ハードウェア

バッテリーを搭載する製品について「バッテリーを交換可能にすること」を義務づける規則を欧州議会が採択


近年ではスマートフォンやタブレットを含む多くの製品がバッテリーで駆動しており、バッテリーの寿命や交換可能性がユーザーの利便性や環境保護にとって非常に重要となっています。EUの立法組織である欧州議会は2022年3月10日、「バッテリーのある製品においてバッテリーの取り外しや交換を可能にすること」を義務づける規則を採択しました。

EU-Parlament stimmt für lange Lebensdauer von Batterien für Mensch, Umwelt und Klima | Greens/EFA
https://www.greens-efa.eu/en/article/press/eu-parlament-stimmt-f%C3%BCr-lange-lebensdauer-von-batterien-f%C3%BCr-mensch-umwelt-und-klima


EU-Parlament will festverklebte Handy-Akkus verbieten
https://www.faz.net/aktuell/wirtschaft/eu-parlament-will-festverklebte-handy-akkus-verbieten-17867864.html

The European Parliament calls for removable and replaceable batteries - Right to Repair Europe
https://repair.eu/news/the-european-parliament-calls-for-removable-and-replaceable-batteries/

スマートフォン・タブレット・PC・電動自転車・掃除ロボット・ワイヤレスヘッドホンといった製品の多くは内蔵されたバッテリーで駆動しており、バッテリーが消耗すると製品が持つ本来の性能を発揮できません。そんなバッテリーを内蔵する製品の中には、最初からバッテリーの交換を想定していない構造のものも多く、これらの製品ではバッテリーが消耗したら製品をまるごと買い換える必要があります。


バッテリー寿命が製品寿命を実質的に左右していることは、ユーザーの利便性や環境への負荷といった面で問題視されています。ドイツの新聞社であるフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングは、バッテリー市場は2025年に2500億ユーロ(約3兆2100億円)に達する見込みであるものの、バッテリーのリサイクル率や交換可能性は低いままだと指摘。これまで問題視されてきた環境負荷に加え、ウクライナに対するロシアの軍事侵攻で露呈した原材料調達の脆弱性といった点からも、バッテリーに関する規制の重要性が高まっているとのこと。

EUにおいては、2020年からスマートフォンなどの製品に「取り外し可能なバッテリーの搭載」を義務づける規則について議論されてきました。

すべてのiPhoneが「取り外し可能なバッテリー」の搭載を強制される可能性 - GIGAZINE


そして2022年3月10日の欧州議会で、バッテリーおよびバッテリー廃棄物に関する新たなEU規制が賛成多数で採択されました。新たな規則はバッテリーの製造・回収・リサイクルといった過程におけるカーボンフットプリントの可視化、原料のリサイクル、バッテリー性能や耐久性の明示といった点に加え、「バッテリーを交換可能にすること」も義務づけられています。これにより、企業はバッテリーを本体に内蔵して取り外せないようにすることが禁止されるほか、交換用バッテリーを製品の市場投入から10年間以上は利用可能にすることも要求されるとのこと。

なお、新たなバッテリー規則が発効するまでには、欧州議会より強力な権限を持つ欧州連合理事会での採択や、各加盟国における法案の調整が必要となります。「修理する権利」に関するメディアであるRight to Repair Europeは、業界に対する猶予期間なども含めると、EUで販売されるすべての製品でバッテリーが交換可能になるのは2026年かそれ以降になる可能性があると述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
すべてのiPhoneが「取り外し可能なバッテリー」の搭載を強制される可能性 - GIGAZINE

AppleがEUの「スマートフォン向け共通充電器」要求への反論声明を発表 - GIGAZINE

スマートフォンメーカーに「7年間のソフトウェアアップデートおよび修理サポート」をドイツ政府は求めている - GIGAZINE

iPhoneのLightningコネクタ廃止が欧州委員会の新法案により2024年までに実現する可能性 - GIGAZINE

「バッテリー交換に260万円かかる」と言われたテスラ・モデルSのオーナーが30kgのダイナマイトで愛車を爆破 - GIGAZINE

「AirPodsのバッテリー交換は不可能」問題の焦点は「修理する権利」という主張 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.