Intelが22年ぶりとなるディスクリートGPU「Iris Xe MAX」を正式に発表

Intelが、薄型ノートPC向けのディスクリートGPU「Intel Iris Xe MAX」を2020年10月31日に発表しました。Intelにとっては、1998年に発表されたIntel 740以来、22年ぶりとなるディスクリートGPUです。

Intel® Iris® Xe MAX Graphics (96 EU) 製品仕様
https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/211013/intel-iris-xe-max-graphics-96-eu.html

Innovation Extends with Intel Iris Xe MAX Graphics and Deep Link | Intel Newsroom
https://newsroom.intel.com/news/iris-xe-max-discrete-graphics-deep-link/

Intel’s Discrete GPU Era Begins: Intel Launches Iris Xe MAX For Entry-Level Laptops
https://www.anandtech.com/show/16210/intels-discrete-gpu-era-begins-intel-launches-xe-max-for-entrylevel-laptops

Iris Xe MAXは「DG1」というコードネームで開発されてきたもので、GPU単体でチップとなっているディスクリートGPUです。

1998年にも、Intelは「Intel 740」というディスクリートGPUを発表していました。しかし、ATIやNVIDIAが当時出していたGPUと比較すると性能は高いとはいえなかったため、業界の荒波を乗り越えることができませんでした。その後、Intelがこれまで展開してきたGPUは、Intel HD グラフィックスやIntel UHD グラフィックス、Iris Plus グラフィックスなど、CPUに内蔵されるタイプのものでした。

Intelにとっておよそ22年ぶりとなるディスクリートGPUとなるIris Xe MAXと、Tiger Lake世代のモバイル向けプロセッサであるIntel Core i7 1185G7内蔵GPUのスペックを比較した表が以下。性能はほとんど変わりませんが、Iris Xe MAXの方が最大動的周波数がやや上回ります。

Iris Xe MAXはDisplayPort 1.4とHDMI 2.0b出力が可能で、H.264、H.265、AV1のデコードを実行可能。そして、ディスクリートGPUであるIris Xe MAXは「CPUとメモリ帯域幅を共有する必要がない」というところがポイントであり、LPDDR4Xのメモリを単体で初めてサポートするGPUとなります。

さらに、「Intelディープリンクテクノロジー」によって、Iris Xe MAXと搭載CPUの内蔵GPUを連携させることが可能。例えば、Iris Xe MAXとTiger Lake世代CPU内蔵GPUであるIris Xeグラフィックスで同時に処理を行うことで、動画のエンコードを高速化することができるとのこと。さらに、「Intelディープリンクテクノロジー」によって、電力効率も最大1.2倍に向上するとIntelはアピールしています。

また、Core i7-1165G7とIris Xe MAXを連携させた場合、写真を高解像度できるTopaz LabsのGigapixel AIによる処理が最大7倍にまで高速化するそうです。

IntelはIris Xe MAXのダイサイズやトランジスタ数を明らかにしていませんが、プロセスノードはIntel 10nm SuperFinで、小型化にも成功していると考えられます。Iris Xe MAXは薄型ノートPC向けとして開発されており、Acer・ASUS・Dellから搭載モデルが同時に発表されました。このうち、AcerのIris Xe MAX搭載モデルは2020年末に発売されるとのこと。

なお、IntelがIris Xe MAXの性能とディープリンクの概要をまとめたムービーは以下から見ることができます。

Intel Iris Xe MAX Graphics with Deep Link Technology Unlocks Creativity for Thin-and-Light Laptops - YouTube