How An Ionizing Particle From Outer Space Helped A Mario Speedrunner Save Time
https://www.thegamer.com/how-ionizing-particle-outer-space-helped-super-mario-64-speedrunner-save-time/
Rampant space particles might be behind eight-year-old Mario speedrun glitch | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/uk/cosmic-rays-cause-tech-bit-flips-blue-screen-of-death/
チャンネル登録者数1000万人超のYouTubeチャンネル・Veritasiumが、「宇宙はコンピューターと敵対している」というムービーを公開し、宇宙から地上に降り注ぐ宇宙線が飛行機事故や選挙の干渉、ゲームのバグなどを引き起こしていると指摘しています。
The Universe is Hostile to Computers - YouTube
ムービーによると、Intel製のDRAMは半導体に保存された電子の有無でバイナリの0と1を判断するようになっているとのこと。DRAM上では宇宙線に含まれるのと同じアルファ粒子が内部を通過するため、宇宙線によりビット反転が引き起こされることがある模様。これはシングルイベントアップセット(SEU)と呼ばれます。
このムービーに登場したアメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所で主任エンジニアを務めるLeif Scheick博士は、「宇宙線があなたのデバイスの機能を変えてしまうことがあります」「あなたが体験したPCのブルースクリーンは、実際は中性子などの素粒子が原因であった可能性があります」と語り、SEUの影響について語りました。
実際、過去に起きたバグが宇宙線が原因であると判明したこともあります。
スーパーマリオ64のRTAプレイヤーであるDOTA_TeaBagさんは、2013年に同作のステージのひとつであるチックタックロックで突如天井をすり抜けてワープするバグに遭遇しました。
TTC Upwarp Highlight - YouTube
このバグを再現できるようになればスーパーマリオ64のRTAにおいて大きなアドバンテージになるということで、このバグを再現する方法を発見した人には1000ドル(約11万円)の報奨金が支払われることとなります。
報奨金が設定されたことで多くのプレイヤーがバグの再現を目指したのですが、DOTA_TeaBagさんがバグを起こした際の挙動をエミュレーターで各フレームすべて一致させてもバグを再現することはできませんでした。
そのため、最終的にDOTA_TeaBagさんが経験したチックタックロックの天井すり抜けバグはSEUによるものと結論付けられています。
SEUにより一体何が起こったのかをより詳細に説明すると、DOTA_TeaBagさんがスーパーマリオ64をプレイしている際に、宇宙線由来の中性子がマリオの高さに関するビットを反転したことで、バイナリが「11000101」から「11000100」に書き換わり、マリオの高さ情報が「C5837800」から「C4837800」に変更されてしまったとのこと。これが偶然にも天井をすり抜けるのに適切な高さの変化であったため、RTAに使えそうなバグであるかのように動作したというわけ。
実際、報奨金を設定したpannenkoek12さんが手動で特定のバイナリ情報を書き換えるスクリプトを用いることで、DOTA_TeaBagさんが経験した天井すり抜けバグがバイナリ情報の書き換えにより起きたものであることを確認しています。
なお、ゲームメディアのTheGamerは、「天井すり抜けバグが一貫して発生するバグであった場合、スーパーマリオ64のRTAの世界記録を更新できる可能性は非常に高いです」と記しながら、「RTAプレイヤーがこの種の(宇宙線由来の)バグに遭遇する確率は天文学的に小さく、1兆分の1ほどの確率」と記し、宇宙線由来のバグがRTAの記録更新に役立つ可能性は非常に低いと指摘しています。
