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なぜ車泥棒は触媒コンバーターを狙うのか?


車には、プラチナやイリジウムを触媒として排ガスを浄化する「触媒コンバーター」という装置が取り付けられています。この触媒コンバーターを狙った盗難が過去数年間で急増しているという問題を、ニュースサイトのThe Hustleが取り上げています。

Why thieves love to steal catalytic converters
https://thehustle.co/why-thieves-love-to-steal-catalytic-converters/

一酸化炭素や窒素酸化物を浄化する触媒コンバーターは、1970年代に導入されて以来これらの排出量を80%以上削減してきたとのこと。しかし、触媒コンバーターにはプラチナやイリジウム、パラジウム、ロジウムといった貴金属を内包しており、これらを狙う盗難が相次いでいるのも事実。The Hustleは、この種の盗難が過去数年間で11倍以上に増加していると報告しています。


盗難が増加した理由について、The Hustleは貴金属の価格高騰を挙げています。2018年頃に1オンス(約28.35g)当たり2000ドル(約22万円)程度だったロジウムの価格は、その後3年で一時3万ドル(約330万円)近くにまで上昇。同時期にパラジウムの価格も3倍以上値上がりしています。

ロジウムとパラジウムはプラチナ採掘の副産物として生産されます。しかし、過去10年間にプラチナの余剰があったために採掘企業が採掘量を増加させなかった結果、需要増が続いたロジウムとパラジウムの価格は高騰。さらに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による長期間の採掘停止も重なって供給不足が悪化しました。

これら貴金属の供給不足により、リサイクル市場で触媒コンバーターが高く売れるようになりました。The Hustleによると、自動車メーカーによって違いはあるものの、触媒コンバーターは1つ当たり25ドル(約3000円)から2000ドル(約22万8000円)以上の価格で売れるとのこと。多くのリサイクル業者は買い取り時に身分証明書の提示を求めているため、これを回避したい泥棒は仲介業者に販売。仲介業者はこれらをまとめて貴金属部分を取り出す金属加工業者に回し、金属加工業者は貴金属を抽出する精錬業者に回すというサイクルができあがっているとThe Hustleは指摘しています。


The Hustleは、触媒コンバーターを盗まれた被害者は修理費用として500ドル(約5万7000円)~3000ドル(約34万3000円)かかる場合がある上、さらに前述の供給不足問題により、部品調達に現状2カ月以上かかると指摘。盗難防止装置の売上量が過去1年間で2倍になっているという情報にも言及し、「貴金属の価格が上昇し続けるにつれ、さらに多くの盗難が発生する可能性があります」と警告しました。

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in 乗り物, Posted by log1p_kr

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