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Googleが広告の評価方法を刷新、「購入の決め手となった広告」をより正確に特定しコスト削減を可能にする「データドリブンアトリビューション」とは?


多くのサービスを無料で提供するGoogleはオンライン広告を重要な収入源としており、ユーザーの「商品購入」「サービス登録」といった広告の最終目標である「コンバージョン」に対する広告の貢献度を測定するため、アトリビューションモデルという枠組みを用意しています。新たにGoogleが、ユーザーがコンバージョンに至る複数の過程に基づいて貢献度を評価する「データドリブンアトリビューション」というモデルを、デフォルトのアトリビューションモデルにしていく方針を発表しました。

The future of attribution is data-driven
https://blog.google/products/ads-commerce/data-driven-attribution-new-default/


Google Makes Data-Driven Attribution the Default for All Conversion Actions in Google Ads | Social Media Today
https://www.socialmediatoday.com/news/google-makes-data-driven-attribution-the-default-for-all-conversion-actions/607253/

近年では、収集したユーザーデータを広告に利用する手法への目線が厳しくなっていることから、ユーザープライバシーを保護しつつ広告の効果を高めることが大きな課題となっています。オンライン広告の貢献度を測定するアトリビューションモデルは、コストをかけて広告を掲出する広告主にとって、「どの広告が最もユーザーへの影響力が強いのか?」を知るための重要な手段です。


既存の主なアトリビューションモデルとしては、コンバージョン経路で最後にクリックされた広告や対応キーワードに貢献度を割り当てる「ラストクリック」が存在します。しかし、ウェブサイトで商品購入やサービスの申し込みを行ったユーザーは、必ずしも最後にクリックした広告だけを決め手にしたのではなく、それ以前に目にした複数の広告に影響された可能性があります。

たとえば、「Facebookで広告を見た時にウェブサイトへアクセスし損ねてしまい、後にInstagramで広告が表示されたことで気になっていたウェブサイトを思い出し、Google検索でウェブサイトにたどり着いた」という場合、ラストクリックで評価されるのはGoogleの検索ワードのみです。それ以前にユーザーが見たFacebookやInstagramに表示された広告は評価されないため、ユーザーがコンバージョンに至った正確な要素を評価できているとは言えません。

そこでGoogleは、ユーザーがコンバージョンに至った全ての関連データを総合的に評価する、「データドリブンアトリビュージョン」というモデルを構築しました。データドリブンアトリビュージョンでは高度な機械学習ツールを用いて、ユーザーのプライバシーを尊重しながら、広告フォーマットやユーザーの操作、コンバージョンまでの時間を基にした正確な広告評価が可能だとのこと。


Googleは広告主がデータドリブンアトリビュージョンを導入することで、広告にかけるコストを削減したり、同じコストでより多くのコンバージョンを獲得したりできると主張しています。医薬品の通信販売を行うDocMorrisのマーケティング担当者・Lara Harter氏は、「自動入札とデータドリブンアトリビュージョンにより、ラストクリックに比べて売上原価が18%削減できました」とコメント。また、イタリアの銀行グループであるCrédit Agricole Italiaでオンライン責任者を務めるMarco Carola氏は、「Google広告の検索キャンペーンと表示キャンペーンをデータドリブンアトリビューションに移行して以来、全体的なコンバージョンを8%増加させつつコストが8%減少しました」と述べました。

記事作成時点では、既にGoogle検索やYouTube、ディスプレイ広告を評価するモデルとしてデータドリブンアトリビュージョンを利用可能ですが、これまでは広告主が一定量を超える広告インタラクションやコンバージョンを得ていることが利用条件でした。Googleは新たなブログ記事で、データドリブンアトリビュージョンを利用する広告主に対するデータ要件を撤廃し、全ての広告主が利用できるようにすると説明しています。

具体的には、2021年10月以降、全ての新しい広告コンバージョンにおけるデフォルトのアトリビューションモデルとしてデータドリブンアトリビュージョンを展開し、2022年の初めまでに全てのGoogle広告アカウントに導入すると発表されています。なお、ラストクリックをはじめとする既存のアトリビューションモデルに手動で切り替えるオプションも継続するとのことです。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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