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Amazonは労働者と労働組合を監視するために「組合つぶし業者」のスパイを現場に送っている

by Scott Lewis

Amazonはこれまでに「契約労働者のSNSを監視してストライキを起こさないかチェックしている」ということや、「反労働組合的なトレーニングムービーを従業員に送っていた」ことが報じられてきました。そんななか新たに海外ニュースメディアであるMotherboardは、Amazonが労働組合つぶしで有名なピンカートンのスパイを雇って現場に送ったり、環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんやグリーンピースを「脅威」と認識して監視したりしていることを報じています。

Secret Amazon Reports Expose Company Spying on Labor, Environmental Groups
https://www.vice.com/en/article/5dp3yn/amazon-leaked-reports-expose-spying-warehouse-workers-labor-union-environmental-groups-social-movements

Motherboardが入手した内部文書は、Amazonで労働者・小売業者の保護を担当するAmazonグローバル・セキュリティ・オペーレションセンターとインテリジェンス・アナリストが協力して2019年に作成したものとのこと。その文書の中で、Amazonがピンカートンのエージェントを雇用しヨーロッパ中のAmazon従業員と労働組合を監視していることや、環境活動家の動きに目を光らせていることが明らかにされました。レポートは主にヨーロッパのAmazonの活動について言及されたものですが、いくつかの文書はアメリカでも同様の活動が行われている可能性を示しているとMotherboardは述べています。

Amazonの内部文書では、ピンカートンが19世紀から20世紀にかけて製鉄所の従業員が労働組合の活動を行わないように脅迫した歴史について言及されているとのこと。記録によるとAmazonは2019年11月19日から21日までの間、ピンカートンのスパイをポーランドのAmazon倉庫に送り、面接や雇用の進め方について調査を行ったことになっていますが、どのような訓練が行われたのかという識別可能な証拠は残っていないとMotherboardは記しています。

by D K

Amazonの広報担当者であるLisa Levandowski氏は労働者の調査を行うためにピンカートンを雇ったことを認めており、「他の責任ある企業と同様に、Amazonは従業員を助け、建物や商品を安全に保つためにオペレーションのセキュリティレベルを維持し続けています。この試みの中には法執行機関と適切に協力した内部調査が含まれており、私たちは現地の法律と地域当局の協力のもと行動しています」とコメントしました。一方で、Levandowski氏はMotherboardが報告した「スパイを倉庫に送った」という点について否定。「これらの活動をセンセーションに報じたり、私たちが異常で誤ったことを行ったと示唆することは、無責任で間違った行為です」とコメントしました。

またレポートには、Amazonが世界中の倉庫での労働組合活動について詳細な最新情報を常に受け取れるようにしていることについてもつづられていました。この情報には活動があった日付・時間・場所・関わった人・関わった人数などが含まれます。さらに、工場の労働者が組合のミーティングに参加しているのかや、どのような不満が共有されているのかについても、アナリストらによって情報収集し続けられているとのこと。


労働組合の国際組織であるUNIのクリスティ・ホフマン氏はAmazonのピンカートン雇用を受けて、「何年もの間、Amazonのジェフ・ベゾス氏は19世紀の強盗男爵と比較されてきましたが、ピンカートンの雇用は、ベゾス氏が強盗男爵であるということをより明確にしました」と述べています。

なお、強盗男爵とは、寡占や不公正な商習慣を追求することで各産業を支配し膨大な資産を蓄えた実業家・銀行家のことをいいます。

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ヨーロッパは特に労働組合の力が強く、アメリカの企業がヨーロッパに進出する際には多くが労働組合のあり方に適応していくものですが、Amazonはその例に当てはまりません。このことから、Amazonの反組合的な戦術が世界的に人権を危機に陥れているとホフマン氏は指摘しました。

またAmazonはソーシャルメディアに焦点を当てて、環境活動家の情報を収集していることも内部文書から明らかになりました。オーストリアのウィーンで環境活動家による抗議行動が行われた際には、その抗議ルートがGoogleマップから取得されたことや、Amazon従業員の活動への参加率が調査されたこと、今後、環境活動によって業務がどれほど中断される可能性があるかなどについてが内部文書で言及されています。このような社会運動・環境運動を追跡する調査の中には、グレタ・トゥーンベリさんの世界的な気候ストライキ運動も含まれます。

欧州議会議員であるマノン・オーブリー氏は「Amazonが組合員や活動家に対して軍事的な監視方法を組織的に使用していることは憂慮すべき事態です。Amazon、そしてジェフ・ベゾス氏は前例のないレベルで富と権力を有しているため、法律を超越しているかのように振る舞います。これを止めなければなりません」とMotherboardのレポートを受けて語りました。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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