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問い合わせ窓口が存在しないFacebookで有人サポートを受ける裏技とは?


SNSが人々の生活に深く浸透するようになるにつれて、SNSアカウントをハッキングされた際のダメージも大きくなっています。にもかかわらず、Facebookには有人対応窓口となる電話番号やメールアドレスが存在しません。そこで、Facebookアカウントをハッキングされてしまった被害者がどうにかしてFacebookの有人サポートを得る「裏技」を編み出したと、アメリカのナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が報じています。

Your Facebook Account Was Hacked. Getting Help May Take Weeks — Or $299 : NPR
https://www.npr.org/2021/08/02/1023801277/your-facebook-account-was-hacked-getting-help-may-take-weeks-or-299

カナダのオンタリオ州に住むアンジェラ・マクナマラ氏は、ある早朝に誰かがFacebookアカウントにログインしようとしていると警告する電子メールを受け取りました。電子メールには「If this is not you, don't worry, we're keeping your account safe(これがあなたでない場合でも心配しないでください、私たちはあなたのアカウントを安全に保ちます)」と記されていましたが、すぐにアカウントのパスワードが変更されたと通知する別の電子メールが届き、簡単にアカウントがハッキングされてしまったとのこと。


その後ハッカーが2段階認証も設定してしまったことで、マクナマラ氏はアカウントにアクセスできなくなってしまいました。Facebookの自動化されたプロセスを通じてバックアップコードを取得し、パスワードのリセットも試みたものの、アカウントを回復することはできなかったとマクナマラ氏は述べています。

NPRによると、マクナマラ氏のようにFacebookアカウントが乗っ取られてしまう事例が多発しているそうで、RedditのフォーラムやTwitterでさまざまな体験談が語られているとのこと。また、NPRは2021年7月以降だけで19件もの「Facebookアカウントが乗っ取られた」というリスナーからの電子メールを受け取っており、事態は深刻なものとなっています。


人々の生活にSNSが深く浸透した現代では、Facebookアカウントの乗っ取りは大きな被害をもたらします。アメリカ・マサチューセッツ州に住むベン・コールマン氏は、「Facebookアカウントがハッキングされたと気付いた時にまず心配したのは、ハッカーがビジネス用の銀行口座にアクセスできるかもしれないという点でした」と述べています。さまざまな事業を行うコールマン氏は、急いでアカウントをロックすることで被害を防ぐことができましたが、アカウントを回復することができなかったため、Facebookを利用してリーチしていた顧客などを失うことになってしまいました。

また、アメリカ・ミシガン州に住むジョン・モーガン氏のFacebookアカウントを乗っ取ったハッカーは、モーガン氏が管理を手伝っていた「町のお祭りのFaceookページ」を破壊したとのこと。さらにモーガン氏は、家族写真をFacebookにアップロードして保存していたため、乗っ取りによって思い出の写真が見られなくなってしまいました。モーガン氏が見られなくなってしまった家族写真には、2021年に亡くなった息子も写っていたそうです。

モーガン氏はハッカーの乗っ取りにより、自分の生活にどれほどFacebookが深く食い込んでいたのかを自覚しました。「私たちはFacebookを一種のおもちゃや楽しむためのものと考えていますが、人々はFacebookでニュースを共有・入手したり、フォトアルバムとしてFacebookを利用したりしています。私が経験から学んだことは、自分がFacebookをどのように使っているのか、アカウントを失うことがどのような意味を持つのかを考える必要があるということです」と述べました。

なお、NPRがコールマン氏とモーガン氏の事例についてFacebookと話し合った後、Facebookは2人に対し、アカウントのロックを解除するためのリンクを送信したとのこと。


アカウントをロックされてしまった人々はFacebookのアカウント回復プロセスを試みますが、自動化されたプロセスはうまくいかないことが多いそうです。しかし、Facebookは人間が対応するコールセンターや問い合わせフォームを設置していないため、回復プロセスの途中で何かしらの問題が発生したユーザーは、そこから先に進めなくなってしまいます。

アメリカ・イリノイ州に住むジェシー・マルセラ氏は、「Facebookには有人対応の電話番号がありませんでした。メールアドレスもありませんでした」とNPRにコメントしています。マルセラ氏は1日3回も自動フォームからのアカウント回復を試みたものの失敗し、Facebook本社にも電話をかけてみましたが、「残念ながら、現時点では電話サポートを提供していません」という録音音声が流れるだけだったとのこと。

Facebookの広報担当者であるギャビー・カーティス氏はNPRへの声明で、Facebookのヘルプセンターは、問題の解決や問題を報告するために24時間利用できると主張。その一方で、「この分野で改善を進める必要があることも理解しており、将来的により多くの投資を行う計画です」と述べました。


Facebookアカウントを回復するために有人サポートを受けたいユーザーの中には、「VRヘッドセットの『Oculus Quest 2』を299ドル(約3万3000円)で購入し、Oculusのカスタマーサポートを通じてFacebookアカウントを回復する」という裏技を使う人もいます。

OculusはFacebook傘下のVR企業であり、2020年10月以降はOculus製デバイスのログインにFacebookアカウントが必要となっています。Oculusは独自のカスタマーサポートサービスを用意しているため、カスタマーサポートに連絡して購入したOculus Quest 2のシリアル番号を伝えることで、Facebookアカウントの復元に関して有人サポートを受けることができるそうです。

しかし、Oculusを経由することでFacebookアカウントを回復できたというユーザーも多数いるものの、結局アカウントを復元できなかったというユーザーも存在するとのことで、必ずしもOculusのカスタマーサポートに連絡すればアカウントを回復できるわけではない模様。

サイバーセキュリティ企業のトレンドマイクロで脅威インテリジェンス担当ヴァイスプレジデントを務めるジョン・クレイ氏は、SNSアカウントをハッキングする主な動機は金銭的なものだと指摘。ハッカーはユーザーの友人からお金をだまし取ったり、アカウントを闇市場で売りさばいたりして利益を上げているとのこと。「現代ではソーシャルメディアが人々の生活の大部分を占めているという事実は、それが主要なターゲットになり得るということを意味します」とクレイ氏は述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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