ハードウェア

「AppleがIntel製CPUの採用をやめるのはSkylakeアーキテクチャの品質保証が悪いから」と元Intelエンジニアが主張


2020年のWWDC 2020でAppleが、Intel製CPUを搭載したMacからARMベースの自社製CPU「Apple Silicon」を搭載したMacに移行することを発表しました。AppleがIntel製CPUを使わなくなる理由について、元Intelのエンジニアだったフランソワ・ピエドノエル氏が「SkylakeマイクロアーキテクチャのIntel製CPUの品質が悪いから、AppleはIntelを捨てた」と解説しています。

Intel insider claims it finally lost Apple because Skylake QA 'was abnormally bad' | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/intel-skylake-why-apple-left/


AppleはこれまでMacでIntel製CPUを搭載したモデルを発売してきました。たとえば、2020年5月に追加されたばかりのMacbook Proの新モデルは、第10世代Intel Core i5あるいはi7を搭載したモデルです。

13インチMacBook Pro - スペースグレイ - Apple(日本)


しかしAppleは、iPhoneやiPadといった他のAppleデバイスとMacを統一するため、iPhoneやiPadに搭載されているARMベースの独自チップをMacにも搭載することを発表しました。CPUのアーキテクチャが同じになることで、iOSやiPadOSと同じようなUXをmacOS上で再現したり、iPhoneアプリやiPadアプリを直接Mac上で動かしたりできるようになります。

AppleがMacでも独自開発のプロセッサに移行する「Apple Silicon」を発表、iPhone&iPadのアプリがMacでも利用可能に - GIGAZINE


しかし、ピエドノエル氏はこのAppleの主張について「ビジネスとアーキテクチャの観点からは完全に理にかなっていますが、これは以前からAppleが検討していたことです」と述べ、「IntelのSkylakeアーキテクチャに多くの問題がなければ、IntelはそのままMacに搭載されたままだったでしょう」と推測しています。ピエドノエル氏によれば、AppleがIntel製CPUの搭載をやめるきっかけとなったのは、IntelのSkylakeアーキテクチャを採用したCPUに次々と脆弱性が発覚したことが要因だとのこと。

特に2018年1月にIntel製CPUで発覚した脆弱性「Meltdown」「Spectre」はIntel x86のハードウェアに共通する設計上の欠陥であり、修正不可能なものだとわかりました。

Intelのプロセッサチップに根本的な設計上の欠陥が発覚、各OSにアップデートの必要性 - GIGAZINE


また2019年には、2011年以降のIntel製CPUに影響する脆弱性「MDS」が明らかとなっています。

2011年以降のほぼすべてのIntel製プロセッサに影響する脆弱性「MDS」の存在が明らかに - GIGAZINE


さらに、「Intel製チップのテスト用機能であるマニュファクチャリング・モードがMacBookに脆弱性をもたらしていたのでは」という指摘もありました。

Intel製チップの製造段階における「マニュファクチャリング・モード」がMacBookの脆弱性を引き起こした可能性 - GIGAZINE


ピエドノエル氏は「今回のWWDC 2020でのApple Siliconの発表は、Appleにとっての転換点です。AppleはいつだってIntel製CPUからの乗換えを考えていました。AppleがIntel製CPUを見限った責任は、Skylake世代の品質保証の悪さにあるのです」と述べました。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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