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【訃報】心霊詐欺を暴くことに生涯をかけたジェームズ・ランディさんが死去


奇術師であり人生をかけて霊能力詐欺を暴き続けてきたジェームズ・ランディさんが2020年10月21日に亡くなりました。ランディさんは1980年代に「偽の霊能力者」をテレビで人気者に仕立て、後に「霊能力でもなんでもない」ということを暴露するという「実験」を行い、テレビ局の面目をつぶしてメディアの激怒を買うという大騒動を起こした人物。世の中には霊能力詐欺で大金を失い絶望する人が数多く存在するとして、「いかに人はだまされやすいのか」と啓発を続けました。

James Randi has died. - JREF
https://web.randi.org/home/james-randi-has-died

ジェームズ・ランディ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3

ランディさんは1928年にカナダ・オンタリオ州トロントで生まれました。15歳の時に宗教教会で行われていた「降神術」のウソを暴くも、大人から「神聖な宗教の集まりを汚した」として警察に訴えられ、拘置所に4時間留置されてしまったとのこと。この時からランディさんはイカサマ心霊術師に対し一生をかけて報復すると誓い、人生で数多くのイカサマを暴いてきました。

1960年代から70年代初頭にかけて、世間では超常現象に対する関心が高まりました。ランディさんは超能力者を名乗るユリ・ゲラーさんとの対立でも知られ、何度もテレビで対決を行い、ゲラーさんの行っていることは全て再現できるとする「THE MAGIC OF URI GELLER」という本も出版。その後、ゲラーさんがランディさんに対して訴えを起こし、ランディさんは大金を失うことに。ランディさんはゲラーさんについて「魅力的で、好感が持てる、ハンサムで優しい、純粋かつ前向きな」詐欺師の典型だと考えていますが、一方でゲラーさんはランディさんについて「最も影響力があり重要な自分のPR担当」だと述べました。

The Unbelievable Skepticism of the Amazing Randi - The New York Times
https://www.nytimes.com/2014/11/09/magazine/the-unbelievable-skepticism-of-the-amazing-randi.html


1987年にランディさんは25歳のアルバレスという青年を「霊能力者カルロス」に仕立て、オーストラリアのテレビ局をだますという大騒動を起こしました。ランディさんはカルロスに手品を教え、ボールを脇に挟んで脈拍を遅くするトリックなどを利用して「憑依体験」などをテレビで次々に披露させました。カルロスさんが人気を集め大量の信者を生み出したところでランディさんが全てを暴露。当然テレビ局は激怒しましたが、ランディさんは「ジャーナリストたちは簡単なファクトチェックすらしなかった」とメディアの批判を一蹴しました。

ランディ氏がどのような人物かはTEDで公開されたムービーを見るとよく分かります。2007年に公開されたムービーの中で、ランディ氏は致死量のホメオパシー睡眠薬を飲みながら講演を行っています。

James Randi: 心霊詐欺に対するジェームズ・ランディの痛烈な批判 | TED Talk



ステージに立つランディさんが「奇術というものは、人の思い込みを利用します」と語り始めます。


「例えば私が持っているものを、マイクだと思うでしょう?登壇した私が机の上から取って、口元にかざしてしゃべり出すのだから、当然マイクだと思うはずです」


「しかし、実際にはひげそりです」


また、「今私は観客を見ていると思うでしょう?でも実際には見てません。なぜならこのメガネにはレンズが入っていないからです」と語ります。人が「そんなわけあるまい」と思うことを利用するのが奇術のトリックであり、同時に世界で行われている心霊詐欺の多くは、奇術のトリックを利用しているとのこと。


ランディさんは32錠の錠剤が入っている薬をボトルごと丸呑み。実はこの薬は「致死量のホメオパシー睡眠薬」だそうですが、ランディが何年も講演のたびに薬を飲み続けているにも関わらず、ランディさんは生きています。


心霊詐欺を行う人の中には、20分で700ドル(約7万3000円)の料金を取る人も。これらの人々はコールド・リーディングという手法を用いて「死者と対話するふり」をしているとのこと。ランディさんは「死者との対話を証明できたら100万ドル(約1億円)」という懸賞を行っていますが、実際に挑戦した人はいないそうです。


「一度、テレビでシルビア・ブラウンが挑戦を受けましたが、『連絡先がわからない』と言って連絡してきませんでした。彼女は死者と話ができるのに、連絡先が分からないって」とランディさん。


このような心霊詐欺を「大したことではない」と考える人もいますが、ランディさんは「残酷な茶番」だとし、貧困などの問題と同様に「解決すべき問題」だと説きました。

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in 動画, Posted by darkhorse_log

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