生き物

野良ネコが行儀良く「社会的距離」をあけて並んでいる光景が話題に、なぜネコは地面に描かれた円や狭い箱の中が好きなのか?

by The Philippine Star

ネコを飼ったことがある人なら、ネコがダンボール箱や小さな入れ物に体を押し込んで、まるで液体のようになってしまっているのを目撃したことがあるはず。また、SNSでは床に円を描くと不思議とネコがそこに入ってくる「#猫転送装置」が話題になったこともあります。飼いネコのみならず、野生のネコや大型のネコ科動物のトラまでもが大好きなこの行動の謎について、科学系ニュースサイトInverseが解説しました。

Viral social distancing photo spotlights an enduring cat mystery
https://www.inverse.com/science/why-do-cats-like-to-sit-in-circles

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、フィリピン・ケソン市のホーリースピリット・バンガライ(行政区)にある青果店が、買い物客に距離を開けて並ぶよう促す目印を店先に描きました。しかし、実際に店先に並んだのは客ではなく野良ネコ。その光景を地元紙The Philippine StarがTwitterで報じると、店先に並んだネコが行儀良く社会的距離をあけている様子は瞬く間に世界中のSNSで共有されました。

These stray cats were spotted occupying the circle marks intended for the implementation of social distancing protocols in front of a store in Brgy. Holy Spirit, Quezon City on Sunday amid enhanced community quarantine. pic.twitter.com/EqOORqCJMa

— The Philippine Star (@PhilippineStar)


Philippine Starのツイートには、ネコが丸い鍋に収まってくついろいでいる写真や、床にテープで描いた四角形にネコが吸い寄せられるムービーなどのリプライが寄せられています。

Pati sa square. ???? pic.twitter.com/nsOS4MRYgq

— Rune of Invisibility (@bottleme4later)


ネコが入れ物などを好む理由については諸説あるとのことですが、最も有力なのが「生存本能に突き動かされている」という考えです。動物行動学者で、オレゴン州にあるネコ専門の動物行動クリニックThe Cat Behavior Clinicの設立者でもあるミシェル・ナーゲルシュナイダー氏はInverseの取材に対し「ネコの行動の多くは1つの理由に起因しています。それは『生き残る』ということです」と話しています。

自然界におけるネコ科動物の多くは、小動物の捕食者であるとともに、より大型の動物から狙われる被捕食者でもあります。そのため、できるだけ閉鎖された空間に入り込んで、狙っている獲物や自分を狙う動物の両方から身を隠そうとするとのこと。


隠れ家となる箱を与えられたネコとそうでないネコを比較する2014年の研究でも、箱を与えられたネコはストレスレベルが軽減されたことが確認されています。

以下のムービーを見ると、トラやライオンといった大型のネコ科動物も、箱に入るのが大好きなことが分かります。

BIG CATS like boxes too! - YouTube


アメリカ・フロリダ州にある動物保護施設Big Cat Rescueにいるカラカルや……


ボブキャットは箱を見るなり中に入りました。


トラや……


ライオンは遊びながら箱を破壊してしまいましたが、ぺしゃんこになったダンボールの上で満足げに寝そべっています。


箱に比べて、地面に描かれた円や四角は身を隠す役には立ちませんが、それでもネコの本能を刺激するには十分とのこと。ナーゲルシュナイダー氏は「テーピングされた円の中に身を置くことは、ネコに安心感を与えます。ネコの心の中では、生存の可能性が高まっていることになっているわけです」と話しました。

しかし、ネコの行動は生得的な本能だけに支配されているわけではありません。社会的学習という仕組みにより、他者の行動を模倣して自分の行動の中に採り入れることもあるとのこと。

ナーゲルシュナイダー氏はフィリピンで起きた現象について、「本能的に安全な場所にいようとする行動が身を隠す行動につながることもありますが、人間が輪の中に立っているのを見て、ネコも同じようにしたいと思ったのかもしれません」と話しています。

また、ネコ同士も人間と同様の「社会的距離」を持っている可能性もあります。ナーゲルシュナイダー氏は「猫は本能的に、3〜6フィート(約1.8メートル)の快適かつ個人的な縄張りを持っています」と述べて、くしくもCOVID-19対策の社会的距離とネコが本能的に必要とする距離が一致したことを指摘しました。

なお、COVID-19がネコに与える影響については、これまでに「ネコ同士でCOVID-19が感染する」ことや、「トラがCOVID-19を発症した」という事例が報告されています。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1l_ks

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