サイエンス

巨星を隠す「正体不明の不透明な巨大円盤」が存在する可能性がある


天文学者らの調査により、太陽の100倍の大きさの恒星「VVV-WIT-08」が数百日かけて「またたいた」ことが観測されました。このような点滅はまれであり、天文学者らは「巨星を隠したのは巨大な不透明の円盤である」と推測しています。

VVV-WIT-08: the giant star that blinked | Monthly Notices of the Royal Astronomical Society | Oxford Academic
https://academic.oup.com/mnras/article-abstract/505/2/1992/6294924


Giant ‘Blinking’ Star Spotted in Milky Way’s Central Region | Astronomy | Sci-News.com
http://www.sci-news.com/astronomy/vvv-wit-08-giant-blinking-star-09752.html

ケンブリッジ大学の天文学者であるリー・スミス氏らが行った調査によると、地球から2万5000年以上離れた場所にある太陽の100倍の大きさの恒星「VVV-WIT-08」が、輝度を一時ピーク時の97%にまで落とし、約数百日かけて再び明るさを取り戻したとのこと。以下の動画でVVV-WIT-08が明滅している様子のシミュレーションが確認できます。

VVV-WIT-08 - YouTube


画面中ほどの赤い丸が太陽、グレーの楕円が円盤、円盤の中央にある丸が「謎の円盤のホスト」とされています。また画面右下の赤枠で囲った部分がVVV-WIT-08です。


明るさが変化する星は変光星と呼ばれるもので、変光星の存在自体は珍しいものではありませんが、今回のように星が一度見えなくなるほどにまで薄暗くなり、再び明るくなるようなことは非常に珍しいとのこと。当初スミス氏らは「未知の暗い天体がVVV-WIT-08の前を通過し掩蔽(えんぺい)を引き起こしたのでは」と推測しましたが、今回のような明滅は非常にまれな「銀河に暗い天体が多数存在する場合」にのみ起こりうることから、この可能性は低いと考えました。


代わりに提唱された説は「VVV-WIT-08を覆う未知の円盤が存在する」という説です。スミス氏らは調査の結果、ブラックホールの周りのガスなどが円盤状になった「フォールバック・ディスク」によってVVV-WIT-08が一時的に隠された可能性があると推測しています。スミス氏らはVVV-WIT-08のように点滅する星が他にも存在する可能性を指摘しており、さらなる調査を望んでいます。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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