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チェルノブイリに不法侵入した体験記が公開中


1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故の影響を受けた地域、通称「ゾーン」は近年では人気の観光スポットになっています。そんなゾーンの中でも原子力発電所から半径30kmの地域は事故以降立入禁止区域となっていますが、旅行客を案内する現地のガイドの中には、この立入禁止区域に不法侵入する「違法ツアー」を行う者もいるとのこと。そんな違法ツアーに参加した写真家兼ライターのアラム・バラクジャン氏が、チェルノブイリの危険地帯を歩き回った体験をつづりました。

Into the Zone: 4 days inside Chernobyl’s secretive ‘stalker’ subculture — The Calvert Journal
https://www.calvertjournal.com/features/show/10946/into-the-zone-4-days-inside-chernobyls-secretive-stalker-subculture

バラクジャン氏がゾーンに入ろうと思い立ったのは、ロシアの長編小説「ストーカー」を原作とした映画に触発されたからでした。


バラクジャン氏を含む4人の旅行客と、ガイドのキリル・ステパネッツ氏が最初に向かったのは、ゾーン内にある小さな廃村です。ステパネッツ氏が運転するバンで警察の検問所を通り抜けた後、一行は夜の林道を抜けてゾーン内に入っていきました。


30年以上にわたり放置された廃村は、放射能汚染はないものの朽ちて倒壊しかけた建物ばかり。現地で、ほかのガイドが隠した物資と食料を回収した一行は、そこで一晩過ごしました。


翌日、チェルノブイリ原子力発電所から4kmの場所に位置するプリピャチを目指したバラクジャン氏らは、「デッドゾーン」と呼ばれる森林地帯の中に分け入りました。「デッドゾーン」と呼ばれているにもかかわらず、森はイノシシやシカ、さまざまな昆虫などの生き物であふれる緑豊かな土地だったとのこと。


道中で違法労働者とおぼしき一団に発見されかけたり、白い防護服に身を包んだ2人組が何かを埋めている場面に遭遇したりしたものの、一行は無事にプリピャチにたどり着きました。


プリピャチで一番高いビルに上ったバラクジャン氏は、廃炉を覆う石棺と、石棺めがけて天から落とされたかのような稲光を目にしました。


ガイドを務めたステパネッツ氏は、21歳の時に初めてゾーンに入って以来、100回以上にもわたってゾーンへの不法侵入を手引きしているとのこと。


原発事故から4年後、ソ連崩壊の1年前に生まれ、ウクライナの混乱の中で生まれ育った同氏が違法ガイドを繰り返す理由について、バラクジャン氏は「ウクライナ人がカタルシスを求めてゾーンに侵入するというのは、ある意味自然なことだと思います。彼らはゾーンを占領することで、ウクライナ人が負った心の傷に向き合うのです。ゾーンは博物館であり、自然保護区であり、激動の時代からの避難場所でもあります。ゾーンでの不自由な生活は、不安定な国で生きるという事へのアンチテーゼでもあるのです」と分析しました。


また、バラクジャン氏はゾーンで数日間過ごした経験について、「ゾーンへの不法侵入は、安全な公式ツアーでは得ることのできない、歴史への重要な洞察をもたらしてくれます。その一方で、リスクとサバイバルにさらされた純粋な経験は、思いがけない瞑想(めいそう)的な逃避行にもなりました」とコメントしました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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