サイエンス

「耳あか」でストレスレベルを調べる検査方法が誕生


ストレスホルモンである「コルチゾール」を計測する手法には、「耳あか」が適しているという研究結果が発表されました。

Measuring Earwax Cortisol Concentration using a non-stressful sampling method: Heliyon
https://www.cell.com/heliyon/fulltext/S2405-8440(20)31967-8

Earwax sampling could measure stress hormone | UCL News - UCL – University College London
https://www.ucl.ac.uk/news/2020/nov/earwax-sampling-could-measure-stress-hormone

Earwax may reveal how stressed you are | Live Science
https://www.livescience.com/earwax-reveals-stress-anxiety.html

Scientists hail earwax test for checking stress hormone levels | Medical research | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2020/nov/03/scientists-hail-earwax-test-for-checking-stress-hormone-levels

コルチゾールはうつ病診断時のバイオマーカーとして使われることもある、ストレスと心身の健康状態を結びつけるとされるストレスホルモンの一種です。そんなコルチゾールの検査にはこれまで毛髪がサンプルとして用いられてきましたが、毛髪のコルチゾールレベルはアルコールの摂取や運動によって短期的に大きく変動することからうつ病などの診断には使いづらい上、毛髪サンプルを採取するという行為自体から被験者がストレスを受けたり、毛髪サンプルを採取できない被験者が存在したりするという問題点が存在しました。


ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの認知神経科学研究所に所属するAndres Herane-Vives博士は、ミツバチの巣が細菌汚染や時間経過に強いことから着想を得て、「耳あか」が検査に適したさまざまな物質を貯蔵しているという可能性に気がついたとのこと。耳の奥に入りすぎないための突起が付いた綿棒に似た耳あかサンプル採取装置を開発したHerane-Vives博士は、耳あか・毛髪・血液のどのサンプルが、ストレスレベルを測定するのに最適なのかを調査しました。

37人の被験者から耳あか・毛髪・血液のサンプルを採取して検査したところ、耳あかから得られたコルチゾールはアルコールなどの短期的な変動の影響が最も少なく、1度の採取で得られるコルチゾールの量も多く、採取時のストレスも少ないという結果が得られました。また、耳あかのサンプルを得る手法は毛髪や血液を採取するよりも手早く、コストも安かったとのこと。

Herane-Vives博士は今回の研究結果を基に、耳あか採取デバイスの販売会社「Trears」を設立し、新たな検査手法の拡大を目指しているとのこと。以下がTrearsの耳あか採取デバイスの実物。


Herane-Vives博士は今後、耳あかからコルチゾールレベルだけではなく、糖尿病や新型コロナウイルス感染症の抗体などのレベルを測定できるかもしれないとして、調査を行う予定だと語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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