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Twitterがバイデン親子の疑惑を報じたニューヨーク・ポストのアカウント凍結を解除

by Esther Vargas

2020年10月14日、アメリカ大統領選挙の民主党候補であるジョー・バイデン氏に関する疑惑を、アメリカのタブロイド紙であるニューヨーク・ポストが報じました。Twitterは記事の拡散を制限してニューヨーク・ポストのアカウントも凍結しましたが、10月30日になってTwitterがポリシーを転換し、ニューヨーク・ポストのアカウント凍結が解除されました。

How tweet it is: Twitter backs down, unlocks Post's account
https://nypost.com/2020/10/30/twitter-backs-down-agrees-to-unlock-posts-account/

In its latest confusing decision, Twitter reinstates The New York Post - The Verge
https://www.theverge.com/2020/10/30/21542801/twitter-lifts-ny-post-ban-policy-changes

大統領候補のバイデン氏にまつわる疑惑とは、次男のハンター・バイデン氏が幹部を務めていたウクライナのエネルギー企業・ブリスマが汚職疑惑をかけられた際、バイデン氏がウクライナの検察に圧力をかけて捜査を妨害したというもの。バイデン氏は「息子と海外での商取引について話したことはない」としてきましたが、ニューヨーク・ポストは「次男の仲介でバイデン氏とブリスマの幹部が面会していた」と報じました。

しかし、ニューヨーク・ポストの報道は、「ハンター氏が修理店に持ち込んだまま、料金の支払いも引き取りもされず放置されていたノートPC」から回収されたデータに基づくものでした。Twitterはこの点が「ハッキングを通じて取得した個人情報を含むコンテンツを直接配布することを阻止する」という規則に抵触するとして、ユーザーが問題となった記事のリンクを共有することを制限し、ニューヨーク・ポストのアカウントを凍結しました。

FacebookとTwitterが大統領候補のバイデン氏の疑惑を報じた記事の拡散を阻止している - GIGAZINE

by Gage Skidmore

トランプ大統領および支持者はTwitterの対応を強く非難したほか、ニューヨーク・ポストの記事についての対応が世間の注目を集めた結果、逆にバイデン氏の疑惑が広く知れ渡ったとの指摘もされています。

最終的にTwitterは「ハッキングされた素材の配布に関するポリシー」を変更し、プラットフォーム上でハッキングによって得られた情報の配布が禁止されるのは、「ハッキングに直接的に関与した個人または集団」に限定されました。これにより、一般のユーザーがニューヨーク・ポストの記事についてのリンクを共有した際はツイートが削除されるのではなく、ラベルまたは警告メッセージが表示されるようになりました。

Twitterがバイデン氏の息子を巡る疑わしい記事のシェア禁止を解除 | TechCrunch Japan
https://jp.techcrunch.com/2020/10/19/2020-10-16-twitter-new-york-post/


また、ニューヨーク・ポストなどの報道機関がハッキングされた情報を基にした記事を公開する場合も、Twitter側が判断して記事の拡散を阻止するのではなく、「報道機関の編集上の判断」に従うと新たなポリシーには記されています。

ところが、ニューヨーク・ポストのアカウントは10月14日から凍結されたままでした。アカウントの凍結についてニューヨーク・ポストは、「Twitterが『ハッキングされた情報に基づく』と主張する記事に関連する6個のツイートを削除するように要請し、ニューヨーク・ポストがそれを拒否したため」と述べています。Twitterはニューヨーク・ポストに対し、ポリシーの変更は以前の決定に遡及的に適用されないため、以前のポリシーが施行されていた10月14日時点のツイートが削除されない限り凍結を解除できないと伝えたとのこと。


そんな中、10月28日にTwitterのジャック・ドーシーCEOは、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOやGoogleのサンダー・ピチャイCEOと共にアメリカ上院の公聴会に出席。この中でドーシーCEOはバイデン氏の疑惑拡散を阻止したことについて、共和党議員から厳しく追及されました。

Facebook・Twitter・GoogleのCEOがSNSを弱体化させる可能性がある「セクション230」の公聴会に出席、何が議論されたのか? - GIGAZINE


そして10月30日、ついにTwitterは「過去の執行をさかのぼって覆すことはしないという慣行を更新します」と述べ、ハッキングされた情報に関するポリシーを遡って適用すると発表。その結果、ニューヨーク・ポストのアカウント凍結が半月ぶりに解除されました。

In response, we’re updating our practice of not retroactively overturning prior enforcement.

Decisions made under policies that are subsequently changed & published can now be appealed if the account at issue is a driver of that change. We believe this is fair and appropriate.

— Twitter Safety (@TwitterSafety)


凍結が解除されたニューヨーク・ポストのアカウントは、さっそく凍結解除を祝うツイートを投稿。ツイートは記事作成時点で5万件近くのリツイート、16万件以上のいいねを獲得しています。

We’re baaaaaaack https://t.co/D39qdLGMdV pic.twitter.com/SkVtp4o9ew

— New York Post (@nypost)


なお、ニューヨーク・ポストのTwitterアカウントは、凍結されたことで以前よりも多くの注目を集めた模様。アカウントの凍結中にフォロワー数が急増しており、凍結された2週間で約19万人もの新規フォロワーを獲得したとのことです。

The Post's Twitter account added nearly 190K followers during blackout
https://nypost.com/2020/10/30/the-posts-twitter-account-added-nearly-190k-followers-during-blackout/

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik