2021年09月01日 17時00分メモ

500年間家賃が改定されていない超激安賃貸住宅がある、一体何円で住めるのか

ドイツには1521年から500年にわたって運営され続けているフッゲライと呼ばれる集合住宅が存在します。この集合住宅は家賃が建設当時から一切変更されておらず、2021年の家賃価格に比べるとかなりの激安価格になっていることから、経済的困窮者のよりどころとなっています。

At the world's oldest social housing, rent hasn't changed since 1521 | CBC Radio
https://www.cbc.ca/radio/day6/hazaras-at-risk-in-afghanistan-the-meaning-of-comirnaty-a-brief-history-of-poppers-nancy-drew-at-91-more-1.6155032/at-the-world-s-oldest-social-housing-rent-hasn-t-changed-since-1521-1.6155041

フッゲライは1521年に裕福な銀行家ヤーコプ・フッガーによってドイツのアウクスブルクに建設されました。フッガーは「貧しいカトリックの信仰者がコミュニティに属しながら無借金で暮らせる住宅」を目指してフッゲライを建設しており、住民には家賃として当時の1月分の平均月収に相当する金額を1年に1回支払うことが求められました。その家賃は500年が経過した2021年時点でも変動しておらず、家賃は年間たったの0.88ユーロ(約114円)という激安価格になっています。

フッゲライに住むためには「経済的に困窮している」「アウクスブルクに2年以上住んでいる」「カトリックを信仰している」という3つの条件を満たす必要があります。フッゲライの居住者を支援している社会福祉士のドリス・ヘリツォーク氏によると、記事作成時点でフッゲライには160人の人々が暮しており、80人がフッゲライに引っ越す意向を示して順番待ちをしているとのこと。これら人々が実際にフッゲライで暮し始めるには5～7年待つ必要があります。

フッゲライで暮す人々は「コミュニティに貢献する」「庭の警備を行う」「夜警に参加する」「門限は午後10時」といった500年前に定められたガイドラインを守りながら生活しています。また、フッゲライはフッガー家によって管理されており、林業・不動産業・フッゲライに訪れる観光客が支払う1人当たり6.5ユーロ(約850円)の入場料などを基に運営されています。

By Jennifer Boyer

6年前からフッゲライに住んでいる71歳のイローナ・バーバー氏はフッゲライに訪れる観光客向けのチケット販売窓口で働いています。バーバー氏は隣人と持ち寄りディナーパーティーを開催したり、メッセージアプリで頻繁に連絡を取り合ったりとコミュニティに属しながら日々を送っているとのことで「私は以前、アメリカのカジノで働いていました。だから、いろんな種類の人々と接することに慣れています」「今の仕事は楽しいです。チケットの価格に驚く人もいます」と、フッゲライでの生活に満足感を示しています

By Polybert49

フッガー家のアレクサンダー・フッガー・バーベンハウゼン伯爵は「フッゲライには、160人の人々が住んでいます」「家賃を上げると、フッゲライの中心的な目的が損なわれかねません」と述べ、家賃を上げる可能性がないことを主張しています。

By Allie_Caulfield

フッゲライでは2021年8月23日に設立500年祝賀パーティーが開かれました。そのパーティーには各国の慈善団体の代表が出席しており、シエラレオネ共和国の活動家であるルギアトゥ・ネネ・トゥレイ氏とステラ・ローテンバーガー氏は、シエラレオネの漁村に女性と女児のためのフッゲライを参考にした集落を建設しようとしていることをパーティーの中で明かしました。加えてリトアニアの活動家も老後の貧困に苦しむ人々に焦点を当てた集落の建設予定を語っており、フッゲライを参考にした安価で安全な集落が世界中に建設されることが期待されています。

なお、Googleマップにはフッゲライの360度写真が投稿されており、以下のリンクからフッゲライの景色を確認できます。

フッゲライ（世界最古の社会福祉住宅） - Google マップ
https://www.google.com/maps/place/フッゲライ（世界最古の社会福祉住宅）