乗り物

UberとLyftが「ドライバーを社員として扱うように」と裁判所から命令される

by Stock Catalog

配車サービスを展開するUberLyftに対し、カリフォルニア州最高裁判所が2020年8月10日に「ドライバーを自営業者ではなく社員として扱うこと」を命じる内容の仮差止め命令を下しました。

Attorney General Becerra Secures Early Court Victory in Fight to Protect Workers Against Unlawful Employee Misclassification by Uber and Lyft | State of California - Department of Justice - Office of the Attorney General
https://oag.ca.gov/news/press-releases/attorney-general-becerra-secures-early-court-victory-fight-protect-workers

Uber and Lyft ordered by California judge to classify drivers as employees - The Verge
https://www.theverge.com/2020/8/10/21362460/uber-lyft-drivers-employees-california-court-ruling

利便性が高く、柔軟な労働が可能なことから「ギグ・エコノミー」と呼ばれ、利用客とドライバー双方の支持を背景に急成長してきた配車サービスのUberとLyftですが、近年では「燃料費や自動車の維持コストをドライバーに転嫁しており搾取的である」と指摘されることもあります。そのため、UberやLyftが本社を構えるアメリカ・カリフォルニア州では2019年9月に、Uberなどのドライバーを自営業者ではなく社員として扱う基準を明確に規定したカリフォルニア州議会法案第5号、通称「AB5」が議会を通過しました。

Uberなどの「インターネットで仕事を請け負うビジネス」を規制する法案が可決 - GIGAZINE

by freeimage4life

その後、AB5はギャビン・ニューサム知事の署名を経て、予定通り2020年1月1日からカリフォルニア州で施行されました。このAB5に基づき、カリフォルニア州司法長官であるXavier Becerr氏は5月5日に、「UberとLyftは、AB5に照らし社員として扱われるべきドライバーをいまだに自営業者として分類している」として両社を提訴。これを受けて、カリフォルニア州最高裁判所は8月10日に、Uber・Lyft両社に対して「ドライバーを社員として扱うこと」を骨子とした仮差止め命令を下しました。

カリフォルニア州最高裁のイーサン・シュルマン判事は判決の中で「被告であるUberとLyftのドライバーの業務は、社員として扱う必要がない『通常の業務の範囲外』とは認められません。また、『運送会社ではなく多面的プラットフォームである』とする両被告の主張は、運送会社を『自動車による人員の有償運送』として定義している法律の規定と完全に矛盾しています」と指摘して、原告の訴えを支持しました。


仮差止め命令により、UberとLyftはサービスの大幅な変更や一時停止を余儀なくされるおそれがあります。カリフォルニア州最高裁は、両社が控訴するための準備期間として、仮差止め命令に10日間の猶予を設けましたが、ニュースサイトThe Huffington Postによると両社は即日控訴する声明を発表したとのことです。

ギグ・エコノミーに携わるカリフォルニア州のドライバーらで組織されたMobile Workers Allianceのリーダーであり、自らもLyftのドライバーであるというマイク・ロビンソン氏は、「今回の判決は、カリフォルニア州のドライバーが長い間当然のこととして訴えてきたことを是認するものです」と述べて、判決を歓迎しました。

一方、「社員になると柔軟な働き方が妨げられる」としてカリフォルニア州トラック協会が訴訟を起こすなど、現場からはAB5の法規制に反発する声も上がっています。

トラック運転手が「インターネットで仕事を請け負うビジネスを規制する新法」に対する訴訟を起こす - GIGAZINE


Uberの広報担当者は判決に対し、「大多数のドライバーは独立して仕事をしたいと思っています。私たちが選んだ政府の指導者は、300万人を超える州民が仕事を探している中、経済不況にあえぐ産業界をシャットダウンするのではなく、雇用を創出することに専念すべきです」とコメント。

Lyftの広報担当者も、「ドライバーは社員となることを望んでいません。我々は直ちに控訴し、ドライバーの皆さんの独立性のために戦い続けます。最後には、この問題はカリフォルニア州の有権者の判断に委ねられることになりますが、有権者はドライバーの味方であると信じています」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「UberとLyftのどちらが優れているのか」を投資家目線で徹底分析した結果 - GIGAZINE

住民の足を提供するUberとLyftが撤退した後、街にはどんな変化が訪れたのか? - GIGAZINE

時価総額が1日1500億円超も急落したUberの「安全性レポート」とは? - GIGAZINE

「配車サービス規制法案」を止めるためUberやLyftが100万ドルの支援を提案するもニューヨーク市は拒否 - GIGAZINE

Uberなどのライドシェアリングサービスが渋滞を引き起こす原因になっている - GIGAZINE

トラック運転手が「インターネットで仕事を請け負うビジネスを規制する新法」に対する訴訟を起こす - GIGAZINE

Uberなどの「インターネットで仕事を請け負うビジネス」を規制する法案が可決 - GIGAZINE

in ネットサービス,   乗り物, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.