「iOS 13.7」が登場、専用アプリのインストールなしで新型コロナウイルス接触追跡システムが利用可能に

現地時間の2020年9月1日に、AppleはiPhone向けの最新OSとなる「iOS 13.7」の配信を開始しました。iOS 13.7ではAppleとGoogleが共同開発した「新型コロナウイルス接触追跡システム」をOSに標準搭載しました。各国の公衆衛生当局などが独自の新型コロナウイルス接触追跡アプリをリリースしていますが、これらを使用することなく濃厚接触者との接触を通知してもらうことが可能です。

Apple adds built-in COVID-19 Exposure Notifications to iOS 13.7 - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2020/09/01/covid-19-exposure-ios-13-7-built-in/

Google creating COVID-19 apps w/ Exposure Notifications Express - 9to5Google
https://9to5google.com/2020/09/01/exposure-notifications-express/

AppleとGoogleが共同開発した「新型コロナウイルス接触追跡システム」では、まず最初に専用APIをリリース。このAPIを採用した新型コロナウイルス接触追跡アプリを公衆衛生当局がリリースし、ユーザーはこれをインストールして接触追跡に関する通知を許可することで、新型コロナウイルス感染症の感染者と濃厚接触の可能性がある場合に通知を受けることが可能となりました。

そして2つ目の段階として、新型コロナウイルス接触追跡システムがiOSおよびAndroidに標準搭載されることとなりました。これがiOS 13.7に搭載された新型コロナウイルス接触追跡システムであり、Androidにも標準搭載されることとなります。

新型コロナウイルス接触追跡システムはすべてのiPhoneユーザーおよびAndroidユーザーが使用できる機能であり、公衆衛生当局はユーザーがシステムを使用する際にオプトインする必要があります。公衆衛生当局にとって、OSに標準搭載された新型コロナウイルス接触追跡システムは、先に登場した専用APIを使用するよりも大幅に合理化されたものとなっています。公衆衛生当局は自分たちの名称・ロゴ・接触通知をユーザーに表示するために、接触通知時にユーザーに表示される情報とプロトコルを含むコンフィグファイルを入力するだけでよくなります。公衆衛生当局は独自のアプリケーションを開発する必要がなくなり、それでいてシステムを完全に制御することが可能です。

実際にiOS 13.7以降では「設定」アプリ内に「接触通知」という項目が追加されており……

ここから新型コロナウイルス接触追跡システムを使用可能です。すでにAppleとGoogleの接触追跡APIを使用している日本政府公式の新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」をインストールしている場合は、画面上にその旨が表示されます。接触追跡通知はこの画面の最下部からいつでもオフにすることができます。

なお、AppleとGoogleの開発した新型コロナウイルス接触追跡用のAPIを使用した別のアプリがすでにインストールされている場合、それらのアプリは引き続き独自に動作します。AppleとGoogleは9to5Macに対して、「公衆衛生当局と接触通知に関する作業の次のステップとして、ユーザーがアプリを作成・維持する必要がなくなり、接触通知システムをより簡単かつ迅速に使用できるようになります。新型コロナウイルス接触追跡システムは公衆衛生当局がユーザーのプライバシーとセキュリティに関するプロジェクトの中枢的な原則を損なうことなく、既存の連絡先追跡操作をテクノロジーで補完するための別のオプションを提供できるようになります。新型コロナウイルス接触追跡APIを使用する既存のアプリは、新型コロナウイルス接触追跡システムと互換性があり、カスタムアプリを展開または構築している公衆衛生当局のサポートにも取り組んでいます」と述べています。

また、既存の新型コロナウイルス接触追跡APIのプライバシー要件が新型コロナウイルス接触追跡システムにも拡張されることが強調されており、ユーザーは自身で接触通知を有効にする必要があります。加えて、新型コロナウイルス接触追跡システムでは位置情報は共有されず、システムがユーザーIDを他ユーザーやAppleおよびGoogleと共有することもありません。

なお、2020年9月後半にはAndroid 6.0以降でも新型コロナウイルス接触追跡システムが標準搭載されることとなります。