サイエンス

テレポートやタイムトラベルなど「理論的には実現可能」なSF概念5選


テレポートやタイムトラベル、ワープ航法などSF映画やSF小説には魅力的な概念が多数登場します。そんなSF概念の中でも「理論的には実現可能」とされているものについて科学系メディア・Live Scienceが解説しています。

5 sci-fi concepts that are possible (in theory) | Live Science
https://www.livescience.com/sci-fi-concepts-real-life

◆ワームホール
SF作品に登場する「ワームホール」は、くぐり抜けることで遠く離れた場所へ一瞬で移動できる概念として登場します。ワームホールの概念がSFで取り扱われるようになったのはアルベルト・アインシュタインネイサン・ローゼンが1936年に発表した「非常に強い重力点は互いに接続できる」とする理論「アインシュタイン-ローゼン橋」に端を発しています。

ただし、「アインシュタイン-ローゼン橋」によってワームホールの存在が理論的に実証されているといっても、ワームホールを実際に作り出すことは非常に困難です。例えば、ニューヨーク州立大学バッファロー校の物理学者であるデヤン・ストイコビッチ氏は「ワームホールを開いたままにするためには負のエネルギーが必要になります。しかし、私たちは負のエネルギーを作り出す方法を知りません。安定して巨大なワームホールを作るためには魔法が必要なのです」と指摘しています。


◆ワープ航法
ワームホールの他に、光を超える速度で宇宙空間を移動する「ワープ航法」も多くのSF作品に登場します。一般的に光を超える速度で移動することは不可能だと思われていますが、1994年にはメキシコの物理学者ミゲル・アルクビエレ氏がアインシュタイン方程式を基に「宇宙船の後方の時空を膨張させ、同時に前方の時空を収縮させることで宇宙船を動かせば光速を超えた移動が可能なる」というアイデア「アルクビエレ・ドライブ」を発表しました。

上記のアルクビエレ・ドライブを実現するには、「時空のゆがみ」を意図的に発生させる必要があり、そのためには「全宇宙に存在するエネルギーの100億倍に匹敵する負のエネルギー」が必要なため、実現は不可能とされてきました。しかし、2021年にはゲッティンゲン大学の理論物理学者であるエリック・レンツ氏が「『現代の核分裂炉が出力できる最大エネルギーの1030倍のエネルギー』があればアルクビエレ・ドライブを実現できる」という理論を発表しており、以前よりもワープ航法実現の可能性は高まっています。

SFでおなじみの「ワープドライブ」をより現実的とする理論が発表される、はたしてどれだけのエネルギーが必要なのか? - GIGAZINE


◆テレポート
テレポートは、ワームホールやワープ航法のような移動方法とは異なり、「物体が元の場所から消失し、消失した部分の正確なコピーが別の空間に現れる」という移動方法です。このような移動方法は不可能なように思えますが、量子力学の世界ではすでに量子テレポーテーションに成功しています。

電子はスピン自由度と呼ばれるものを持っており、このスピンには「上向き」と「下向き」の2種類の状態が存在しています。加えて電子は「上向き」と「下向き」の2つのスピン状態を同時に持つことができ、観測されることでどちらかの向きに確定します。さらに、粒子Aと粒子Bのペアが「Aが上向き・Bが下向き」と「Aが下向き・Bが上向き」といった重ね合わせを形成することもあります。この場合、粒子Aと粒子Bの距離がどれだけ離れていようと、粒子Aが「上向き」と観測されれば、その瞬間に粒子Bは「下向き」に確定します。この現象は実験で確かめられており、この現象を応用して量子の状態を遠く離れた場所へ一瞬で送る量子テレポーテーションが可能であることも実験で確かめられています。

ただし、今のところテレポーテーションの成功例として報告されている最も大きな物質は原子で、人間や宇宙船のような巨大な物体の輸送は実現されていません。


◆タイムトラベル
アインシュタインが提唱した一般相対性理論では、空間と時間を「時空間」として扱い、互いを密接に関連したものとして扱っています。上述の通り空間をゆがめることでワームホールやワープ航法が実現するとされており、同様に時間をゆがめればタイムトラベルが可能になるとする理論も存在しています。

また、タイムトラベルを実現するための概念設計もいくつか発表されています。例えば、物理学者のフランク・ティプラーは「太陽の10倍の質量の筒状の物体を毎分10億回回転させることで時空をゆがめられる」とするタイムトラベルモデル「ティプラー・シリンダー」を1974年に発表しています。

◆多元宇宙論
SF作品には、人類が住んでいる宇宙とは異なる宇宙が登場することがあります。この「宇宙が複数存在する」という考え方は「多元宇宙論」として学術的にも論じられており、「別の宇宙では重力などの物理パラメーターが異なる可能性があるが、そのような宇宙にも生命が存在する可能性がある」とする理論も提唱されています。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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