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Huaweiがオランダ最大の電気通信事業者を盗聴できる状態だったことが判明

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アメリカから名指しで「国家保障上の脅威」に指定された中国の通信機器大手のHuaweiの従業員が、オランダの元国営電話会社であるKPNが敷設するネットワークの「管理者権限」を有していると判明しました。この一件を報じたオランダ紙のDe Volkskrantは「Huaweiは盗聴する能力を有していた」と報じています。

‘Huawei beheert nog steeds de kern van het mobiele netwerk van KPN’ | De Volkskrant
https://www.volkskrant.nl/nieuws-achtergrond/huawei-beheert-nog-steeds-de-kern-van-het-mobiele-netwerk-van-kpn~bbe353c2/

Huawei was able to eavesdrop on Dutch mobile network KPN: Report | NL Times
https://nltimes.nl/2021/04/17/huawei-able-eavesdrop-dutch-mobile-network-kpn-report

2005年、KPNは光波長多重通信や高密度波長分割多重などの伝送ネットワークの構築のため、Huaweiと独占契約を締結。この契約は国際専用回線、帯域の卸売、IPトランジットなどの成長分野におけるKPNの影響力拡大に寄与し、「オランダ最大の電気通信事業者」の地位を盤石なものにしました。近年では同社の5Gネットワークの敷設も、Huaweiが手がけていることが伝えられています。

ファーウェイ、オランダの通信事業者KPNの5Gに向けた モバイルネットワークのモダナイゼーションで提携 - Huawei Japan
https://www.huawei.com/jp/facts/news-opinions/update-on-mobile-network-modernization-towards-5-g

De Volkskrantが新たに報じたのは、KPNが「政府や企業からの信頼を失いかねない」として握りつぶしたという調査報告書です。この報告書はフランス・パリに拠点を置くITコンサルタントのキャップジェミニが作成した、「HuaweiがKPN内でどのように行動したか」に関するもので、「KPNに常駐するHuawei社員はKPNの建物内や中国の両方から、KPNの電話番号を使った通信を無制限に盗聴できた」という内容でした。


この報告は「盗聴できた」というものであり、「盗聴した」というものではありません。しかし、キャップジェミニは、Huaweiが仮にKPNのモバイルネットワークに不正にアクセスしたとしても記録が残されないことから、「どの程度の頻度で起こったかは定かではない」と結論づけており、De Volkskrantは「Huawei機器は、管理の一部をHuaweiに置かなければならないというシステムになっている」と情報筋の意見を報じ、セキュリティ上の懸念を指摘しています。

一連の報道に対し、KPNは「Huaweiが当社のネットワークまたは顧客システムから顧客データを盗んだこと、または盗まれたことは、これまでに一度もありません」と主張。Huaweiは「オランダで事業を開始して以来、いかなる不正行為についても政府当局から責任を問われたことはありません。KPNのネットワークとデータに不正にアクセスしたことはなく、そのネットワークからデータを抽出したこともありません。Huaweiは常にKPNの明確な許可の下で仕事を行いました」と申し立てています。


この問題は国会にまで飛び火しており、オランダの社会自由主義政党である民主66に所属するLisavan Ginneken議員が「私たちの重要なインフラストラクチャは一体どれほど外国の影響に対して脆弱なのか」と問題提起を行ったり、キリスト教民主主義政党であるキリスト教民主アピールが国務長官に見解を求めたりしています。

KPNはこの問題について「ネットワークのコアとなる機器の管理は、外部委託をやめています」「ネットワークシステムのリスクに取り組むため、改善計画を予定しています」と述べていますが、De Volkskrantは「4Gモバイルネットワークの管理はHuaweiにアウトソーシングされています」「Huawei社員はKPNのネットワークに対する管理者権限を持っています」という内部技術者の証言を報じています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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