メモ

被害者だとアピールしがちな人は「他人からいい人に見られたがる傾向」があるという指摘


被害者であることを頻繁にアピールし他人の同情を得ようとする人は、他人からよく見られたがり、他人への共感能力にも乏しいナルシシスト的傾向がある可能性が高いことが、ブリティッシュコロンビア大学のEkin Ok氏らの調査によって示されました。調査結果が何を意味するのかについて、ペンシルバニア大学の心理学者であるコリー・クラーク氏が解説しています。

Signaling virtuous victimhood as indicators of Dark Triad personalities. - PsycNET
https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspp0000329

The Evolutionary Advantages of Playing Victim – Quillette
https://quillette.com/2021/02/27/the-evolutionary-advantages-of-playing-victim/

被害者の精神は「傷付けられた」「苦しめられた」などの否定的な言葉で埋め尽くされます。しかし人間は他人の苦しみに共感し、その苦しみを排除または改善するように進化してきました。その結果、他人に自分の苦しみを知らせる事は周囲の注意を引き、他人の共感や経済的支援を受け取るための効果的な戦略になり得ます。そして被害者になることは自身の報復を正当化し、特定の問題について話す時の心理的地位を獲得し、時には被害者自身が働いた不正行為についての避難を最小限に抑えることも可能です。

新たに発表された調査によると、被害者の精神をより顕著に周りに示す人々は、物的利益を求めてうそをつき、周りをだます手段として他人を中傷する可能性が高いことが示されています。そういった人々はナルシシズムマキャベリズム、正直さと謙虚さの低下など、道徳的に好ましくない性格特性と関連付けられています。


調査を行ったEkin氏らは、人々が自分の苦しみについて周りに話す「被害者シグナリング」の頻度を測定しました。被害者シグナリングを示す頻度が高い人ほど、周囲を気にかけ周りを思いやっているという態度を表す「美徳シグナリング」を示す可能性が高く、さらにそういった人々は自分の道徳心の向上をあまり重要視しなかったことがわかりました。これはつまり、自分の苦しみを頻繁に周りにアピールする人は「いい人に見られる」ことばかりを気にかけ、「実際にいい人になる」ことにはあまり興味を示さないということを意味します。

またクラーク氏は、自分が被害者であると思い続ける感情が、道徳的に好ましくない性格特性を持つ人々の精神状態を安定させている可能性が高いと述べています。この性格特性は道徳的優越感を得たり、他人の苦しみに対する共感能力の欠如といった特徴も持ち合わせているとクラーク氏は指摘します。


一般的に、人々は被害者シグナリングに対し支援を行おうとします。誰かが他人を過って傷付けてしまった場合、加害者は喜んで被害者に償おうとするはずです。加害者に反省が見られない場合でも、その罪を認識した周りの家族や友人が、加害者に代わり罪を償おうとするはずです。一方、被害者が第三者に被害を訴える時は特に虚偽の可能性が高いとクラーク氏は指摘しています。全ての訴えが虚偽だということを意味するのではなく、虚偽の訴えは他人の同情と金銭的利益を求める手段として最適であり、これを訴えが真実かどうかを判断する材料を持ち合わせていない第三者に向けることは、間違いなく戦略的で不道徳なものであるとクラーク氏は述べています。

ほぼ全ての人が人生の中で不利益や害を被ることがありますが、多くの人は自分自身で、あるいは周囲の人々の助けを借りて乗り越えます。しかし一部の人々は第三者からの同情や救済を求める立場に魅力を感じ、少しずつ被害を利用していきます。不道徳的な被害者立場の利用が露見した場合は社会的な批判を浴びたり、刑務所に入れられたりする場合もありますが、少なくとも前者のグループより少ない労力で多くの利益を得ることができてしまいます。


クラーク氏は「本当に支援を必要としている被害者がいないということや、他人を支援するべきではない」ということを述べているのではないと忠告します。むしろ我々が本当に意識すべきは「実際に支援を必要としている本物の被害者が存在する」ということであり、虚偽の被害者シグナリングにリソースを割いて、本物の被害者に割くべきリソースを失ってしまっている可能性があると警告しています。

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in Posted by log1p_kr

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