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新型コロナに関する制限解除は「変異株工場」を爆速で作り出すと議論を呼ぶ


政府が推し進めている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する制限緩和政策について、イギリスのサジド・ジャヴィド保健大臣が新たに「国民の健康を守る最善の方法は、主要なCOVID-19制限を解除することです」と述べました。この発言に対してイギリス国内の著名科学者らがそれぞれの意見を表明し、議論を呼んでいます。

UK scientists caution that lifting of Covid rules is like building ‘variant factories’ | Coronavirus | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2021/jul/04/uk-scientists-caution-that-lifting-of-covid-rules-is-like-building-variant-factories

イギリスは新型コロナウイルスワクチンの配布を急速に進めている国の1つで、2021年7月2日時点で国民の50%がワクチン接種を完了しているという状況。しかしワクチンの接種状況に反してインドで確認された変異株「デルタ株」が猛威を振るっており、6月29日には1日あたりの感染者数が2月上旬以来初となる2万人を突破しています。

変異ウイルス拡大のイギリス 一日の感染者2万超える | 新型コロナウイルス | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210629/k10013109131000.html


こうした状況において大きな議論を呼んでいるのが、政府が推し進めようとしている「制限緩和」の問題です。ボリス・ジョンソン政権は2021年2月に作成したロードマップに基づき、社会的距離の確保やマスクの着用義務、在宅勤務などの各種制限を緩和する予定を組んでおり、デルタ株の感染増加にもかかわらず制限緩和が実施される見通しです。

この制限緩和は、実施日が6月21日から前述のデルタ株流行によって7月19日に延期されており、今後さらに延期するかについては7月5日の記者会見内で正式に告知される予定です。しかし、6月26日に再就任を果たしたばかりのサジド・ジャヴィド保健大臣がイギリス大手紙のDailyMailに対して「7月19日に向けて順調に進んでいる」と寄稿。規制緩和実行日をこれ以上延期するつもりはないという意向を示しました。

SAJID JAVID: The health arguments for opening up Britain are compelling | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/debate/article-9753313/SAJID-JAVID-health-arguments-opening-Britain-compelling.html


このジャヴィド保健大臣の発言がイギリス国内で大きな議論を呼んでいます。今回のパンデミックについて大臣や役人に助言を行う政府公認の専門家グループ・Scientific Pandemic Insights Group on Behaviours(SPI-B)に所属するスティーブン・ライヒャー教授は「未だにCOVID-19をインフルエンザだと思っている『保健』大臣がいるのは驚きです。健康のために最善を尽くすということが、経済のために最善を尽くすということだと理解していません」と痛烈に批判。同じくSPI-Bに所属するスーザン・ミッキー教授は「コミュニティ間での感染を増やすという措置は、『変異株工場』を爆速で新設するようなものです」と激しく糾弾しました。

一方、ニューカッスル大学公衆衛生学部のアリソン・ポロック教授は「感染とワクチン接種によって自然に獲得免疫が得られるため、集団免疫は急速に達成されています」と賛意を表明し、現行の定期的なウイルス検査措置については「無用の害を増やしています」とコメント。イーストアングリア大学医学部のポール・ハンター教授も「ワクチン接種を完了した人は感染する可能性が低く、感染したとしても他の人にうつす可能性は低くなります」と述べ、マスク着用などに関する制限緩和について理解を示しました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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