日常会話がスマートスピーカーに盗聴されるのを防ぐ「ブレスレット式の盗聴妨害機」が開発される

音声認識アシスタントを搭載したスマートスピーカーが「人々の会話を録音していた」という事例はたびたび報告されており、音声アシスタントの精度を向上させるためとはいえ、プライベートな会話を聞かれることは避けたいものです。そんな電子機器や隠しマイクによる盗聴を防ぐため、「ブレスレットのように手首にはめて使う盗聴妨害機(ジャマー)」をシカゴ大学の研究チームが開発しました。

Wearable Microphone Jamming
http://sandlab.cs.uchicago.edu/jammer/

研究チームは「消費者は対話型デバイスがデフォルトで常に重要な個人情報について聞き、録音し、保存する可能性があるという事実に対してナーバスになっています」と指摘。音声ベースのスマートデバイスが普及した時代において、マイクによる潜在的なプライバシーの侵害や誤用からユーザーを保護するツールを構築することが重要だと述べています。そこで研究チームは、「人間の耳には聞こえない超音波」を使って、マイクによる盗聴を防ぐデバイスを開発しました。

実際にブレスレット式盗聴妨害機がどのように機能しているのかは、以下のムービーを見るとわかります。

Wearable Microphone Jamming - YouTube


カメラを向けられた男女が、何かの研究について会話を交わしています。

男性が質問すると、女性の方が「これは機密です」と言って……

左手にはめた機械のスイッチを押しました。

すると、いきなり「ザー」という台風が直撃した際のニュース映像から流れるような音が聞こえ、2人の会話が聞こえなくなってしまいました。

左手にはめたブレスレット式盗聴妨害機が、超音波を使ってマイクを妨害しているとのこと。

盗聴妨害機はカメラのマイクだけでなく、近くの机にのっているスマートスピーカーや男性の胸ポケットに入ったスマートフォン、装着したスマートスピーカーなど、マイクが搭載された全ての電子機器に対して妨害を行っています。

ブレスレット式盗聴妨害機には外部に向いた多数のスピーカーが取り付けられており、広い範囲に向かって妨害用の超音波を発信しているとのこと。

盗聴妨害機にはコントローラーや信号のジェネレーター、リチウムバッテリー、電圧レギュレーター、アンプなどが内蔵されています。

盗聴妨害機が発信しているのは24kHz～26kHzという超音波であり……

人間の耳では聞くことができません。

しかし、市販のマイクはハードウェアに固有の非線形特性によって、このホワイトノイズを可聴音域に漏らしてしまうとのこと。そのため、マイクが録音した会話はホワイトノイズによってかき消されてしまい、盗聴を妨害することができるという仕組みです。

スピーカーが多方向に向いた盗聴妨害機は、固定された状態でも隠された盗聴器などを妨害することができますが……

盗聴妨害機を動かすことによって、マイクが超音波をかいくぐる死角をより小さくすることができます。

そのため、盗聴妨害機をブレスレット式にして手首に装着することで、ボディランゲージに連動して盗聴妨害機の効果を強めることが可能。

実際に、静的な盗聴妨害機よりも着用式の盗聴妨害機の方が、超音波が届く範囲が広くなることが示されています。

複数人で話している時も、ブレスレット式盗聴妨害機のスイッチを入れるだけで……

盗聴を防ぐことが可能です。