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Nintendo SwitchのJoy-Conが勝手に動く不具合「Joy-Conドリフト」に関する集団訴訟がまたも提起、原告側はJoy-Conを分解し撮影した電子顕微鏡写真で原因まで指摘


Nintendo Switchの専用コントローラーであるJoy-Conが入力していないのに勝手に動く不具合は「Joy-Conドリフト」と呼ばれており、アメリカではこれまで複数回にわたりJoy-Conドリフトが原因で集団訴訟が提起されてきました。2020年11月17日にワシントン西部地区連邦地方裁判所に提出された新しい集団訴訟では、このJoy-Conドリフトの原因を調査した資料が提示されています。

Joy-Con drift lawsuit | Lawsuit
https://www.scribd.com/document/484738196/Joy-Con-drift-lawsuit

Another Joy-Con drift class action lawsuit filed against Nintendo - Polygon
https://www.polygon.com/2020/11/17/21572381/nintendo-switch-joy-con-controller-drift-class-action-lawsuit

「Joy-Conドリフト」は、Joy-Conのスティックに触れていないのに、意図せずスティックが入力された状態と認識されてしまう不具合です。多くのゲームで左のJoy-Conスティックは「キャラクターの移動」に、右のJoy-Conスティックは「ゲーム中のカメラアングルの変更」に割り当てられているため、キャラクターが意図していないタイミングで勝手に動きだしたり、カメラ視点が急にくるくる回転してしまったりと、ユーザーに大きな影響を与えてしまいます。

Joy-Conドリフトが起きるとどんな風になるのかは、以下のムービーを見れば一発で分かります。Joy-Conに触れていないのにカメラが延々と回転し続けてしまうため、まともなゲームプレイは不可能になってしまうわけです。

This is how bad my joy in drifting is. I can't play games normally on my switch anymore... #joycondrift #NintendoSwitch pic.twitter.com/TPR7Ir8Sip

— Nixie (@NixieHime)


Joy-Conドリフトは2019年の時点ですでに問題視されており、同年7月には集団訴訟を提起されています。

Nintendo Switchの「Joy-Conスティックが勝手に動く」不具合で任天堂が集団訴訟を起こされる事態に - GIGAZINE


また、Joy-ConドリフトはNintendo Swtichに付属しているJoy-Conや、別売りのJoy-Con、さらに2019年に登場した新モデル版のNintendo Swtichに付属するJoy-Con、Nintendo Switch Liteのスティックでも起きる問題であることが明らかになっています。

Nintendo Switch Liteでも「スティックが勝手に動く」不具合は修正されていないと判明 - GIGAZINE


新しく提起された集団訴訟において、原告側が裁判所に提出した資料には「欠陥の技術的な性質」という章があり、この中で原告側が行った技術的な分析結果がまとめられています。原告側は「Joy-Conの設計や素材の選択がJoy-Conドリフトの原因となっています」と指摘し、まずJoy-Conを分解した写真を提示。上の写真がJoy-Con(L)の内部基板を写したもので、銀色の「Joystick」と書かれている部分が問題のジョイスティックが収められた機構。そしてジョイスティック機構の天面側を写したのが下の写真。


ジョイスティック機構が収められた銀色のケースを開けると、中にはユーザーからの入力に応じてX軸方向とY軸方向に動く、2組のブラシが内蔵されています。ブラシは鋼でコーティングされており、ポリエチレン製の「Carriers(キャリア)」という部品にマウントされています。


ブラシは「Flex Circuit(フレキシブル回路)」上にある導電性パッドと直接接触します。フレキシブル回路は、ブラシの動きをベースとした「ジョイスティックの物理的な位置と動きについての信号」を、マザーボードに送信するためにポリマー上に作られた金属製の導電性パスです。


「Contact Pads」と書かれた部分が、ブラシが接触する導電性パッド。


分析によると、この導電性パッドの表面が摩耗することがJoy-Conドリフトの原因であるそうです。具体的には、ブラシが前後に動くと導電性パッドを構成する軟質カーボン材が摩耗し、導電性パッドの電気抵抗が変化。これによりJoy-Conドリフトが生じる模様。ブラシと導電性パッドの摩耗により発生するゴミ(Debris)もJoy-Conドリフトに影響を与えますが、ジョイスティックの動きを制御するキャリアとの接触からも、ポリエチレンのゴミが大量に発生するようで、こちらもJoy-Conドリフトの原因となっています。


ブラシ先端に付着したゴミを電子顕微鏡で撮影した写真が以下。


これによりフレキシブル回路表面は以下のように摩耗し、さらにジョイスティックの不具合が加速していくこととなる模様。


原告側は集団訴訟の中で任天堂側の違法かつ不公正な行為を指摘し、Joy-Conドリフトは消費者詐欺にあたると主張しています。

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in ハードウェア,   ゲーム, Posted by logu_ii