生き物

元FBIの「リンゴ探偵」が失われたはずの7種のリンゴを再発見することに成功


FBIとアメリカ合衆国内国歳入庁で24年間にわたって犯罪捜査を行ってきた人物が「リンゴ探偵」として活躍し、絶滅したはずのリンゴの7品種を再発見したと2021年6月1日に報告されました。

7 apple varieties previously thought lost have been located | The Seattle Times
https://www.seattletimes.com/seattle-news/apple-detectives-in-washington-discover-7-varieties-previously-thought-lost/

An Apple Detective Rediscovered 7 Kinds Of Apples Thought To Be Extinct : NPR
https://www.npr.org/2021/06/11/1005418986/several-types-of-apples-thought-to-be-extinct-have-been-rediscovered

Lost Apple Project | wchs
https://www.whitmancountyhistoricalsociety.org/lostapple

北米にはかつて1万7000種類のリンゴがありましたが、2021年時点ではその数が約4500種類にまで減少しています。これは、20世紀までの需要低下によって、農家が多くのリンゴの栽培をやめたことが原因です。このような、歴史の中で失われたリンゴとその味を復活させることを目的とした非営利団体が「Lost AppleProject」です。

Lost AppleProjectは2016年に、FBIとアメリカ合衆国内国歳入庁で24年間にわたって犯罪捜査を行ってきたDavid Benscoter氏によって設立されました。Benscoter氏は主に太平洋岸北西部に位置する見捨てられた農園や果樹園を渡り歩いて2014年以来29種のリンゴを発見してきましたが、新たに、ワシントン・オレゴン・アイダホの古い果樹園で1世紀以上前に絶滅したと考えられていた7種のリンゴを発見したとのことです。


もともとBenscoter氏がリンゴに興味を持ったのは、障害を持つ隣人がBenscoter氏にリンゴの世話を頼んだことがきっかけ。犯罪捜査を長年行ってきた経験から、Benscoter氏は自然と在来作物の起源を調べるようになり、その流れでウィットマン郡歴史協会と提携し「伝統的なリンゴの木を特定して保存する」というプロジェクトに結び付いたわけです。

Benscoter氏の調査は、種子のカタログや郡の公的な記録、新聞の切り抜き、種苗場の元帳などを調べるところから始まります。時にはアメリカ合衆国農務省(USDA)が1880年代に結んだ契約の水彩画から新たな種子の存在を知ることもあるそうです。

これが実際にUSDAの契約書に描かれていた水彩画。「Iowa Flat」というリンゴとのこと。


100年の時を経て再発見されたリンゴは、「現存するリンゴとは異なるユニークな風味だが、『100年待った価値がある味』」だとBenscoter氏は述べています。ウィットマン郡歴史協会は再発見されたリンゴをまもなく一般公開する予定だと説明しました。


USDAでリンゴ専門のキュレーターとして働くであるBen Gutierrez氏は「今回の発見には非常に興奮しています。これはリンゴの遺伝的多様性を高めるための一歩です」とコメント。古い品種の再発見により、農家や消費者が求めるものを確認したり、農薬なしでも育つ品種や、より栄養価の高い品種の開発が行えたりするようになるとGutierrez氏は述べました。

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in 生き物,   , Posted by darkhorse_log

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