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医師専用SNS「Doximity」でワクチン陰謀論や誤情報が急拡大しているとの報告


参加するためには写真付きの医師免許証の提出が必要だという医師向けSNS「Doximity」で、医師による誤情報が多く見られるという事態をアメリカのニュースメディアであるCNBCが伝えています。誤情報の内容は「『ワクチンにはマイクロチップが含まれる』というレベルのものは少ないものの、多くはそれにかなり近いもの」だと言われています。

Doximity, social network for doctors, full of antivax disinformation
https://www.cnbc.com/2021/08/06/doximity-social-network-for-doctors-full-of-antivax-disinformation.html

Doximityは「医師向けのLinkedIn」と説明されるSNSで、2021年6月にIPOを果たし、時価総額が100億ドル(約1兆1000万円)を突破したと報じられています。Doximityは全米の医師の80%にあたる180万人のユーザーを持ち、医師がパーソナライズされた医学情報を取得できるようにしているほか、医師同士がつながったり、業界の動向を把握したりするのに役立っているとのこと。

しかし、Doximityのメンバーであるカリフォルニア州在住のポール・マラリック氏によると、Doximityは反ワクチン主義の医師による誤情報であふれかえっているとのこと。「『ワクチンにはマイクロチップが含まれる』というレベルのものは少ないですが、多くはそれにかなり近いものです」とマラリック氏は述べています。マラリック氏はすでに引退していますが、月50時間をワクチン投与活動に費やしており、Doximityで誤情報を投稿する医師について「彼らは積極的に私たちに対抗しています」とも述べました。


Doximityは、FacebookやTwitterのようにユーザーが記事を投稿することはできません。Doximityのタイムラインに表示されるのは報道機関・科学誌・医学誌の出版物であり、各ユーザーのタイムラインは、ユーザーのプロフィールと読んだ記事から割り出される興味・関心に基づきカスタマイズされます。Doximityは自社サービスについて、「メンバーが個々に検索して収集する必要がある、医学誌・専門化のウェブサイトといったさまざまなソースからの情報を集めて、医師がアクセスしやすくする」ものだと説明しています。

ユーザーが記事を投稿できないというDoximityですが、記事に対してコメントを行うことは可能。マラリック氏が目にした反ワクチンの主張も、コメントの中にあったものとのこと。Doximityに参加するには写真付き医師免許証の提出が必要ですが、医師免許証を持ちプロフィールでオステオパシー医師であることを示す人などが「ワクチンは実験中であり、証明されていない」「ワクチンは致命的である」「mRNAワクチンよりもCOVID-19に感染して作られる抗体の方が効果的だ」とコメントしていたとマラリック氏は述べています。

また、ヒューストン・メソジスト病院が雇用条件としてワクチン接種を義務付けたことに対して、職員100人あまりが「不当だ」と訴え裁判を起こしたと伝えるニューヨーク・タイムズの記事に対しては「COVID-19のワクチンは既に接種者のうち4000人を殺している」「4000人以上を殺すワクチンを採用することは殺人のようなものだ」とするコメントが見られました。なお、このコメントは、アメリカの保守派政治コメンテーターであるタッカー・カールソン氏の発言を踏まえたものだと考えられていますが、この発言はワクチンの安全性について虚偽の主張をするために反ワクチン活動家によって使用されるオープンソースデータベースを元にしており、専門家によって「誤解を招くもの」と指摘されています。


なお、Doximityのコミュニティガイドラインには「虚偽または誤解を招く情報を広める」コメントが削除される可能性があるとつづられています。またDoximityはCNBCに対するメールの中で、「意見の共有は奨励されますが、医療の誤情報を投稿することは明示的に禁止しています」と述べ、「フェイクニュース」とフラグが立てられたコメントを評価するための、医師による厳格なレビュープロセスが存在することも説明しています。

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in ネットサービス,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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