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ホテルのレビューで「星1」をつけた男性が逮捕され投獄される事態が発生


タイで教師として働いているアメリカ人男性が、タイのリゾートホテルのオンラインレビューで合計4件の悪い評価をつけた結果、警察によって逮捕され投獄されたと報じられています。男性は保釈金を支払うことで釈放されましたが、刑事告訴により裁判で有罪と認められた場合は、最高で2年の懲役または20万バーツ(約66万円)の罰金が科されるおそれがあるとのことです。

Koh Chang resort defends suit against unhappy expat guest
https://www.bangkokpost.com/thailand/general/1992079/koh-chang-resort-defends-suit-against-unhappy-expat-guest

American Hotel Guest In Thailand Arrested & Jailed For Defamation After Posting Bad Online Reviews | LoyaltyLobby
https://loyaltylobby.com/2020/09/27/american-hotel-guest-in-thailand-arrested-jailed-for-defamation-after-posting-bad-online-reviews/

タイの日刊紙Bangkok Postの報道によると、逮捕されたのはタイで教師として働いているアメリカ人のウェスリー・バーンズ氏で、問題となったレビューがつけられたのは、タイ有数のリゾート地であるチャーン島Sea View Resortというホテルとのこと。

この問題が広く知られるきっかけになったのは、タイを拠点にしている著名なイギリス人ブロガーであるリチャード・バロウ氏のTwitterへの投稿です。16.7万人のフォロワーを擁するバロウ氏は、2020年9月26日に「タイの名誉毀損法は、特にオンラインのレビューに対して非常に厳格です。数週間前、私の友人の友人が、タイのチャーン島のリゾート地にあるホテルについて、Googleマップで1つ星のレビューを投稿した結果、彼は職場である学校で逮捕されました」とツイートし、ホテルへのレビューが原因で知人が逮捕されたことを報告しました

Thailand’s defamation laws are very severe, in particular when it comes to online content. A couple of weeks ago, a friend of a friend was arrested at his school for posting a one star review on Google maps about a resort he visited on Koh Chang. Yes, you heard right [THREAD] pic.twitter.com/18YDRoWit1

— Richard Barrow in Thailand ???????????????? (@RichardBarrow)


バロウ氏が公開したSea View Resortの(PDFファイル)声明文によると、バーンズ氏は6月27日に友人と共にSea View Resortを利用した際、同ホテルのレストランにアルコール飲料を持ち込んだとのこと。

レストラン側はバーンズ氏らに対し、外部の飲料の持ち込みは原則として禁止されており、持ち込む際は500バーツ約(1600円)の持ち込み料がかかることを伝えましたが、バーンズ氏らは持ち込み料を支払うことなくアルコールを飲み始めました。その後、バーンズ氏らとレストラン側の口論は騒ぎに発展し、その中でバーンズ氏はレストランの従業員らに対し口汚い言葉を使って罵倒したとのことです。


さらにバーンズ氏は、旅行口コミサイトのトリップアドバイザーとGoogleマップに2件ずつ合計4件のレビューを投稿し、その全てで最低評価をつけたとのこと。この評価を見たホテル側は、バーンズ氏に連絡を試みましたが、バーンズ氏はそれらを無視して取り合わなかったとのことです。

ホテル側が特に問題視してるのが、トリップアドバイザーに投稿された以下のレビューです。2020年6月30日の投稿の中でバーンズ氏は、「ここに泊まることで、現代の奴隷制を助けてはなりません。スタッフは経営者のせいで愛想が悪く、また外国人スタッフは同僚を奴隷のように扱っています。特にひどいのはチェコ出身のマネージャーで、彼は従業員を奴隷扱いしているだけでなく、自分がホテルの宿泊客より優れているかのように振る舞っています」と述べました。なお、この投稿は規約違反として、投稿から1週間後にトリップアドバイザーから削除されているとのこと。


Googleマップでのレビューでも、同様にチェコ人マネージャーを非難しているほか、「コロナウイルスと同様に、この場所を避けるべきです!」との一文もあります。


一連のレビューに対し、ホテル側は「バーンズ氏はトリップアドバイザーやGoogleに、当ホテルと外国人嫌悪や奴隷制、さらには新型コロナウイルス感染症との関連性について誤解を与えるようなコメントを含む捏造レビューを投稿しました」と非難。レビューは6~8月中旬まで合計4件にわたって投稿され、その後さらに増える見通しであることや、バーンズ氏に連絡して取り消すよう求めても拒否されたことなどを理由に、一連のレビューを警察に通報しました。

その結果、バーンズ氏は9月12日に移民警察局によって逮捕され、刑務所で2晩過ごした後、10万バーツ(約33万円)の保釈金を支払ったことで釈放されました。また、バーンズ氏は刑事告訴されており、有罪となった場合はタイ刑法第326条に基づき最高で2年の懲役または20万バーツの罰金が科されるおそれがあります。バーンズ氏と連絡を取ったというジャーナリストのアンドリュー・マクレガー・マーシャル氏によると、バーンズ氏は法廷で争う考えだとのことです。

バーンズ氏逮捕までの経緯は、あくまでホテル側の発表を元にしたものであり、事実関係についてのホテル側の主張とバーンズ氏側の主張との間には、食い違いも見られます。バーンズ氏は、バロウ氏を通じて発表した声明の中で「レストランでの出来事により、私と友人はショックを受け、給仕に少し文句を言いましたが、友人は喜んでお金を払ってくれました」と反論。「持ち込み料は支払われなかった」とするホテル側の説明とは異なる主張を行っています。

SECOND UPDATE: Wesley B, the American who is being sued by a resort on Koh Chang for leaving a one star review has now sent me his response to the statement sent to me by the hotel #Thailand pic.twitter.com/hw1dsEzJWp

— Richard Barrow in Thailand ???????????????? (@RichardBarrow)


またBangkok Postによると、タイ刑法第326条をめぐっては、企業や影響力のある人物が言論の自由を封殺するために乱用しているとして、長年にわたり問題提起されているとのこと。例えば、タイの大手鶏肉加工企業であるThammakasetは移民労働者、ジャーナリスト、人権擁護家、メディア企業ら合計22の個人や団体に対し、過去4年間で39件もの刑事訴訟や民事訴訟を起こしています。

Thammakasetは、移民労働者の身分証明を没収した上で、1日20時間、最低賃金以下で働かせたとして、2016年8月にタイ労働福祉・保護局から合計170万バーツ(約565万円)の支払いを命じられており、一連の訴訟はこの問題を表面化させたことに対する報復とされています。

旅行関連の情報を扱うニュースサイトLoyaltyLobbyは、「この件は進行中の訴訟問題なので、ホテル側の声明がどこまで真実かは誰にも分かりません」と指摘。さらに、「この事件がどういう形で決着するとしても、それがバーンズ氏のタイ生活にとってプラスになるとは思えません。また、この件はレビューサイトを利用する人々にとっての教訓でもあります。タイであれ、他の国であれ、その国の法律は必要とあらば人々を簡単に逮捕し、裁判にかけることができます」と結論付けました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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