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「月に衝突予定のロケット」は中国のロケットではないと中国報道官が主張


2022年1月に「月にSpaceXのロケットの残骸が衝突しかけている」という計算結果が報じられ、2022年2月には「衝突するロケットは中国が発射したものである」とする訂正情報が発表されました。この報道について、中国の報道官が衝突を否定する発言をしています。

Foreign Ministry Spokesperson Wang Wenbin’s Regular Press Conference on February 21, 2022
https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/202202/t20220221_10644075.html

月にロケットの残骸が衝突するという計算結果は、天体追跡システム「Project Pluto」の開発者であるビル・グレイ氏によって2022年1月21日に報告されました。最初の報告時点では、グレイ氏は月面に衝突するのは「SpaceXのロケット『Falcon 9』の2段目ブースター」で、2022年3月4日に月の裏側に衝突予定だと報告していました。

SpaceXのロケットが制御不能となり月に衝突するとの予測 - GIGAZINE

by Michael Seeley

グレイ氏による報告は大きな話題を呼びましたが、NASA傘下のジェット推進力研究所(JPL)に所属するジョン・ジョルジョーニ氏はJPLの天体追跡システム「Horizons System」のデータを基に「Falcon 9によって打ち上げられた探査機は、特に月の近傍を通ったわけではないようです。探査機が月の近傍を通っていないのに、それを打ち上げたロケットのブースターが月の近傍を通過していたら不自然です」と指摘。その後、グレイ氏はデータの再分析を行い、2022年2月12日に「ブースターが月の裏側に衝突するという計算結果は間違っていないが、そのブースターはSpaceXのFalcon 9のものではなく、中国の月面探査衛星『嫦娥5号T1』のものである」という訂正情報を発表しました。

まもなく月に衝突するロケットはSpaceX製ではなく「中国製」だと訂正される - GIGAZINE

by NASA Goddard Space Flight Center

そして、2022年2月21日にはAP通信の記者が中国の報道官である汪文斌氏に「2022年3月4日にロケットのブースターが月の裏側へ衝突予定です。NASAが主導した分析では、このブースターは2014年に中国が実施した月探査プロジェクトに由来する可能性があるとされています。詳細を確認させてください」と質問。この質問に対して汪氏は「中国は、嫦娥5号の上段ロケットが地球の大気圏へ安全に突入し完全に燃焼したことを観測しています」と回答し、月に嫦娥5号のブースターが衝突する可能性を否定しました。

この汪氏の発言の後、グレイ氏は上述の訂正情報を更新し、中国の報道官の発言は2014年に発射され今回問題になっている「嫦娥5号T1」と2020年に発射された「嫦娥5号」を混同したものである可能性を指摘。2022年に3月4日に月面へロケットのブースターが衝突するという自身の意見を引き続き支持しました。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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