護法案は2018年に議会へ提出され、2021年1月に再提出されたもので、1918年に制定されたStandard Time Act(標準時法)と1966年に成立したUniform Time Act(統一時間法)で定められた夏時間と冬時間の取り決めを廃止するものです。法案が施行されれば、2023年の春に夏時間へ移行した後、アメリカの標準時は永久に変更されないこととなります。


Sunshine Protection Actが上院の全会一致で可決されたことについて、ワシントン州のパティ・マレー上院議員は「冬の暗い午後はもういりません。毎年春に睡眠不足になるのはうんざりです。最も生産性が高い活動時間帯にもっと太陽の光を浴びたいと思います」とコメントしました。

なお、夏時間を恒久化する法案がアメリカで議論されたのはこれが初めてではなく、1974年~1975年の2年間にわたって標準時が通年で夏時間に固定されたことがありました。しかし、開始早々の1974年1月に6歳の女の子が通学中に車にはねられたことをきっかけに、「冬の早朝は暗いので、通学中の子どもにとって危険だ」という声が噴出したのと、1974年8月にニクソン政権がウォーターゲート事件で辞任したことで、夏時間の恒久化は取り消されました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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